2020年12月、NVIDIAのGPUのRTX 3060 Tiを搭載したビデオカードの販売が開始されました。
RTX 3060 Tiの立ち位置は、RTX 3060の上位モデルという位置づけです。RTX 3060よりもバス幅が広いこともあって、より快適にゲームプレーが可能です。
最新のRTX 4060 Tiが登場した今、RTX 3060 Tiは型落ちになり、しかも最新のDLSS3にも非対応ですが、今でも十分通用する性能を有しており、人気は衰えていません。
今回の記事ではRTX 3060 Tiの特徴、ゲーム性能を解説し、最後におすすめのゲーミングPCを紹介します。
RTX 3060 Tiとは
RTX 4060 Ti | RTX 3060 Ti | RTX 3060 | |
---|---|---|---|
CUDAコア数 | 4,352 | 4864 | 3,584 |
ベース/ブーストクロック | 2,310MHz / 2,535MHz | 1,410MHz / 1,665MHz | 1,320MHz / 1,780MHz |
標準メモリ構成 | GDDR6 8GB/16GB(128bit) | GDDR6 8GB(256bit) | GDDR6 12GB(192bit) |
レイトレーシングコア(RTコア) | 34(第3世代) | 38(第2世代) | 28(第2世代) |
Tensorコア | 136(第4世代) | 152(第3世代) | 112(第3世代) |
NVIDIAアーキテクチャー | Ada Lovelace | Ampere | Ampere |
NVIDIA DLSS | 3 | 2 | 2 |
NVIDIA Encoder(NVENC) | 第8世代×1 | 第7世代×1 | 第7世代×1 |
AV1エンコード/デコード | 〇/〇 | ×/〇 | ×/〇 |
グラフィックスカード電力(W) | 160(8GB)/165(16GB) | 200 | 150 |
システム電力要件(W) | 550 | 600 | 550 |
必須の電源 | 8ピン×1または12VHPWR×1 | 8ピン×1 | 8ピン×1 |
参考価格 ※2024年4月現在 | 約58,000円(8GB版) 約68,000円(16GB版) | 約60,000円 | 約37,000円 |
CUDAコア数を比較すると、下位モデルのRTX 3060だけでなく、最新のRTX 4060 Tiを上回っています。さらにメモリバス幅もRTX 4060 Tiの倍以上です。
スペックだけ見ると最新世代のRTX 4060 Tiを上回って見えますが、RTX 40シリーズは大容量のL2キャッシュを搭載しています。これによってRTX30シリーズに比べると、電力効率と処理性能の向上を実現しています。
また、RTX 4060 TiはDLSS 3.0(FG)とAV1エンコードに対応していますが、RTX 3060 Tiは両方とも非対応です。
ある意味、スペックだけで判断しづらいのがRTX 40シリーズの特徴といえます。
VRAM容量は8GBなので、RTX 4060 Tiと同じですが、RTX 3060は12GBなのでその点は負けています。
グラフィックスカード電力(W)は約200Wです。最新世代のRTX 4060 Tiが160Wなので、ワットパフォーマンスは優秀とはいえないです。
AV1エンコードは画質を維持したまま容量を大幅に減らせるので、ゲーム配信や動画編集用のプレー動画を録画する際に役立ちます。
RTX 3060 Tiのゲーム性能について
RTX 3060 Tiのゲーム性能を他のGPUと比較します。なお、ゲームのグラフィック設定は最高設定に統一しています。
検証環境を見るにはここをクリック
検証環境
検証環境 | |
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CPU | インテル 「Core i5-14600KF」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
ビデオカード | MSI「GeForce RTX 3060 Ti VENTUS 2X 8GD6X OC」 |
マザーボード | GIGABYTE「B760 AORUS ELITE」 |
メモリ | Kingston 「FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)」(16GB×2) (DDR5-4800に設定) |
SSD | Kingston「NV2 SSD 2TB」 Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | Corsair「RM750e」 |
PCケース | XPG「VALOR AIR JP2」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
軽量級ゲーム
軽量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均183fps、WQHD解像度では122fps、4K解像度では63fpsでした。
下位モデルのRTX 3060と比較すると、フルHD解像度では約21%、WQHD解像では約21%、4K解像度では約25%上回っています。
検証に使用した軽量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 3060 Tiの平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
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レインボーシックスシージ | 280fps | 179fps | 87fps |
オーバーウォッチ2 | 167fps | 116fps | 64fps |
