Ryzen 5 4500とRTX 4060の組み合わせは非常に人気が高い構成です。実際、BTOショップでもRyzen 5 4500とRTX 4060のモデルを高コスパモデルとして売り出しています。
しかし、Ryzen 5 4500はZEN2世代のCPUなので、「RTX 4060の性能をフルに活かせられるのか?」という一つの疑問が浮かびます。
そこで今回は、「Ryzen 5 4500とRTX 4060」と「Ryzen 7 5700XとRTX 4060」という2つの組み合わせで、ゲーム性能に差が生まれるのか実際に検証してみました。
Ryzen 5 4500とは
「Ryzen 5 4500」は、2022年6月10日に発売開始された、AMDのデスクトップ向けCPUです。
注目なのが、アーキテクチャーの「ZEN2」です。
すでに「ZEN3」アーキテクチャーを採用していたCPUが発売されているにも関わらず、あえて、古い世代のCPUを発売したことで当時話題になりました。
ただ、旧世代のアーキテクチャーを採用したことで「Ryzen 5 4500」の価格は抑えられており、今現在もコスパの高いCPUとして人気が高いです。
Ryzen 5 4500 | Ryzen 7 5700X | |
---|---|---|
コア数/スレッド数 | 6コア/12スレッド | 8コア/16スレッド |
定格/最大ブーストクロック | 3.6GHz/4.1GHz | 3.4GHz/4.6GHz |
3次キャッシュ容量 | 8MB | 32MB |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
倍率アンロック | 〇 | 〇 |
PCI Express | 20レーン(Gen3) | 20レーン(Gen4) |
内蔵GPU | × | × |
コードネーム | Renoir | Vermeer |
アーキテクチャー | ZEN2 | ZEN3 |
プロセスルール | 7nm | 7nm |
TDP | 65W | 65W |
参考価格 | 約13,000円 | 約27,000円 |
上記の表は「ZEN3」の「Ryzen 7 5700X」との比較です。
アーキテクチャー、コア数、スレッド数など違いがありますが、最も注目すべきなのが3次キャッシュ容量の違いです。
「Ryzen 7 5700X」は32MBと比較的容量があるのに対して、「Ryzen 5 4500」はわずか8MBしかありません。
CPUのキャッシュ容量はゲーム性能に影響を与えるので、正直この3次キャッシュの容量の少なさを見ると、「Ryzen 5 4500」のゲーム性能に不安を感じます。
ゲーム性能最強のCPU、「Ryzen 7 7950X3D」の3次キャッシュの容量は128MBあるので、キャッシュの容量はゲーム性能に重要な要素だからです。
Ryzen 5 4500のパッケージです。灰色とRyzenのイメージカラーのオレンジを組み合わせたデザインを採用しています。リテールクーラーは同梱するので、その分厚みはあります。
正方形のいつものデザインを採用。表面はCPUの型番などが刻印され、裏面はCPUソケットのピンがびっしりと埋め込まれています。
リテールクーラーの「Wraith Stealth cooler」が付属します。
CPU-ZでRyzen 5 4500の情報を取得。3次キャッシュの容量はやはり8MBでした。
タスクマネージャーを確認すると、6コア12スレッドのCPUとして認識されていました。
Ryzen 5 4500とRyzen 7 5700Xのゲーム性能を比較
テスト環境
検証環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 5 4500」 AMD「Ryzen 7 5700X」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
CPUクーラー | PC COOLER「GAME ICE K4-WH」 |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 4060 StormX V1 8GB」 |
マザーボード | ASUS「PRIME B550M-A」 |
メモリ | CRUCIAL 「CT2K16G48C40U5」(DDR4-3200/16GB×2) |
SSD | Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | 玄人志向「KRPW-BK650W/85+」 |
PCケース | Thermaltake 「S100 TG Snow Edition」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
使用するグラボはRTX 4060です。フルHD解像度向けなので、今回のゲームベンチマークではすべて解像度をフルHDに設定しています。
基本性能を定番ツールで計測
まずはCPUレンダリングを計測する代表的なソフト、「CINEBENCH」からです。
最新の2024だと、Ryzen 5 4500のマルチスレッドスコアはRyzen 7 5700Xと比較して約36%下回っています。シングルスレッドスコアも同様に、約25%下回っています。
フルHD解像度のゲーム性能
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高”、スケーリングは”100%”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して25%下回りました。
Overwatch 2
「Overwatch 2」のベンチマークです。
「Overwatch 2」にはベンチマークモードがないので、有志の方が作ってくれたBOT戦を1分間観戦して平均fps、最低fpsを計測します。使用ツールはCapFrameXです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”エピック”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して11%下回りました。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高品質”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して26%下回りました。
BLUE PROTOCOL
「BLUE PROTOCOL」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して26%下回りました。
Fortnite
「Fortnite」のベンチマークです。
「Fortnite」にはベンチマークモードがないので、有志の方が作ってくれたベンチマークモードを使用して平均fps、最低fpsを計測します。使用ツールはCapFrameXです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して9%下回りました。
Forza Horizon 5
「Forza Horizon 5」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”エクストリーム”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して20%下回りました。
Watch Dogs Legion
「Watch Dogs Legion」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最大”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して12%下回りました。
Assassin’s Creed Mirage
「Assassin’s Creed Mirage」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して15%下回りました。
アーマードコア6
「アーマードコア6」のベンチマークです。
「アーマードコア6」にはベンチマークモードがないので、ミッションの「武装採掘艦護衛」を1分間プレーして、平均fps、最低fpsを計測します。使用ツールはCapFrameXです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して15%下回りました。
Cyberpunk 2077
「Cyberpunk 2077」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高”に設定し、ベンチマークを実行しています。
平均fpsでRyzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して3%下回りました。
全10ゲームの平均fps
検証に使用した全10ゲームの平均fpsを比較します。Ryzen 5 4500は、Ryzen 7 5700Xに対して13%下回りました。
Ryzen 5 4500とRTX 4060の組み合わせはありかなしか?
検証を通して、Ryzen 5 4500のゲーム性能は思ったほど伸びないのを確認しました。
エントリークラスのGPUのRTX 4060でも力不足なので、より上位のGPUを使用した場合、他のCPUともっと差が開きます。
少しでもfpsを稼ぎたいというのであれば、Ryzen 5 4500は正直おすすめはしません。たとえ、RTX 4060を使用したとしても、Ryzen 7 5700Xなどのより上位のCPUを選んだ方が後悔は少ないと思います。
ただ、RTX 4060+Ryzen 5 4500という組み合わせでも、フルHD60fpsは十分実現可能です。
フルHD60fpsでゲームが出来さえすればいいというのであれば、Ryzen 5 4500の使用を視野に入れてもいいのではないでしょうか?
RTX 4060搭載のおすすめゲーミングPC
まとめ
Ryzen 5 4500はやはり3次キャッシュの容量が少ないことが災いして、ゲーム性能が思ったほど伸びません。
Ryzen 7 5700XなどのCPUと比較した場合、ゲームによってはfpsに10~20%ほど差が生まれます。
ただ、それを許容範囲として捉えるのであれば、純粋にコスパの良いCPUです。どうしても予算に限りがある場合、Ryzen 5 4500は有力なCPUの1つであるのは間違いないです。