エントリー向けGPUとして人気が高い、RTX 3050は予算を抑えたいと考えている方にとって魅力的な選択肢です。
しかし、RTX 3050にはVRAM容量が6GBと8GBの2種類が存在し、どちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、RTX 3050 (6GB)とRTX 3050 (8GB)の違いを解説し、それぞれのメリット・デメリットを明らかにすることで、あなたに最適なGPU選びをサポートします。
RTX 3050(6GB)とRTX 3050(8GB)はそれぞれこんな人におすすめ
RTX 3050(6GB)とRTX 3050(8GB)がどっちがおすすめなのか、以下にまとめました。
- フルHDモニターを使う人
- カジュアルにゲームを楽しみたい人
- より低予算に抑えたい人
- 重いゲームをプレーする際、グラフィック設定を落としても問題ない人
- 予算10万円以下でゲーミングPCを探している人
- 少しでも省電力でゲームを楽しみたい人
- ロープロファイルモデルを探している人
- フルHDモニターを使う人
- カジュアルにゲームを楽しみたい人
- 多少予算をかけてもいい人
- 重いゲームをプレーする際、グラフィック設定をなるべく落としたくない人
- 画像生成AIをカジュアルに楽しみたい人
RTX 3050は6GB版、8GB版、どちらもフルHD(1920×1080ドット)がメインターゲットです。
両GPUともに軽量級のゲームであれば、144hzでプレーできるので、フルHD144hzのモニターとの相性も良好です。
また、重量級のゲームもフルHD60fpsでプレー可能です。
ただし、6GB版は文字通り、VRAM容量が6GBと少なく、さらにバス幅が狭いこともあって、重量級のゲームは正直厳しいです。
6GB版で重量級のゲームをプレーする際は、グラフィック設定を落とす必要があります。
RTX 3050(6GB)とRTX 3050(8GB)の基本仕様を比較
RTX 3050(6GB) | RTX 3050(8GB) | |
---|---|---|
CUDAコア数 | 2,304 | 2,560 |
ベース/ブーストクロック | 1,042MHz / 1,470MHz | 1,552MHz / 1,777MHz |
標準メモリ構成 | GDDR6 6GB | GDDR6 8GB |
メモリバス幅 | 96bit | 128bit |
レイトレーシングコア(RTコア) | 18(第2世代) | 20(第2世代) |
Tensorコア | 72(第3世代) | 80(第3世代) |
NVIDIAアーキテクチャー | Ampere | Ampere |
NVIDIA Encoder(NVENC) | 第7世代 | 第7世代 |
DLSS | 2 | 2 |
グラフィックスカード電力(W) | 70 | 130 |
必須の電源 | 補助電源なし | 8ピン×1 |
基本仕様を比較すると、6GB版は8GB版と比べると下記のようにスペックが落とされています。
- VRAM容量:8GB→6GB
- CUDAコア数:2,560→2,304
- メモリバス幅:128bit→96bit
- ベースクロック:1,552MHz→1,042MHz
- ブーストクロック:1,777MHz→1,470MHz
このように、6GB版は8GB版と比べてVRAM容量だけでなく、CUDAコア数、メモリバス幅など、ゲームにおいて重要なスペックが削られています。
同じRTX 3050という名称がついていますが、全くの別モノとして認識した方がいいです。
その代わり、6GB版は8GB版に比べて、グラフィックスカード電力は130W→70Wとかなりの省電力になっています。それによって補助電源が必要なくなりました。8GB版は8pinの補助電源が必須なので、その違いは大きいです。
そのため、6GB版には、8GB版に存在しなかった、ロープロファイルモデルがあるのも大きな特徴となっています。
RTX 3050(6GB)とRTX 3050(6GB)のゲーム性能を比較
今回は以下の10のゲームのベンチマークをまとめました。
- Apex Legends
- Assassin’s Creed Mirage
- Cyberpunk 2077
- Far Cry 6
- ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- Fortnite
- ゴーストオブツシマ
- Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
- Watch Dogs Legion
- アーマードコア6
検証環境
検証環境 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D レビュー記事 |
GPU | MSI GeForce RTX 3050 LP(6G) GeForce RTX 3050 StormX(8GB) |
CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4-WH レビュー記事 |
CPUグリス | EVERCOOL Thermal GS-04 |
マザーボード | ASUS PRIME A620M-K-CSM |
メモリ | FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)(16GB×2) (DDR5-4800に設定) レビュー記事 |
ストレージ | Western Digital WD_BLACK SN770 NVMe 1TB レビュー記事 |
電源ユニット | Corsair RM750e |
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
Apex Legends
