PCI Express 4.0(x4)接続対応のNVMe SSDは、まだまだ価格は高い傾向にあります。
そんな状況の中、Kingstonからコスパの良さが売りの、PCI Express 4.0(x4)接続対応のNVMe SSDの「NV2」シリーズが発売されました。
今回は2TBのモデルを使って、その実力を探っていきます。
本記事はメーカー様より商品を提供していただき、記事を作成しています。
「NV2」シリーズとは
「NV2」シリーズは、Kingston Technologyより、2022年9月に発売されたExpress 4.0(x4)接続のエントリーNVMe M.2 SSDです。
もともと、エントリークラスで「NV1」シリーズがありましたが、「NV2」シリーズはその後継モデルになります。
「NV2」シリーズ | ||||
型番 | SNV2S/250G | SNV2S/500G | SNV2S/1000G | SNV2S/2000G |
インターフェース | PCI Express 4.0(x4) | |||
容量 | 250GB | 500GB | 1TB | 2TB |
連続読み取り | 3,000MB/s | 3,500MB/s | 3,500MB/s | 3,500MB/s |
連続書き込み | 1,300MB/s | 2,100MB/s | 2,100MB/s | 2,800MB/s |
消費電力 | 2.2W(読み出し最大) 3.1W(書き込み最大) |
2.2W(読み出し最大) 3.8W(書き込み最大) |
2.2W(読み出し最大) 5.0W(書き込み最大) |
2.1W(読み出し最大) 5.2W(書き込み最大) |
動作温度 | -0°C~70°C | |||
MTBF | 1,500,000時間 | |||
耐久性 (書き込みバイト総数) | 80TB | 160TB | 320TB | 640TB |
保証 / サポート | 3年 | |||
※2023年5月1日現在 |
参考価格3,590円 | 4,990円 | 7,490円 | 14,990円 |
「NV2シリーズ」の容量ラインナップは、250GB、500GB、1TB、2TBの4モデルです。
公称転送速度は250GBモデルがシーケンシャル読込3,000MB/s、書込1,300MB/s、500GBと1TBモデルがそれぞれ3,500MB/s、2,100MB/s、2TBモデルが3,500MB/s、2,800MB/sです。
MTTFは150万時間で、3年間の保証が提供されます。
魅力的なのはなんといっても価格です。PCI Express 4.0(x4)接続のM.2 NVMe SSDとしてはかなり安いです。
PCI Express 3.0(x4)に対応していないPS5のストレージ増設にピッタリです。
また、ファームウェアのアップデートなど、各種管理が行えるKingston SSD Managerが用意されます。
Kingston NV2 PCIe 4.0 NVMe SSDの外観をチェック
裏面には一切チップ等が載っていない、いわゆる片面実装モデルになります。そのため、厚さもわずか2.2mmなので、ノートPCや小型ベアボーンに搭載しても、干渉の心配がありません。
表面シールを剥がしてみました。メモリコントローラーが1つ、NANDメモリが4つあります。DRAM キャッシュは見当たりませんでした。
シールを剥がすと保証が切れるので決して真似をしないでください!
