【フルHD入門】RTX 4060の性能を解説!【ベンチマーク】

2023年6月、NVIDIAのGPUのRTX 4060を搭載したビデオカードの販売が開始されました。
RTX 4060は、RTX 3060に置き換わる、エントリークラス帯の位置づけのGPUです。
ターゲット解像度はフルHD向けですが、DLSS 3(DLSS Frame Generation)に対応しているので、対応ゲームであれば、より高負荷なゲームでもパフォーマンスを発揮します。
今回の記事ではRTX 4060の特徴、ゲーム性能を解説します。
RTX 4060の概要
RTX 4060の仕様

RTX 4060 | RTX 3060 | |
CUDAコア数 | 3,072 | 3584 |
ベース/ブーストクロック | 1,830MHz / 2,535MHz | 1,320MHz / 1,780MHz |
標準メモリ構成 | GDDR6 8GB | GDDR6 12GB |
メモリバス幅 | 128bit | 192bit |
RTコア数 | 24 | 28 |
Tensorコア | 96 | 112 |
NVIDIAアーキテクチャー | Ada Lovelace | Ampere |
PCI-Express | Gen4×16 | Gen4×16 |
グラフィックスカード電力 | 115W | 170W |
必須の電源 | 8ピン×1 | 8ピン×1 |
上記のスペックを見てわかる通り、RTX 4060のスペックは全体的に前世代のRTX 3060に劣っています。
RTX 3060と比べると、ベース/ブーストクロックは上昇していますが、CUDAコア数、VRAM搭載量、メモリバス幅など、軒並みスペックダウンしています。
ただし、スペックダウンしたことにより、グラフィックスカード電力は115Wになり、省電力化しています。
また、
L2キャッシュに関してはRTX 4060が24MBに対して、RTX 3060はわずか3MBと、大きく上回っています。言い換えると、RTX 4060は、RTX 3060のスペックを落として省電力化し、その代わり豊富なL2キャッシュの容量で性能を補っているGPUと言えます。

L2キャッシュの搭載量が多いと、メインメモリへのアクセス頻度を減らせ、結果として処理速度を向上させます。
RTX 4060の3D性能


3DMarkの新世代テストの「Steel Nomad」、「Steel Nomad Light」、「Speed way」を実行しました。
各テストの特徴は下記の通りです。
特長 | |
---|---|
Steel Nomad | DirectX 12 Future Level 12_0に対応したGPUを対象としたベンチマーク。レイトレーシングは使用していないが、レンダリング解像度は3840×2160ドットなので負荷は非常に重い |
Steel Nomad Light | Steel Nomadの軽量版。iOS/iPad OSやAndroid端末でも計測可能なマルチプラットフォーム対応のベンチマーク。負荷は中程度。 |
Speed way | DirectX 12 Feature Level 12_2に対応したGPUを対象としたベンチマーク。レンダリング解像度は2560×1440ドットだが、レイトレーシングを用いているため負荷は非常に重い |


「Steel Nomad」、「Speed way」のベンチ結果です。
RTX 4060のスコアは、「Steel Nomad」は2,251、「Speed way」は2,634でした。
前世代のRTX 3060に対して、「Steel Nomad」では約12%、「Speed way」では約17%上回りました。
「Steel Nomad」、「Speed way」の両テストのスコアは平均フレームレートを元に算出されます。
つまり、RTX 4060は、「Steel Nomad」においては平均22.51fps、「Speed way」においては平均26.34fpsを達成していることを意味します。


「Steel Nomad Light」のベンチ結果です。
RTX 4060のスコアは10407でした。
「Steel Nomad Light」はfpsでも結果が表示されます。RTX 4060は76,87fpsでした。
ここでも傾向としては、「Steel Nomad」、「Speed way」のベンチ結果に酷似しています。



RTX 4060の3D性能は、RTX 3060とRTX 3060 Tiの丁度中間に位置します。


DLSS FGに対応


RTX 4060は、GeForce RTX 40シリーズで初めて導入された、フレーム生成技術の「DLSS FG」に対応しています。
「DLSS FG」に対応しているゲームだと爆発的にフレームレートを伸ばすことができます。


