ASUSとNoctuaが共同開発した「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」をレビュー!RTX 4070 Ti SUPERと性能を比較

「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」は、ASUSとNoctuaがコラボレーションして生まれたグラフィックスカードです。
Noctuaの大人気冷却ファンの「NF-A12x25 PWM」と専用に設計されたヒートシンクで、強力な冷却性能と、静音性を実現したモデルです。
今回は「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」をレビューします。

ASUS JAPAN株式会社より製品をお借りして記事を作成しています。
GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Editionの仕様
製品名 | RTX4080S-O16G-NOCTUA |
---|---|
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4080 SUPER |
ブーストクロック | 16GB GDDR6X |
メモリスピード | 23 Gbps |
メモリバス幅 | 256bit |
ビデオメモリ | 16GB GDDR6X |
出力インターフェース | HDMI 2.1a x2、DisplayPort 1.4a x3 |
バスインターフェース | PCI Express 4.0(×16) |
補助電源コネクタ | 1 x 16-pin |
推奨電源ユニット | 850W |
カードサイズ | 長さ310mm、幅144.8mm、厚さ87.5 mm(4.3スロット) |


パッケージと付属品をチェック


「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」のパッケージには、ASUS×Noctuaと記載されており、コラボモデルであることが強く意識されています。


パッケージの裏面には製品の特長が記載されています。またパッケージ上部にはプラスチック製の取っ手がついています。


「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」の付属品です。


8pin×3→16pin変換アダプタが付属します。




ドライバーとして使えるグラフィックスカードホルダーが付属します。
外観をチェック


どんなに巨大なグラフィックスカードでも、厚さは3スロットをわずかに超えるのが一般的です。
一方、「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」の場合、厚さは4.3スロット(厚さ87.5 mm)を占有するので、その巨大さに驚かされます。


厚さ66mmの「Manli RTX 4070 Ti Super Gallardo」と比較してみると、「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」の厚さは際立っています。


本体重量は実測で1,924gと、グラフィックスカードとしてはかなりの重さです。水平に設置する場合、グラフィックスカードホルダーの利用は必須です。


VGAクーラーのファンには、Noctuaの「NF-A12x25 PWM」が2基搭載されています。120mmファンなので、VGAクーラーのファンとしては、かなり巨大です。


2スロットのブラケットを採用しています。


4.3スロット(厚さ87.5 mm)の厚さは圧巻の一言。ヒートシンクの上にファンが乗っかっている、いわゆるトップフロー型CPUクーラーのような構造をしているので、厚さがより一層増しています。
ヒートシンクの側面は風の抜けを意識しているのかカバーで覆われておらず、むき出し状態です。


ヒートシンクは2ブロック構成で、それぞれヒートパイプで連結されています。


カバーのサイドには、「ASUS×Noctua」のロゴがあり、コラボーレーションモデルとしてアピールしています。


補助電源コネクタは16pinの12VHPWRを採用しています。


先端までの長さは約310mmですが、基盤の長さは約220mmなので、約90mmのオープンスペースが設けられています。


基盤の歪み防止、実装パーツの保護のため、強固なメタル製のバックプレートが実装されています。


バックプレートにも、「ASUS×Noctua」のロゴがあります。


バックプレートの先端には、ファンからの風を逃がすためのベントが設けられています。


バックプレートの上部に「Dual BIOS」の切り替えスイッチが備わっています。ソフトウェアを使わずにQuietモードとPerformanceモードの2つのBIOS設定を切り替えることが可能です。
Quietモードでは、ノイズを低減するためファンの回転数を抑えて静音性を実現します。一方、Performanceモードでは、ファンの回転数を上げて、冷却性能を優先します。


出力インターフェースはDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×2と豊富です。
GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Editionの性能をチェック


以下の検証環境で、「ASUS GeForce RTX 4080 16GB GDDR6X Noctua OC Edition」の性能を検証します。
検証環境 | |
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CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D レビュー記事 |
CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4-WH レビュー記事 |
CPUグリス | EVERCOOL Thermal GS-04 |
マザーボード | ASUS PRIME A620M-K-CSM |
メモリ | FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)(16GB×2) (DDR5-4800に設定) レビュー記事 |
ストレージ | Western Digital WD_BLACK SN770 NVMe 1TB レビュー記事 |
電源ユニット | MSI MAG A850GL PCIE5 |
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
「Dual BIOS」は標準のQuietモードを選択。
テストPCのCPUには、Ryzen 7 7800X3Dを使用しています。AMD 3D V-Cacheテクノロジーで、ゲーム性能に優れているので、「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」のゲーム性能を最大限、引き出すことが可能です。
比較対象として「Manli RTX 4070 Ti Super Gallardo」を用意しました。




