キオクシア「EXCERIA PLUS G4(2TB)」をレビュー!PCIe 5.0対応なのに低発熱で扱いやすいSSD

パソコンの動作をよりスピードアップさせたいと考えているのなら、まずストレージの交換を考えるべきです。
そこでおすすめしたいのが、最新規格「PCIe 5.0」に対応した超高速SSDの「EXCERIA PLUS G4」です。
「PCIe 5.0」対応のSSDに対して、「本当に速いの?」「発熱は大丈夫?」と疑問をお持ちの方もいるかと思います。
今回、キオクシア株式会社より、「EXCERIA PLUS G4」の2TBモデルを提供されたので、実際に使って検証し、それらの疑問に答えたいと思います。
【商品提供:キオクシア株式会社】
「EXCERIA PLUS G4」のスペック
1TB | 2TB | |
---|---|---|
インターフェース | PCIe 5.0 | PCIe 5.0 |
DRAM | 非搭載 | 非搭載 |
読込速度(最大) | 10,000MB/s | 10,000MB/s |
書込速度(最大) | 7,900MB/s | 8,200MB/s |
総書込容量(TBW) | 600TB | 1,200TB |
保証 | 5年 | 5年 |
参考価格 ※2025年5月24日現在 | 14,290円 | 24,280円 |
「EXCERIA PLUS G4」は、キオクシアの218層 3D TLC NAND(BiCS 8)、PhisonのGen 5&DRAMレス対応コントローラー「PS5031-E31T」を搭載した、キオクシア初のPCIe 5.0対応のハイエンドNVMe SSDです。
書込速度は最大10,000MB/s、読込速度は最大8,200MB/sを実現しています。
前モデルの「EXCERIA PLUS G3」は書込速度は最大5,000MB/s、読込速度は最大3,900MB/sだったので、データ転送速度は大幅にパワーアップしています。
容量は1TB、2TBの2モデルのみの展開となっています。

EXCERIA PLUS G4(2TB)の外観

パッケージです。水色と黒を基調としたデザインとなっています。

表面には基盤があり、その上にシールが貼られています。

片面実装タイプなので、裏面には何もありません。こちらにもシールが貼られています。

シールをはがすと、NANDメモリが2つ、メモリコントローラーが1つあるのを確認できます。DRAMは非搭載なので見当たりません。
※シールをはがすと保証が切れるので要注意です。

コントローラーはPHISONの「PS5031-E31T」を搭載しています。PCIe 5.0に対応した、DRAMレス対応コントローラーです。

NANDメモリはキオクシアの218層 3D TLC NAND(BiCS 8)を搭載しています。四日市工場で生産されている、国産NANDメモリです。刻印は「TH58LKT3T48BA8S」です。

表面のシールにはヒートスプレッダーが含まれているので、放熱効率を高めています。

DRAMは非搭載ですが、メインメモリの一部をキャッシュにするHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
EXCERIA PLUS G4(2TB)のドライブ情報と空き容量


Crystal Disk Infoで情報を取得しました。取得情報をまとめたものは以下になります。
- 型番:KIOXIA-EXCERIA PLUS G4 SSD:2000.3 GB
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 5.0 x4
- 対応規格:NVM Express 2.0
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache


フォーマット時の空き容量は1.81TBでした。NANDメモリ全体の約2%を予備領域として割り当てるため、2TBから少し目減りします。
SSD Utilityマネージメントソフトウェア
「SSD Utilityマネージメントソフトウェア」は、無料で使用できる管理ソフトウェアツールです。機能は下記の通りです。


EXCERIA PLUS G4(2TB)のベンチマーク
検証環境


検証環境は以下の通りです。
製品名 | |
---|---|
マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI レビュー記事 |
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
ビデオカード | RD-RX9070XT-E16GB/TP レビュー記事 |
CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 レビュー記事 |
メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) レビュー記事 |
システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe レビュー記事 |
アプリケーション用SSD | Kingston NV2 レビュー記事 |
電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
OS | Windows 11 HOME(24H2) |
電源プラン | バランス |
マザーボードには、PCIe 5.0に対応した「AMD B650」チップセット採用の「ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI」を使用します。CPUにはゲーム性能が高い「Ryzen 7 7800X3D」、ビデオカードには「RTX 5060 Ti」を搭載します。