超解像技術「DLSS」のテストを行う、「NVIDIA DLSS feature test」です。
DLSSを適用させないと平均フレームレートは10fpsにとどまりますが、DLSS FGを有効にすると48fpsまで伸びます。
RTX 4060はDLSS FGに対応しているので、DLSS FG非対応のRTX 3060 Ti、RTX 3060に対して大きく差をつけています。



DLSS FG対応ゲームでは、RTX 4060のゲーム性能は、格上のRTX 3060 Tiを打ち負かします。
リアルタイムレイトレーシングに対応


RTX 4060はリアルタイムレイトレーシングに対応しています。リアルタイムレイトレーシングを設定することで、光の物理的な挙動がシミュレーションされ、よりリアルな映像を実現できます。
その代わり、GPUに凄まじい負荷がかかります。


サイバーパンク2077にももちろん、リアルタイムレイトレーシングの設定項目があり、さらに、パストレーシングが適用させて、すべての光源が物理的に正確になる、レイトレーシング:オーバードライブ設定があります。
サイバーパンク2077のレイトレーシング:オーバードライブ設定で、RTX 4060はDLSSバランスとDLSS FGを適用させれば、1920×1080ドットでは平均60fpsを超えます。
RTX 4060でもリアルタイムレイトレーシングを設定して遊ぶことは十分可能です。
VRAM搭載量は8GB


昨今のゲームのVRAM消費量は凄まじいものがあります。例えば、BIOHAZARD RE:4は最高設定だとたとえ、フルHD解像度でもVRAM消費量は12GBを超えます。
RTX 4060のVRAM容量は8GBなので、一部ゲームではVRAM容量不足に陥る可能性があります。


実際にVRAM搭載量が12GBあるRTX 3060を比較対象として、BIOHAZARD RE:4をプレーしてみました。
RTX 4060は平均fpsではRTX 3060を上回りましたが、最低fps(1%Low)では、RTX 3060を下回りました。
RTX 4060は度々カクツキが起きましたが、RTX 3060の方が明らかにカクツキは少なく、快適にプレーできました。
RTX 4060で、VRAM消費量の激しいゲームをプレーする場合、VRAM8GBをオーバーしないように、設定を下げる必要があります。
画像生成AIの性能をチェック


画像生成AIのStable Diffusionを使って画像生成AIの性能をチェックします。画像サイズ512×512の画像を10枚生成にかった時間を計測します。
設定
起動オプション | –xformers –opt-channelslast |
---|---|
Positive | masterpiece, best quality, masterpiece, asuka langley sitting cross legged on a chair |
Negative | lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, normal quality, jpeg artifacts,signature, watermark, username, blurry, artist name |
モデル | AnythingV3 |
sampling method | Euler |
Width | 512 |
Height | 512 |
sampling steps | 28 |
Batch count | 10 |
Batch size | 1 |
CFG Scale | 12 |
Seed | 2870305590 |


RTX 4060は、10枚の画像生成を31.1秒で完了しました。 前世代のRTX 3060と比較して約6秒の短縮となり、RTX 3060 Tiと同等の性能を示しました。



VRAM容量が8GBなので負荷の重い画像生成は厳しいですが、512×512くらいのサイズであれば、十分快適に処理できます。画像生成AIの入門モデルとして、RTX 4060はおすすめできます。
検証に使用したRTX 4060のモデル


検証で使用したのは、「Palit GeForce RTX 4060 StormX V1 8GB」です。




デュアルファンを搭載しています。裏面はバックプレートは未装着です。長さは170mmあるのでコンパクトなPCケースに収まります。


x8接続なので、x16接続のグラボより端子は短いです。


厚みは約38mmでほぼ2スロットを占有します。


外部出力端子はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1a×1です。
検証環境


検証環境 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D レビュー記事 |
CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4-WH レビュー記事 |
CPUグリス | EVERCOOL Thermal GS-04 |
マザーボード | ASUS PRIME A620M-K-CSM |
メモリ | FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)(16GB×2) (DDR5-4800に設定) レビュー記事 |
ストレージ | Western Digital WD_BLACK SN770 NVMe 1TB レビュー記事 |
電源ユニット | MSI MAG A850GL PCIE5 |
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
RTX 4060のゲーム性能
以下の5ゲームをプレーして、RTX 4060のゲーム性能をチェックします。
- Cyber Punk 2077
- ゴーストオブツシマ
- ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー
- Apex Legends
- Fortnite
Cyber Punk 2077