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
※演習場で計測
Apex Legendsにはベンチマークモードがありません。そのため、今回は演習場で、走ったり、テルミットグレネード、バンガロールのスモーク、ウルトなど、負荷重めの状況の中、約2分フレームレートを計測しました。
また、グラフィック設定にはプリセットがないので、上記の画像のように設定しました。
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約16%、WQHD解像度では約22%、4K解像度では約5%上回っています。
両GPUともにすべての解像度において、平均60fpsを超えています。
Cyberpunk 2077
・画質:ウルトラ
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約21%、WQHD解像度では約24%、4K解像度では約79%上回っています。
CyberPunk 2077は超重量ゲームなだけあって、RTX 3050では厳しいと思っていましたが、フルHD解像度であれば、両GPUともに平均60fpsを超えています。
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSS
・フレーレートしきい値:常に適用
※ベンチマークソフトで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約17%、WQHD解像度では約18%、4K解像度では約22%上回っています。
フルHD解像度、WQHD解像度であれば、両GPUともに平均60fpsを超えています。
Fortnite
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約22%、WQHD解像度では約23%、4K解像度では約26%上回っています。
両GPUともにフルHD解像度、WQHD解像度であれば、平均60fpsを超えています。
ゴーストオブツシマ
・画質:非常に高い
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:FSR3
※貴市の集落から豆酘平原に至る道を馬で1分間駆け抜けてるときのフレームレートを計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約20%、WQHD解像度では約22%、4K解像度では約35%上回っています。
両GPUともにフルHD解像度、WQHD解像度であれば、平均60fpsを超えています。
ゴーストオブツシマはフレーム生成のFSR3の設定があります。RTX3050はDLSS FGに対応していませんが、FSR3を使うことで爆発的にfpsを伸ばすことができます。
このようにFSR3が使えるゲームであれば、RTX 3050でも快適にプレー可能です。
アーマードコア6
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
※ミッション武装採掘艦護衛で計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約17%、WQHD解像度では約18%、4K解像度では約86%上回っています。
両GPUともにすべての解像度において、平均60fpsを下回っています。
アサシンクリードミラージュ
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約25%、WQHD解像度では約21%、4K解像度では約24%上回っています。
RTX3050(6GB)はすべての解像度において、平均60fpsを下回っています。一方でRTX 3050(8GB)はフルHD解像度でのみ、平均60fpsを上回っています。
Far Cry 6
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:FSRバランス
※ベンチマークモードで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約12%、WQHD解像度では約16%、4K解像度では約21%上回っています。
両GPUともにフルHD解像度、WQHD解像度であれば、平均60fpsを超えています。
レインボーシックスシージ
・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
※ベンチマークモードで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約20%、WQHD解像度では約23%、4K解像度では約27%上回っています。
両GPUともにフルHD解像度、WQHD解像度であれば、平均60fpsを超えています。
ウォッチドッグスレギオン
・画質:最大
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約12%、WQHD解像度では約17%、4K解像度では約27%上回っています。
RTX3050(6GB)はすべての解像度において、平均60fpsを下回っています。一方でRTX 3050(8GB)はフルHD解像度でのみ、平均60fpsを上回っています。
全10ゲームの平均fpsを比較
全10ゲームの平均fpsを各解像度ごとにまとめました。
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、フルHD解像度では約24%、WQHD解像度では約23%、4K解像度では約10%上回っています。
このことから、RTX3050(6GB)のゲーム性能はRTX3050(8GB)の8割くらいといえそうです。
Stable Diffusionで画像生成にかかる時間を計測
画像生成AIのStable Diffusionで生成時間を計測します。