SSDの冷却にはマザーボード付属のシートシンクを使用します。


比較対象として、EXCERIA G2(1TB)を用意しました。
下記表は、「EXCERIA PLUS G4(2TB)」と「EXCERIA G2(1TB)」のスペックの比較です。
EXCERIA PLUS G4(2TB) | EXCERIA G2(1TB) | |
---|---|---|
インターフェース | PCIe 5.0 | PCIe 3.0 |
DRAM | 非搭載 | 搭載 |
読込速度(最大) | 10,000MB/s | 2,100MB/s |
書込速度(最大) | 8,200MB/s | 1,700MB/s |
総書込容量(TBW) | 1,200TB | 400TB |
保証 | 5年 | 5年 |
「EXCERIA G2」はエントリークラスなのにDRAMキャッシュ搭載と、高コスパとして人気の高かったPCIe 3.0対応のSSDです。PCIe 3.0とPCIe 5.0でどれくらい性能に違いがあるのかを検証します。
Crystal Disk Mark 8.0.6




ストレージの定番ベンチマーク、Crystal Disk Mark 8.0.6です。ストレージがどれくらいのスピードで動くのかを計測します。
シーケンシャルリードは10349.02MB/s、シーケンシャルライトは8730.79MB/sと、公表値以上の数値が出ています。


「EXCERIA G2」と比較すると、シーケンシャルリードは約131%、シーケンシャルライトは約134%、「EXCERIA PLUS G4」のほうが上回っています。
ランダムリードは約38%、ランダムライトは約18%、ランダムアクセスも「EXCERIA G2」を上回っています。
ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1




ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1です。細かなデータ(512Bから64MBまで)のシーケンシャル性能を測定することができます。


まず、書き込み速度からです。16KBあたりから一気に差が広がり、最終的に圧倒的な差をつけて「EXCERIA PLUS G4」が上回っています。
128KBから「EXCERIA PLUS G4」は8,210MB/s、「EXCERIA G2」は1,610MB/sで落ち着きます。


続いて、読み込み速度です。書き込み速度と似たような傾向で、64KBあたりから一気に差が広がり、最終的に圧倒的な差をつけて「EXCERIA PLUS G4」が上回っています。
2MBから「EXCERIA PLUS G4」は9,700MB/s、256KBから「EXCERIA G2」は3,210MB/sで落ち着きます。
細々としたデータのやり取りでも「EXCERIA PLUS G4」の優位性が目立っています。
Blackmagic Disk Speed Test






Blackmagic Disk Speed Testです。特定のコーデックに対応した動画ファイルをどれだけ早く処理できるかを測定することができます。
ここではProRes 422 HQの各解像度ごとの処理にかかったフレームレートを見ていきます。
解像度1080 HD、2160 4Kでは差はほとんどありませんが、それよりも高い解像度になるにつれて、フレームレートは、「EXCERIA PLUS G4」がアッと塔的な差をつけて上回るようになります。
例えば、6480 12K Writeで、「EXCERIA G2」と比較すると、フレームレートは、約126%と大幅に上回っています。
Copy Benchmark


約200GB(中身はFF14ベンチマークのデータのコピー)のファイルを移動したときにかかった時間を、Copy Benchmarkを使って測定します。
まず、書き込み(WD_Black SN770 → EXCERIA PLUS G4、EXCERIA G2)です。
EXCERIA PLUS G4はEXCERIA G2に比べて約197秒早く処理を終えました。
続いて読み出し(EXCERIA PLUS G4、EXCERIA G2 → WD_Black SN770)です。
EXCERIA PLUS G4はEXCERIA G2に比べて約43秒早く処理を終えました。
最後に同一ドライブ内でのコピー(EXCERIA PLUS G4→EXCERIA PLUS G4、EXCERIA G2→EXCERIA G2)です。
EXCERIA PLUS G4はEXCERIA G2に比べて約329秒早く処理を終えました。
このようにファイルの移動に関しては、「EXCERIA PLUS G4」の優位性が目立っています。
3D Mark Storage Benchmark




ストレージデバイスのゲームパフォーマンスを測定する、「3D Mark Storage Benchmark」です。
総合スコアは「EXCERIA PLUS G4」が2,846、「EXCERIA G2」が1,930です。
「EXCERIA G2」と比較すると、総合スコアは約38%上回っています。


帯域幅を見ると、全体的に「EXCERIA PLUS G4」が上回っています。特に差がついたのが「ゲームを移動」で、「EXCERIA G2」と比較すると、帯域幅は約88%上回っています。


続いて、アクセスタイムです。
全体的に「EXCERIA PLUS G4」のほうが処理が速いです。こちらでも「ゲームを移動」で一番差がついています。「EXCERIA G2」と比較すると、アクセスタイムは約93%上回っています。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー


ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーのロード時間です。各シーンの切り替えにかかったロード時間を測定します。
合計タイムだと、「EXCERIA G2」と比較すると、ロード時間は約7%上回っています。
3D Mark DirectStorage機能テスト




DirectStorageはNVMe SSDから直接データをロードして、それをVRAMに展開し、ゲームのロード時間を短縮する技術のことです。
3D Mark DirectStorage機能テストでは、DirectStorage有効時・非有効時で帯域幅にどれくらいの差があるのかを計測できます。


