Ryzen 5 5600Gはデスクトップ向けでは最高峰の性能の「Vega」アーキテクチャーのRadeon Graphichsを搭載しています。
今回はRyzen 5 5600Gの内蔵GPUの性能をインテルの内蔵GPUと比較して、主にどれくらいゲームが快適にプレーできるのか、検証してみました。
Ryzen5 5600GのCPU性能については下記記事を参考にしてみてください↓。
https://mogalabo-gaming.jp/ryzen-5-5600g/
Ryzen 5 5600Gの内蔵GPUについて
Ryzen 5 5600Gは、ZEN3アーキテクチャーを採用したAPU、Ryzen 5000Gシリーズに属します。上位モデルには、Ryzen 7 5700Gがあります。
GPUコアにはデスクトップ向けでは最高峰の性能の「Vega」アーキテクチャーのRadeon Graphichsが採用されているのが最大の特徴となっています。
Ryzen 5 5600G | |
コアアーキテクチャ | ZEN3 |
製造プロセス | 7nm |
プラットフォーム | Socket AM4 |
物理コア | 6 |
論理コア | 12 |
L2キャッシュ | 3MB |
L3キャッシュ | 16MB |
ベースクロック | 3.90GHz |
最大クロック | 4.40GHz |
グラフィックスコア | 7 |
GPUクロック | 1,900MHz |
PCIe | PCI-Express3.0 |
TDP | 65W |
※2023年1月20日現在 |
参考価格約19,000円 |
上記の表は、Ryzen 5 5600Gのスペックをまとめたものです。
Ryzen 5 5600GのスペックはCPUコアが6コア/12スレッド、動作クロックは3.90GHz、ブーストクロックは4.40Ghz、L2キャッシュは3MB、L3キャッシュは16MBです。
グラフィックスコアは7基、GPUクロックは1,900MHz、メモリはDDR4-3200に対応しています。
GPU-Zで仕様を確認すると、VRAM容量がわずか512MBとなっています。内蔵GPUの場合、メインメモリからVRAMを拝借する形になるので、心配は不要です。
その他細かなCPU性能についてのレビューは下記記事を参考にしてみてください↓。
Radeon GraphichsとインテルUHDグラフィックス 730を比較
Ryzen 5 5600Gを実際に組み込んだPCを使用して各種ベンチマークを行って、内蔵GPUの性能を検証していきます。
比較対象は、Core i5-12400です。内蔵GPUにはインテルUHDグラフィックス730を搭載しています。
インテルUHDグラフィックス730は、最新のインテルXeグラフィックスアーキテクチャーを採用したことにより、以前のインテル内蔵GPUに比べると、大幅に3D性能が向上したといわれています。
AMDテスト機材 | インテルテスト機材 | |
CPU | Ryzen 5 5600G | Core i5-12400 |
CPUクーラー | DeepCool AK400 | |
CPUグリス | ARCTIC MX-4 | |
マザーボード | Gigabyte B450 SH2 | MSI PRO B660M-A |
メモリ | Crucial CT2K16G4DFRA32A(16GB×2/3200MHz動作) | |
SSD | Crucial P2 1TB | |
電源ユニット | 750W GOLD電源 使用モデル:V750 Semi-Modular RS750-AMAAG1-JP) |
|
OS | Windows 11 Home 64bit |
テスト環境です。
検証用のマザーボードはAMD B450チップセットを採用するGigabyteの「B450 SH2」、メモリには3,200MHz駆動のCrucialの「CT2K16G4DFRA32A」(16GB×2)を使用しました。
3Dベンチマーク
3DMark Time Spy
まずは定番3Dベンチマークの3DMarkのAPIにDirect X12を使用する、超重量級テスト「Time Spy」のパフォーマンスをチェックします。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、CPUスコアでは922pts負けていますが、Graphicsスコアでは712pts、総合スコアでは798pts勝っています。
3DMark Fire Strike
APIにDirect X11を使用する、重量級テスト「Fire Strike」のパフォーマンスをチェックします。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、Graphicsスコアでは1,994pts、CPUスコアでは803pts、Combinesスコアでは489pts、総合スコアでは1684pts勝っています。
3DMark Wild Life
APIにVulkanを使用する、クロスプラットフォーム対応の中量級テスト「Wild Life」のパフォーマンスをチェックします。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、総合スコアで3011pts勝っています。
3DMark Night Raid
3DMarkのラストは、APIにDirect X12を使用する、軽量級テスト「Night Raid」のパフォーマンスをチェックします。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、Graphicsスコアでは8153pts、CPUスコアでは447pts、総合スコアでは6893pts勝っています。
PassMark PerformanceTest:GPU MARK
PassMark PerformanceTestは、「CPU」「2Dグラフィックス」「3Dグラフィックス」「メモリ」「ディスク速度」の5項目のパフォーマンスが計測できるベンチマークです。
今回はCPU性能を計測できるGPU MARKのパフォーマンスをチェックします。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、873pts勝っています。
Geekbench