起動オプション
RTX 3050(8GB) | –xformers –opt-channelslast |
---|---|
RTX 3050(6GB) | –xformers –opt-channelslast–medvram |
GTX 1660 SUPER | –xformers –opt-channelslast–no-half–medvram |
プロンプト・使用モデル
Positive | masterpiece, best quality, masterpiece, asuka langley sitting cross legged on a chair |
---|---|
Negative | lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, normal quality, jpeg artifacts,signature, watermark, username, blurry, artist name |
モデル | AnythingV3 |
設定
sampling method | Euler |
---|---|
Width | 512 |
Height | 512 |
sampling steps | 28 |
Batch count | 10 |
Batch size | 1 |
CFG Scale | 12 |
Seed | 2870305590 |
RTX 3050(8GB)とRTX 3050(6GB)の差は約6秒です。思ったほど差は開いていない印象です。
512×512の画像サイズであれば、8GB版と6GB版で大きな差はありません。
とはいえ、画像サイズをさらに大きくしたり、アップスケーリングなど、VRAM消費量が激しい作業の場合、8GB版のほうが快適に画像生成をおこなえるのは間違いありません。
画像生成をメインに考えているのなら、8GB版の方をおすすめします。
RTX 3050(6GB)とRTX 3050(8GB)の3DMarkベンチマーク
Fire Strike
Fire StrikeはDirectX 11の性能をテストするベンチマークテストです。
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、約23%上回っています。
Steel Normad light
Steel Normad lightはDirectX 12 Future Level 12の性能をテストする新しく追加されたベンチマークテストです。通常のSteel Normadはあまりにも負荷が重いため、今回は軽量版のlightを使用します。
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、約25%上回っています。
Speed Way
Speed WayはDirectX 12 Ultimateの性能をテストするベンチマークテストです。リアルタイムレイトレーシング機能である「DirectX Raytracing」を多用しているので負荷は非常に重いです。
RTX3050(8GB)はRTX3050(6GB)に対して、約39%上回っています。
RTX 3050(6GB)はバス幅など単純にスペックが削られています。それもあってか、負荷の重い3Dベンチマークは、RTX 3050(8GB)に大きな差が開いています。
RTX 3050(6GB)とRTX 3050(8GB)の消費電力
システム全体の消費電力をチェックします。
テストには、アイドル時と高負荷時(3DMark stress test実行)の2つのパターンで計測します。ワットチェッカーは「TP-Link Tapo」を使用します。
アイドル時の消費電力に差はほとんどありませんが、高負荷時は、約70WRTX 3050(6GB)のほうが省電力でした。
RTX 3050(6GB)搭載おすすめゲーミングPC
RTX 3050搭載のゲーミングPCはほぼ6GB版に置き換わっています。BTO各社、8GB版搭載のゲーミングPCの販売はストップしています。
グラボを探す
RTX 3050(8GB)は生産中止になったのか、徐々にショップでも姿を消しています。徐々にRTX 3050(6GB)に取って代わっています。
RTX 3050(6GB)
RTX 3050(8GB)
結局、RTX 3050(6GB)とRTX 3050(8GB)どっちがいいの?
RTX3050の6GB版はVRAM容量が6GBと少なく、バス幅が狭いこともあって、重量級のゲームが苦手です。とはいえ、軽量級のゲームであれば、VRAM容量の少なさもバス幅の狭さはデメリットにならず、十分快適にプレーできます。
軽量級のゲームがメインであれば、6GB版をおすすめします。
また、6GB版は消費電力が少なく、補助電源が必要ないので、少しでも消費電力を減らしてゲームをプレーしたいのならおすすめできます。
一方、8GB版はVRAM容量が8GBあり、バス幅も広いです。それもあってか、重量級のゲームでもフレームレートの落ち込みはあまりありません。
重量級のゲームもプレーするのであれば、8GB版をおすすめします。
ただし、補助電源が必須なこともあって、消費電力が多いです。ワットパフォーマンスにおいては、6GB版のほうが優秀です。
まとめ
今回の検証を通して、RTX3050の6GB版と8GB版との間にかなりの性能差が開いているのか分かりました。
同じRTX 3050という名前がついていますが、全くの別モノと見た方がいいです。
6GB版は、RTX 3040など別名称として販売した方がいいのでは?と個人的に思います。
6GB版と8GB版にはそれぞれメリット、デメリットがあるので、今回の記事を参考にして、自分に合った方を選んでみてはいかがでしょうか?
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