・画質:ウルトラ
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※ベンチマークモードで計測


1920×1080ドット、2560×1440ドットでは平均60fpsを超えていますが、負荷の重い3840×2160ドットでは平均60fpsを下回っています。
1920×1080ドットでは平均144fpsを狙えそうです。
負荷が重いゲームとして有名なCyber Punk 2077ですが、RTX 4060であれば、快適にプレー可能です。
他のGPUとの比較(平均fps)
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
RTX 4080 SUPER | 323 | 229 | 118 |
RTX 4070 Ti SUPER | 303 | 209 | 104 |
RTX 4070 SUPER | 278 | 188 | 88 |
RTX 4070 | 238 | 151 | 69 |
RTX 4060 Ti | 198 | 125 | 56 |
RTX 4060 | 156 | 98 | 44 |
ゴーストオブツシマ


・画質:非常に高い
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※演習場で計測


1920×1080ドット、2560×1440ドットでは平均60fpsを超えていますが、負荷の重い3840×2160ドットでは平均60fpsをわずかに下回っています。
設定を下げれば、3840×2160ドットでのプレーも十分可能です。
Cyber Punk 2077と同じく、負荷が重いゴーストオブツシマですが、RTX 4060であれば快適にプレー可能です。
他のGPUとの比較(平均fps)
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
RTX 4080 SUPER | 220 | 201 | 158 |
RTX 4070 Ti SUPER | 198 | 179 | 139 |
RTX 4070 SUPER | 175 | 157 | 119 |
RTX 4070 | 153 | 136 | 103 |
RTX 4060 Ti | 120 | 106 | 77 |
RTX 4060 | 94 | 83 | 59 |
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSS
・フレーレートしきい値:常に適用
※ベンチマークソフトで計測


1920×1080ドット、2560×1440ドット、3840×2160ドットのすべての解像度で平均60fpsを超えています。
1920×1080ドットでは平均144fpsを狙えそうです。
黄金のレガシーで負荷は重くなりましたが、RTX 4060であれば快適にプレー可能です。
他のGPUとの比較(平均fps)
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
RTX 4080 SUPER | 281 | 255 | 181 |
RTX 4070 Ti SUPER | 265 | 236 | 159 |
RTX 4070 SUPER | 263 | 220 | 137 |
RTX 4070 | 236 | 195 | 119 |
RTX 4060 Ti | 209 | 158 | 89 |
RTX 4060 | 190 | 139 | 77 |
Apex Legends


・画質:最高、最低
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
※演習場で計測


演習場でテルミットグレネード、バンガロールのスモーク、ウルトなど、負荷重めの状況で計測しています。
1920×1080ドット、2560×1440ドット、3840×2160ドットのすべての解像度で平均60fpsを超えています。
1920×1080ドット、2560×1440ドットでは平均144fpsを狙えそうです。
RTX 4060であれば快適にプレー可能です。
他のGPUとの比較(平均fps)
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
RTX 4080 SUPER | 298 | 278 | 214 |
RTX 4070 Ti SUPER | 294 | 264 | 195 |
RTX 4070 SUPER | 286 | 249 | 171 |
RTX 4070 | 270 | 227 | 147 |
RTX 4060 Ti | 232 | 187 | 114 |
RTX 4060 | 201 | 153 | 87 |
Fortnite


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測


1920×1080ドット、2560×1440ドット、3840×2160ドットのすべての解像度で平均60fpsを超えています。
1920×1080ドット、2560×1440ドットでは平均144fpsを狙えそうです。
RTX 4060であれば快適にプレー可能です。
他のGPUとの比較(平均fps)
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
RTX 4080 SUPER | 437 | 371 | 231 |
RTX 4070 Ti SUPER | 407 | 322 | 193 |
RTX 4070 SUPER | 393 | 299 | 168 |
RTX 4070 | 341 | 256 | 137 |
RTX 4060 Ti | 286 | 207 | 106 |
RTX 4060 | 261 | 183 | 93 |



RTX 4060はフルHD解像度向けと言われていますが、アップスケーリングやフレーム生成を活用することで、WQHD解像度でプレーすることも十分可能です。
RTX 4060と組み合わせるCPUについて
RTX 4060搭載モデルによく採用されるCPU一覧