Geekbenchは、Windows、Mac、Linux、iOS、Andoidといった、クロスプラットフォームで動作するベンチマークです。CPU性能も計測できますが、今回はGPU性能のみを計測します。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、OpenCLスコアでは8051pts、Vulkanスコアでは10423pts勝っています。
Blender Benchmark
Blender Benchmarkはオープンソースの3DCGソフトの「Blender」のレンダリングパフォーマンスを計測するベンチマークです。1分間に生成されるサンプル数で結果が表示されます。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、monsterでは9、junkshopでは3、classroomでは4負けています。
PCMark 10 Extended
PCMark 10は、複数のアプリケーションをPC上で動作させてパソコン全体の性能を計測できる、総合ベンチマークです。
PCの基本性能を計測する「Essentials」、ビジネスアプリケーションの処理性能を計測する「Productivity」、ゲームの実行に関わる性能を計測する「Gaming」、コンテンツ制作に関わる性能を計測する「Digital Content Creation」の4つのテストで構成されています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、Essentialsでは306pts負けていますが、Productivityでは3132pts、Digital Content Creationでは1325pts、総合スコアでは1307pts勝っています。
なお、Essentials スコアで4100以上、Productivityのスコアで4500以上、Digital Content Creationのスコアで3450以上がPC MARK 10が定める推奨のシステムです。
両CPUともに推奨環境を満たしています。
ゲーミング性能
ゲームベンチでは基本的に最低設定、スケーリングは100%、アップスケーリングはオフにして計測しています。また、解像度は1080p(1,920×1,080)と720p(1280×720)の2パターンに設定してベンチをとっています。
FINAL FANTASY XIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ここからは実際のゲームを想定したベンチマークを行っていきます。まず、最初に実施するのは、FINAL FANTASY XIV: 暁月のフィナーレのベンチマークです。
グラフィックス設定は標準品質(デスクトップ)を選択しています。
まず、総合スコアです。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの総合スコアでは1604pts、720pの総合スコアでは1417pts勝っています。
続いて、平均フレームレートです。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは12fps、720pの平均フレームレートでは12fps勝っています。
FINAL FANTASY XV ベンチマーク
FINAL FANTASY XV ベンチマークです。グラフィックス設定は軽量品質を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの総合スコアでは1206pts、720pの総合スコアでは1935pts勝っています。
ドラゴンクエストX ベンチマーク
ドラゴンクエストX ベンチマークです。グラフィックス設定は低品質を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの総合スコアでは9669pts、720pの総合スコアでは7990pts勝っています。
ASSASSINS CREED VALHALLA ベンチマーク
ASSASSINS CREED VALHALLA ベンチマークです。グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは17fps、720pの平均フレームレートでは27fps勝っています。
Cyberpunk 2077 ベンチマーク
Cyberpunk 2077 ベンチマークです。グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは10fps、720pの平均フレームレートでは19fps勝っています。
Forza Horizon 5 ベンチマーク
Forza Horizon 5 ベンチマークです。グラフィックス設定は最低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは40fps、720pの平均フレームレートでは50fps勝っています。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege ベンチマーク
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege ベンチマークです。グラフィックス設定は最低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは35fps、720pの平均フレームレートでは72fps勝っています。
Shadow of the Tomb Raider ベンチマーク
Shadow of the Tomb Raider ベンチマークです。グラフィックス設定は最低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは19fps、720pの平均フレームレートでは31fps勝っています。
Watch Dogs: Legion ベンチマーク
Watch Dogs: Legion ベンチマークです。グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは13fps、720pの平均フレームレートでは23fps勝っています。
STREET FIGHTER V ベンチマーク
STREET FIGHTER V ベンチマークです。グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは19fps勝っていますが、720pの平均フレームレートでは全くの互角でした。
というのも、このゲームは60fpsが上限なので720pでは軽すぎて、差がつきませんでした。