GPU-Zで情報を取得。ブーストクロックは定格の2,550MHzを超えて2,610MHzに、カード電力は定格の320Wに設定されています。
ベンチマークテスト:3D Mark


3Dベンチマークソフトの定番「3DMark」です。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、Fire Strikeでは約7%、Fire Strike Ultraでは約18%、Steel Nomadでは約15%、Steel Nomad Lightでは約18%、総合スコアで上回りました。


続いて、レイトレーシング系のテストです。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、Port Royalでは約15%、Speed Wayでは約16%、総合スコアで上回りました。
ベンチマークテスト:VRMark


VRゲーム向けの定番ベンチマーク「VRMark」です。
「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」の3種類のテストが用意されています。それぞれの違いは以下の通りです。
負荷レベル | 特長 | |
---|---|---|
Orange Room | 軽~中程度 | 現在のVR環境における標準的なパフォーマンスを評価します。 |
Cyan Room | 高い | DirectX 12を利用したVR環境でのパフォーマンスを評価します。 |
Blue Room | 非常に高い | 将来の高負荷なVR環境に向けたパフォーマンスを評価します。 |
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、Orange Roomは差がつかず、Cyan Roomでは約3%、Blue Roomでは約3%、総合スコアで上回りました。
ベンチマークテスト:Assassin’s Creed Mirage


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約5%、WQHDでは約8%、4Kでは約12%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Call of Duty: Modern Warfare III


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約2%、WQHDでは約11%、4Kでは約14%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Cyberpunk 2077


・画質:ウルトラ、オーバードライブ:レイトレーシング
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約9%、WQHDでは約12%、4Kでは約15%、平均fpsで上回りました。


続いて、オーバードライブ:レイトレーシングです。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約9%、WQHDでは約12%、4Kでは約19%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Far Cry 6


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:FSR2.1バランス
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約4%、WQHDでは約2%、4Kでは約11%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSS
・フレーレートしきい値:常に適用
※ベンチマークソフトで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約8%、WQHDでは約2%、4Kでは約12%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Apex Legends


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
※演習場で計測
Apex Legendsにはベンチマークモードがありません。そのため、今回は演習場で、走ったり、テルミットグレネード、バンガロールのスモーク、ウルトなど、負荷重めの状況の中、約2分フレームレートを計測しました。


また、グラフィック設定にはプリセットがないので、上記の画像のように設定しました。


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約1%、WQHDでは約6%、4Kでは約10%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Forza Horizon 5


・画質:エクストリーム
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約5%、WQHDでは約7%、4Kでは約7%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Tom Clancy’s Rainbow Six Siege


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット
・スケーリング:100%
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約12%、WQHDでは約15%、4Kでは約16%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Watch Dogs: Legion


・画質:最大
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約3%、WQHDでは約4%、4Kでは約12%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:黒神話:悟空


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※ベンチマークソフトで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約10%、WQHDでは約12%、4Kでは約13%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Overwatch 2


・画質:エピック
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※BOT戦で計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約10%、WQHDでは約20%、4Kでは約12%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Ghost of Tsushima


・画質:非常に高い
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
・フレーム生成:DLSS FG
※貴市の集落から豆酘平原に至る道を馬で1分間駆け抜けてるときのフレームレートを計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約11%、WQHDでは約12%、4Kでは約14%、平均fpsで上回りました。
ベンチマークテスト:Fortnite


・画質:最高
・解像度:1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット
・アップスケーリング:DLSSバランス
※ベンチマークモードで計測


RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、フルHDでは約3%、WQHDでは約9%、4Kでは約14%、平均fpsで上回りました。



最高峰に重いサイバーパンク2077のオーバードライブ設定を4K60fpsでプレーできることからわかるようにRTX 4080 SUPERのゲーム性能は非常に優秀です。特に4K解像度では、RTX 4070 Ti SUPERよりも快適なので、4Kでのゲームプレーに最適です。
ベンチマークテスト:クリエイティブ
Blender


GPUレンダリングの定番ベンチマーク「Blender」です。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、約17%、総合スコアで上回りました。
PCMark 10