RTX 4060搭載のゲーミングPCによく採用されるのは以下の9種類のCPUです。
- Ryzen 7 7800X3D
- Ryzen 7 7700
- Ryzen 5 7500F
- Ryzen 7 5700X
- Ryzen 5 5500
- Ryzen 5 4500
- Core i7-14700F
- Core i5-14400F
- Core i5-12400
RTX 4060に合うおすすめのCPUとは?
おすすめ度 | CPU |
---|---|
Core i5-14400(F) | |
Ryzen 7 5700X、Ryzen 5 7500F、Core i5-12400(F) | |
Core i7-14700(F)、Ryzen 7 7700、Ryzen 7 7800X3D | |
Ryzen 5 5500 | |
Ryzen 5 4500 |
結論から言うと、RTX 4060と組み合わせるCPUをおすすめ度でまとめると上記の通りです。


上記のグラフはゲーム10タイトルの平均fpsを各解像度ごとにまとめたものです。
最も優秀なのはRyzen 7 7800X3Dで、次点にCore i7-14700Fが来ますが、差はほとんどありません。
一方、2番手グループに、Ryzen 7 7700、Core i5-14400F、Ryzen 5 7500F、Core i5-12400、Ryzen 7 5700Xが来ますが、差はほとんどありません。
平均fpsの伸びが最もイマイチなのはRyzen 5 4500でした。
全10ゲームのタイトル
- 【軽量級】Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
- 【中量級】Fortnite
- 【中量級】Forza Horizon 5
- 【中量級】Deus Ex: Mankind Divided
- 【中量級】Shadow of the tomb raider
- 【中量級】Far Cry6
- 【中量級】ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー
- 【重量級】Cyberpunk 2077
- 【重量級】Assassin’s Creed Mirage
- 【重量級】Watch Dogs: Legion
この結果から、Ryzen 7 7800X3DとCore i7-14700Fの両CPUをおすすめしたいところですが、ゲームによっては、GPUボトルネックを起こすことも多々あります。
正直、RTX 4060との組み合わせにおいては力を持て余している印象があります。


最もおすすめなのは「Core i5-14400F」です。
CPU単体の価格が2万円台中盤という低価格にも関わらず、RTX4060との組み合わせにおいてはRyzen 7 7700とほぼ同等のゲーム性能を発揮しているからです。
当然、「Core i5-14400F」を搭載しているゲーミングPCも安くなる傾向が高まります。


逆に最もおすすめできないのが「Ryzen 5 4500」です。
ゲームによっては例えばCore i5-14400Fとの比較で、平均fpsで約43%下回っています。
なぜ、「Ryzen 5 4500」のゲーム性能はこんなに低いのか?
それは「ZEN2」(最新世代はZEN5)という型落ちかつ、ゲームに重要なL3キャッシュの量がわずか8MBだからです。さらにグラボとの接続も「Gen3 x8」に制限されます。
RTX 4060との組み合わせで大人気の「Ryzen 5 4500」ですが、この組み合わせのゲーミングPCは絶対に選ばないように注意してください。また同じ理由で「Ryzen 5 5500」もおすすめできません。
ただ、「Ryzen 5 5500」のほうが「Ryzen 5 4500」よりゲーム性能は高いので、どうしても予算に限りがある場合、「Ryzen 5 5500」の方を選んだ方が後悔は少ないと思います。


【結論】RTX 4060がおすすめな方は?
予算を抑えたい方
RTX 4060搭載ゲーミングPCは安いモデルで10万円前半で購入できるため、予算を抑えたいけど、なるべく性能の良いゲーミングPCが欲しい方に向いています。
フルHD解像度でプレーしたい方
アップスケーリングやフレーム生成を使用することで、RTX 4060でも重量級のゲームでもそこそこ遊べます。
ただ、それでも高画質4K解像度でプレーするのは少々厳しいです。
VRAM容量が8GBと少ないのに加えて、ハス幅も狭く、高画質4K解像度ではさすがに息切れする印象です。
RTX 4060は、あくまでもフルHD解像度(WQHD解像度も一応可能)でプレーしたい方向けのビデオカードです。
VRAM消費量の多いゲームをしない方
昨今のゲーム、VRAM消費量が非常に多いです。フルHD解像度ですらVRAMを8GB以上消費してしまうケースもあります。
VRAM消費量が多いゲームをプレーする場合は設定を下げて対応する必要があります。