メモリコントローラーの刻印を見ると、SM2267XTVという型番が見えます。SMとあるので、おそらくSilicon Motion社製のものだと思われます。
NANDメモリの刻印を見ると、Kingston FB51208UCT1-B8という型番が見えます。調べてみると、東芝 112L BiCS5 TLCからブランド変更されたものが使われているらしいです。
Kingston NV2 PCIe 4.0 NVMe SSDのパフォーマンス検証
テスト環境
ここからは、実際に2TBモデル「SNV2S/2000G」をパソコンに組み込んで、パフォーマンスを検証していきます。
Crystal Disk Infoで、対応転送モードでPCI Express 4.0(x4)接続になっていることを確認しました。
テスト環境は以下の通りです。
テスト機のスペック | ||
CPU | core i7-12700 レビュー記事 |
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CPUクーラー | AK400 レビュー記事 |
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CPUグリス | MX-4 4g | |
マザーボード | MSI PRO B660M-A レビュー記事 |
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メモリ | W4U2666CX1-16G ×2 | |
ビデオカード | RTX 3060 Ti レビュー記事 |
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ストレージ | Kingston SSD NV2 2TB | |
電源ユニット | V750 Semi-Modular RS750-AMAAG1-JP | |
OS | Windows 11 Home | |
PCケース | SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
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ディスプレイ | EW2780U レビュー記事 |
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ドライバ | 522.25 |
なお、今回は比較対象として、PCI Express 3.0(x4)接続対応のエントリーモデルの「Crucial P2 1TB」を用意しました。
ちなみに価格は下記の通りです。「NV2シリーズ」と比較したところ、価格はほぼ同じでした。※2022年11月28日現在
Crucial P2 | Kingston SSD NV2 | |
250GB | 3,618円 | 4,990円 |
500GB | 6,500円 | 5,930円 |
1TB | 9,573円 | 10,180円 |
2TB | 22,500円 | 20,250円 |
CrystalDiskMark 8.0.4
Kingston SSD NV2 2TBのシーケンシャルリードは約3,787 MB/s、シーケンシャルライトは約2,957 MB/sと、シーケンシャルリード/ライト性能は公表スペック以上の性能が出ました。
一方、Crucial P2 1TBのシーケンシャルリードは約2450 MB/s、シーケンシャルライトは約1,950 MB/秒でした。
シーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライト性能ともに、Kingston SSD NV2 2TBのほうがCrucial P2 1TBを大きく上回りました。
TxBENCH
Kingston SSD NV2 2TBのシーケンシャルリードは約3,570 MB/s、シーケンシャルライトは約2,970 MB/sと、シーケンシャルリード/ライト性能は公表スペック以上の性能が出ました。
一方、Crucial P2 1TBのシーケンシャルリードは約2,310 MB/s、シーケンシャルライトは約1,860 MB/秒でした。
シーケンシャルリード/ライト性能は、大きく差はつきましたが、4Kのランダムリード/ライト性能に関して若干、Crucial P2 1TBが上回りました。
PassMark PerformanceTest DISK MARK
Kingston SSD NV2 2TBのシーケンシャルリードは約3,800 MB/s、シーケンシャルライトは約2,960 MB/sと、シーケンシャルリード/ライト性能は公表スペック以上の性能が出ました。
一方、Crucial P2 1TBのシーケンシャルリードは約1,620 MB/s、シーケンシャルライトは約1,940 MB/秒でした。
ただ、シーケンシャルリード/ライト性能は、大きく差はつきましたが、ランダムリード/ライト性能に関して若干、Crucial P2 1TBが上回りました。
Blackmagic Disk Speed Test
Kingston SSD NV2 2TBのシーケンシャルリードは約2,670 MB/s、シーケンシャルライトは約2,740 MB/sと、シーケンシャルリード/ライト性能は公表スペック以下の結果でした。
一方、Crucial P2 1TBのシーケンシャルリードは約1,640 MB/s、シーケンシャルライトは約1,720 MB/秒でした。
シーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライト性能ともに、Kingston SSD NV2 2TBのほうがCrucial P2 1TBを大きく上回りました。
AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247
Kingston SSD NV2 2TBのシーケンシャルリードは約3,110 MB/s、シーケンシャルライトは約2,660 MB/sと、シーケンシャルリード/ライト性能は公表スペック以下の結果でした。総合スコアは5,055でした。
一方、Crucial P2 1TBのシーケンシャルリードは約2,150 MB/s、シーケンシャルライトは約1,270 MB/秒でした。総合スコアは4,000でした。