PCの総合パフォーマンスを評価する定番ベンチマーク「PCMark 10」です。
主に以下の3つのスコアを提供します。
内容 | |
---|---|
Essentials | ウェブブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動など、日常的な基本作業のパフォーマンスを評価。 |
Productivity | スプレッドシートや文書作成など、オフィスアプリケーションの使用に関するパフォーマンスを評価。 |
Digital Content Creation | 写真編集、ビデオ編集、レンダリングなど、デジタルコンテンツの作成に関するパフォーマンスを評価。 |
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、Essentials、Productivityでは差がつかず、Digital Content Creationでは約6%、スコアで上回りました。
画像生成(Stable Diffusion)


画像生成AIのStable Diffusionで生成時間を計測します。
起動オプション
–xformers –opt-channelslast |
プロンプト・使用モデル
Positive | masterpiece, best quality, masterpiece, asuka langley sitting cross legged on a chair |
---|---|
Negative | lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, normal quality, jpeg artifacts,signature, watermark, username, blurry, artist name |
モデル | AnythingV3 |
設定
sampling method | Euler |
---|---|
Width | 512 |
Height | 512(768) |
sampling steps | 28 |
Batch count | 10 |
Batch size | 1 |
CFG Scale | 12 |
Seed | 2870305590 |


画像生成AIのStable Diffusionを使って、画像10枚生成するのにかかった時間を計測します。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、約2秒早く処理を終えました。


続いて、画像サイズを512×768に設定し、さらにアップスケーリングを有効にしました。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、約9秒早く処理を終えました。
エンコード(HandBrake)


動画エンコードソフトのHandBrakeを使って、処理にかかったfpsを計測します。プリセットはH.265 NVENC 1080Pに設定しています。
RTX 4080 SUPERは、RTX 4070 Ti SUPERに対して、約1%fpsで上回りました。



RTX 4080 SUPERはクリエイティブ性能も優秀です。特に負荷が重い設定のAI画像生成では、RTX 4070 Ti SUPERよりも快適に画像を生成できます。
GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Editionの消費電力をチェック
消費電力をチェックします。
負荷テストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、実行中の最高値を「高負荷時」、起動後10分間何もせず放置した状態の平均値を「アイドル時」として規定し、計測します。使用ソフトは、「HWiNFO」です。


アイドル時の消費電力はファンも完全に止まり、省電力機能が有効になっていることもあって、14.8Wに留まりました。
一方、高負荷時は319,7Wまで上昇しました。
GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Editionの冷却性能と騒音をチェック
最後に冷却性能と騒音をチェックします。
負荷テストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、標準設定の「Qモード」に加えて、パフォーマンスモードの「Pモード」に設定して計測します。GPU温度とファンの回転数は、「HWiNFO」から取得します。


「Q MODE」と「P MODE」を比較すると、GPU温度は、「Q MODE」が75℃前後、「Pモード」が68℃前後で推移しています。


ファンの回転数は「Q MODE」が1,100rpm前後、「Pモード」が1,500rpm前後で推移しています。




サーマルカメラ(FLIR ONE)で表面温度を計測します。やはり、Pモードのほうが温度を冷却できています。
熱が発生しやすい電源回路のMOSFETのヒートシンクの表面温度を比較すると、Pモードの方が6℃ほど冷えています。




ビデオカードから約30cmの位置に設置した騒音計(CHE-SD1)でノイズレベルを計測します。
Qモードに設定した場合、約35dBA前後、Pモードに設定した場合、約37dBA前後でした。どちらに設定しても静音性は保たれています。ビデオカードよりもCPUクーラーのファンから発するノイズを拾っている印象です。
PCケースに入れた場合、ビデオカードから発する騒音はほとんど聞こえないはずです。さすがNoctuaのファンだと感じました。


QモードとPモード、どちらに設定しても性能はほとんど変わりません。



発熱が比較的激しいRTX 4080 SUPERでもPモードであればGPU温度は60℃内に収まります。静音性だけでなく、冷却性能も優秀です。
まとめ
「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」は、Noctua製ファンと巨大なヒートシンクにより、圧倒的な静音性と冷却性能を実現します。
また、RTX 4080 SUPERということで、4K高画質ゲーミングやクリエイティブな作業においても、その真価を発揮します。
静音性を最優先に考え、予算に余裕があるユーザーにとっては、「GeForce RTX 4080 SUPER Noctua OC Edition」は、間違いなく最高の選択肢の一つと言えます。
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