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー | 132fps | 90fps | 46fps |
BLUE PROTOCOL | 152fps | 102fps | 54fps |
中量級ゲーム
中量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均102fps、WQHD解像度では80fps、4K解像度では51fpsでした。
下位モデルのRTX 3060と比較すると、フルHD解像度では約20%、WQHD解像では約21%、4K解像度では約19%上回っています。
検証に使用した中量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 3060 Tiの平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
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Forza Horizon 5 | 106fps | 88fps | 59fps |
アサシンクリードミラージュ | 95fps | 74fps | 45fps |
Call of Duty: Modern Warfare III | 105fps | 77fps | 49fps |
重量級ゲーム
重量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均91fps、WQHD解像度では63fps、4K解像度では34fpsでした。
前世代のRTX 3060と比較すると、フルHD解像度では約23%、WQHD解像では約23%、4K解像度では約23%上回っています。
検証に使用した重量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 3060 Tiの平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
---|---|---|---|
Watch Dogs: Legion | 88fps | 64fps | 37fps |
アーマードコア6 | 98fps | 73fps | 43fps |
サイバーパンク2077 | 86fps | 51fps | 22fps |
DLSS
RTX 3060 TiはDLSS 2.0に対応しています。対応ゲームであれば、DLSSを設定していない状態に比べると、2倍以上平均フレームレートが上昇します。
ただし、DLSS 3.0(FG)は非対応です。DLSS 3.0(FG)対応ゲームでは、RTX 4060の後塵を拝します。
RTX 3060 Tiの強みと弱みについて
強み | 弱い |
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フルHDであれば、ハイフレームレートでゲームがプレーできる WQHD解像度のゲームも十分プレー可能 基本的なゲーム性能は最新世代のRTX 4060を上回る DLSS 2.0対応 | 4K解像度でのプレーは厳しい 負荷の重いゲームだとWQHD解像度のプレーは厳しい VRAM容量は8GBと少ない DLSS 3.0(FG)には非対応 AV1エンコードには非対応 ワットパフォーマンスは優秀とはいえない |
RTX 3060 Tiのゲーム性能は十分高く、フルHD解像度までであれば、144fpsでゲームプレーすることも十分可能です。
また、WQHD解像度も重量級ゲームのサイバーパンク2077は厳しいですが、それ以外のゲームであれば、平均60fpsを上回ってのゲームプレーも可能です。
一方、4K解像度は正直厳しいです。軽量級ゲームであれば、平均60fpsでゲームプレーも可能ですが、少しでも負荷が重いゲームでは4K解像度でのゲームプレーは不可能と思っていいです。
どうしてもフレームレートが足らない場合、DLSSなどのアップスケーリングを組み合わせることで、フレームレートを押し上げることが可能です。
VRAM容量は8GBと決して多くはないですが、そもそもターゲットはフルHD解像度なので、VRAM容量は8GBで十分です。
競合となるのはRTX 4060 Ti、RTX 4060になります。
RTX 4060 Tiと比べた場合、平均フレームレートは10~20fps位差が開きます。
ワットパフォーマンスが優秀で、DLSS 3.0(FG)対応しているRTX 4060 Tiのほうが魅力度は高いです。
一方、RTX 4060との比較では平均フレームレートは10位、RTX 3060 Tiが上回ります。DLSS 3.0(FG)対応ゲームではRTX 4060が上回りますが、DLSS 3.0(FG)非対応ゲームではRTX 3060 Tiのほうがゲームパフォーマンスは上です。
DLSS 3.0(FG)対応ゲームをプレーする予定がないのであれば、RTX 3060 Tiをおすすめします。
RTX 3060 Ti搭載おすすめゲーミングPC
RTX 3060 Ti搭載モデルは現在、ほぼすべてのBTOショップで取扱いが終了しています。「RTX 4060搭載モデル」か、「RTX 4060 Ti搭載モデル」から探すことをおすすめします。
まとめ
RTX 3060 Ti搭載モデルはBTO各社のモデルをまとめてみると、高コスパモデルと位置付けており、買いやすい価格帯に設定しています。
安いモデルは10万円前半からあるので、他のGPUを搭載しているモデルに比べると予算が抑えられるため、買いやすいです。
コスパの良いRTX 3060 Ti搭載モデルを探しているのなら、予算は10万円~15万円ほど用意しておけば問題ないと思います。
ただし、徐々にBTOショップからRTX 3060 Ti搭載モデルが消えており、RTX40シリーズへの切り替えが進んでいます。
RTX 3060 Ti搭載モデルが欲しい方は今が最後のチャンスかもしれません。