「EXCERIA PLUS G4」は、DirectStorageを有効にすることで、非有効時に比べて帯域幅は109%向上します。
お互い、DirectStorage有効にした状態でだと、「EXCERIA G2」と比較して、帯域幅は約118%上回っています。
EXCERIA PLUS G4(2TB)のSLCキャッシュの容量について
空き容量100%時


空き容量100%時から全容量を書き込んでSLCキャッシュの容量、キャッシュが切れた後の性能低下を「Slow Mark」を使用して調べます。
初めは平均1,627MB/sで推移しますが、400GBを書き込んだ辺りでガクっと速度が落ち、その後は平均788.2MB/sで推移します。1100GBを書き込んだ辺りで2番目の落ち込みがあり、SATA SSD並みの平均483MB/sで最後まで推移します。
このことからキャッシュ構造は以下のように3段階にまとめられます。
キャッシュ構造 | 平均書き込み速度 |
---|---|
1段階 (pSLCキャッシュ) | 平均1,627MB/s |
2段階 (pSLCキャッシュ+TLC) | 平均788.2MB/s |
3段階 (TLCネイティブ) | 平均483MB/s |


実際に500GBを書き込んで見ると、約400GBあたりを書き込んだあたりでガクッと書き込み速度が落ち込んでるのが分かります。
空き容量10%時


空き容量10%時の状態だと、キャッシュ構造の1段階目(pSLCキャッシュ)のような爆速モードにはならず、2段階目(pSLCキャッシュ+TLC)のような挙動になり、安定感がなかったです。




空き容量10%時の状態でCrystal Disk Mark 8.0.6を実行すると、若干ですが、ランダムアクセス性能の低下が確認できました。
「EXCERIA PLUS G4」はDRAM非搭載なので、メインメモリの1部をキャッシュ(HMB)として使います。
空き容量が減るとDRAMよりも遅いNANDもキャッシュとして使うようになり、結果として読み出しに時間がかかってしまい、速度低下を起こします。
EXCERIA PLUS G4(2TB)の温度をチェック


モニターソフトの「HWiNFO」で確認すると、温度センサーは2つあるようです。どちらも同じ温度を示しているので、実質温度センサーは一つと思っていいです。


TxBENCHで10分連続書き込みをして、SSDの温度を計測します。なお、SSDのヒートシンクは外した状態で計測します。


テスト開始直後、急速に温度が上がり、80℃に到達した時点で一気に温度が下がっています。おそらく、80℃に到達すると、サーマルスロットリングが発生し、性能を一時的に下げ、温度を下げる挙動をしていると考えられます。


サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を調べてみました。
SP1(SSDコントローラー)の温度は79℃、SP2、SP3(NANDメモリ)の温度は67℃~69℃でした。



PCIe 5.0なので爆熱だと決めつけていましたが、実際テストしてみると、思ったより扱いやすいと感じました。マザーボード付属のヒートシンクでも十分冷やしきれます。万が一温度が高くなりすぎても、サーマルスロットリングも実装されているので安心して運用できます。
EXCERIA PLUS G4(2TB)の良かったところ・悪かったところ
良かったところ | 悪かったところ |
---|---|
最大100,00MB/sを超えるシーケンシャルリード PCIe 3.0対応SSDとは一線を画す性能 ゲームのロード時間が速い 豊富なpSLCキャッシュ容量 耐久性が高い(600~1200TBW) 片面実装なのでマザーボードに装着しやすい 国産NANDメモリ(BiCS)を搭載 多機能なSSD Utilityマネージメントソフトウェア キャッシュが切れてもSATA SSD並みの速度を維持 ヒートスプレッダー入りのシール 温度が80℃以上いかないので扱いやすい 5年保証 | DRAMキャッシュ非搭載 空き容量が少なくなると若干の性能低下を起こす |
まとめ
「EXCERIA PLUS G4」は、まさにハイエンドと呼ぶにふさわしい性能を持ったSSDです。
最新のPCIe 5.0に対応し、100,00MB/sを超えるシーケンシャルリードと圧倒的な速さを実現します。もちろん、ベンチだけでなく、データの移動などの実利用においても圧倒的な性能を発揮します。
さらに2TBモデルであれば、豊富な量のpSLCキャッシュが確保されており、大容量のデータを書き込んでも速度低下を起こしにくいのも魅力的です。
また、ゲーム性能も高いこともあって、ゲームのロード時間の短縮にもつながります。
温度もPCIe 5.0対応だからといって、爆熱になりにくく、扱いやすいです。
一般用途・ゲーム用のドライブとして、「EXCERIA PLUS G4」は扱いやすく、万能に使えるNVMe SSDだと感じました。
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