Apex Legends
Apex Legendsです。
ベンチマークモードがないので、演習場を3分間周回している間のフレームレートを計測します。
グラフィック設定にプリセットがないので、可能な限り各設定を最低レベルに引き下げています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは28fps、720pの平均フレームレートでは53fps勝っています。
マルチプレイでは、Ryzen 5 5600Gの場合、1080pでは頻繁にフレームレートが60を下回り、快適には程遠い印象でした。一方、720pでは常に60fpsを超えており、快適にプレーできました。
Fortnite
Fortniteです。
ベンチマークモードがないので、クリエイティブ島を3分間周回している間のフレームレートを計測します。
グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは50fps、720pの平均フレームレートでは98fps勝っています。
マルチプレイのリプレイを確認したところ、Ryzen 5 5600Gの場合、1080pでも常に60fpsを超えており、快適にプレーできる印象です。
VALORANT
VARORANTです。
ベンチマークモードがないので、演習場を3分間周回している間のフレームレートを計測します。
グラフィック設定にプリセットがないので、可能な限り各設定を最低レベルに引き下げています。解像度は1,920×1,080ドットです。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは119fps、720pの平均フレームレートでは93fps勝っています。
Overwatch 2
Overwatch 2です。
ベンチマークモードがないので、演習場を3分間周回している間のフレームレートを計測します。
グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは43fps、720pの平均フレームレートでは84fps勝っています。
PUBG:BATTLEGROUNDS
PUBG:BATTLEGROUNDSです。
ベンチマークモードがないので、演習場を3分間周回している間のフレームレートを計測します。
グラフィックス設定は最低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは39fps、720pの平均フレームレートでは61fps勝っています。
Death Stranding
Death Strandingです。
ベンチマークモードがないので、フィールドを3分間歩いている間のフレームレートを計測します。
グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは16fps、720pの平均フレームレートでは27fps勝っています。
原神
原神です。
ベンチマークモードがないので、フィールドを3分間歩いている間のフレームレートを計測します。
グラフィックス設定は低設定を選択しています。
Ryzen 5 5600GはCore i5-12400に対して、1080pの平均フレームレートでは31fps、720pの平均フレームレートでは52fps勝っています。
Ryzen 5 5600G(Radeon Graphics)の3D性能はおおよそ、Core i5-12400(UHD730)の2倍ほどあるのが分かりました。
Ryzen 5 5600Gのゲーミング性能総括
今までとってきたゲームベンチから、Ryzen 5 5600Gのゲーミング性能を総括したいと思います。全てのゲームはスケーリング100%、グラフィック設定は低設定です。
なお、Fortniteのようなマルチプレーがメインのゲームでは、マルチプレーでの快適さを想定しています。
- 快適にプレー可能・・・〇
- ギリギリプレー可能・・・△
- プレーは厳しい・・・×
解像度 | 1080p | 720p |
---|---|---|
FINAL FANTASY XIV | × | 〇 |
FINAL FANTASY XV | × | × |
ドラゴンクエストX | 〇 | 〇 |
ASSASSINS CREED VALHALLA | × | × |
Cyberpunk 2077 | × | × |
Forza Horizon 5 | △ | 〇 |
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege | 〇 | 〇 |
Shadow of the Tomb Raider | × | △ |
Watch Dogs: Legion | × | × |
STREET FIGHTER V | 〇 | 〇 |
Apex Legends | △ | 〇 |
Fortnite | 〇 | 〇 |
VALORANT | 〇 | 〇 |
Overwatch 2 | 〇 | 〇 |
PUBG:BATTLEGROUNDS | △ | 〇 |
Death Stranding | × | △ |
原神 | 〇 | 〇 |
こうしてみると、負荷の低いゲームに限れば、1080pでもプレーできる性能はあります。ただ、負荷の重いゲームはたとえ、720pにしてもプレーは厳しいです。
Ryzen 5 5600G搭載おすすめBTOパソコン
まとめ
数々のベンチマークで検証した通り、Ryzen 5 5600Gの内蔵GPU、Radeon Graphicsの性能は非常に高いです。インテルの内蔵GPUと比べると、圧倒的な差があります。
Ryzen 5 5600G単体で、解像度が720pであれば大抵のゲームはもちろん、軽いゲームであれば1080pでもプレーできるポテンシャルがあります。
個人的には、Fortniteのマルチプレーが1080pでも普通に遊べてしまうことに驚きました。
ただ、Cyberpunk 2077などの重量級のゲームはたとえ720pにしても、快適にプレーするのは不可能に近いので過度な期待は禁物です。
もし、性能不足も感じても、CPU性能も悪くないので、あとからビデオカードを付け足すことも可能なので汎用性の高さも魅力的です。
2023年3月現在、Ryzen 5 5600Gは2万円前後まで価格が落ちており、まさに今が買い時となっています。
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