シーケンシャルリード/ライト性能は、大きく差はつきましたが、ランダムリード/ライト性能に関してはそこまで大きな差はつきませんでした。
「Compression-Benchmark」の結果を確認すると、Kingston SSD NV2 2TBは読み込み、書き込みともに公表スペック内の間で常に変動している印象です。
一方、Crucial P2 1TBのほうは圧縮率が高まるにつれて、読み書き速度がきれいに右肩上がりに推移していました。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkは、512 B~64 MB(合計21パターン)のテストサイズ別で読み書き性能を測定するベンチマークソフトです。
ベンチマーク結果が分かりにくいので、下記のようにグラフ化しました。
Kingston SSD NV2 2TBの読み込み速度は3500 MB/s前後でピークに達したあと、安定しています。
一方、Crucial P2 1TBの読み込み速度は3000 MB/s前後でピークに達したあと、安定しています。
Kingston SSD NV2 2TBの書き込み速度は2800 MB/s前後でピークに達したあと、安定しています。
一方、Crucial P2 1TBの書き込み速度は3000 MB/s前後でピークに達したあと、安定しています。
読み込み速度はKingston SSD NV2 2TBがCrucial P2 1TBを上回りましたが、書き込み速度はCrucial P2 1TBのほうが上回りました。
ただ、いずれにしても、そこまで大きな差はないように見えます。
HD Tune Pro
HD Tune Proは、一定の容量のデータを書き込んだり、読み込んだりして、キャッシュ切れなど、SSDの性能変化を確認するためのベンチマークソフトです。
画像だとわかりにくいので、表として下記にまとめます。
読み込み速度(平均) | 書き込み速度(平均) | |
Kingston SSD NV2 2TB | 1,999 MB/s | 1,504 MB/s |
Crucial P2 1TB | 1,411 MB/s | 1,834 MB/s |
読み込み速度(平均)はKingston SSD NV2 2TBがCrucial P2 1TBを上回りましたが、書き込み速度(平均)はCrucial P2 1TBのほうが上回りました。
Kingston SSD NV2 2TBは1500GB前後を書き込んだところで、キャッシュ切れを起こしたみたいです。ただ、キャッシュ切れを起こしても、SATA SSD並みの書き込み速度は維持しています。
ファイルベンチマーク(200 GB分)の書き込み速度を見ると、Kingston SSD NV2 2TBのほうは時折、1500MB/sまで落ち込むときがありますが、おおむね2300MB/sを維持しています。
3D MARK STORAGE BENCHMARK
3D MARK STORAGE BENCHMARKは、実際のゲームをプレーする際に発生するデータの読み書き状況を再現して、ストレージの読み書き性能を計測するベンチソフトです。
総合スコアを比較すると、Kingston SSD NV2 2TBが2,794、Crucial P2 1TBが1,266でした。
画像だとわかりにくいので、下記にまとめます。
Average access timeを比較すると、Kingston SSD NV2 2TBのアクセスタイムは、Crucial P2 1TBの約2分の1の短さという結果でした。
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)
FF14:暁月のフィナーレ(ベンチマークモード)のローディングタイムを比較します。合計タイムで比較すると、Kingston SSD NV2 2TBは約33秒、Crucial P2 1TBは約39秒でした。約6秒ほど、Kingston SSD NV2 2TBのほうがローディング時間は早かったです。
ファイルコピー時間
「DiskBench」を使って、ファイルコピーにかかった時間を計測していきます。ファイルは約70GBの動画ファイルです。Kingston SSD NV2 2TBは約57秒、Crucial P2 1TBは約82秒でした。
約25秒ほど、Kingston SSD NV2 2TBのほうがファイルコピー時間は早かったです。
続いて、転送速度です。Kingston SSD NV2 2TBは約1256MB/s、Crucial P2 1TBは約875MB/sでした。
約391MB/s、Kingston SSD NV2 2TBのほうが転送速度は早かったです。
Kingston NV2 PCIe 4.0 NVMe SSDの温度をチェック
ヒートシンクを装着した状態と、外した状態でCrystal Disk Mark(64Gib、9回)実行中のSSDの温度をみていきます。温度はモニターソフト「HWiNFO」を参考にします。
ヒートシンクを装着した状態だと、最高温度は65℃まで上昇しました。一方、ヒートシンクなしだと、最高温度は68℃まで上昇しました。
PCI Express 4.0(x4)接続対応のNVMe SSDとしては、温度はかなり低い部類に入ると思います。もちろん、サーマルスロットリングは起きていません。
ただ、今回ベンチ台で計測したので、PCケースに入れた場合、温度はもう少し高くなると予想します。念のため、ヒートシンクはつけることをおすすめします。
Kingston NV2 PCIe 4.0 NVMe SSDの良かったところ・悪かったところ
まとめ
Kingstonの「NV2」シリーズの価格は、PCI Express 4.0(x4)対応にも関わらず、PCI Express 3.0(x4)のエントリーモデルとほぼ同等です。
読み書き性能も「NV2」シリーズのほうがPCI Express 3.0(x4)のエントリーモデルより遥かに優秀なので、コスパという観点で見ると、非常に魅力的なモデルといえます。
また、PCI Express 4.0(x4)対応になると負荷時の温度は高くなり、扱いづらさが増しますが、このモデルはそういった心配もありません。
導入コスト、扱いやすさを考えると、Nvme SSDを初めて導入する方にもおすすめできます。
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