Core Ultra 7 265F/Core i7 -14700F&RX 9070 XTのゲーム性能をベンチマーク

本記事では、「Core Ultra 7 265F」、「Core i7 -14700F」と「RX 9070 XT」の構成で、「ゲーム性能」、「クリエイティブ性能」、「消費電力」を検証します。
「Core Ultra 7 265F」、「Core i7 -14700F」と「RX 9070 XT」の構成の自作PCやゲーミングPCの購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
CPUの性能を比較
仕様を簡単に比較

Ryzen 7 9800X3D | Ryzen 7 9700X | Ryzen 7 7700 | Core Ultra 7 265F | Core i7 -14700F | |
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CPU世代 | Zen 5 | Zen 5 | Zen 4 | Core Ultra 200S | 第14世代Intel Coreプロセッサ |
ソケット | AM5 | AM5 | AM5 | LGA1851 | LGA1700 |
コア数 | 8 | 8 | 8 | 20(P8+E12) | 20(P8+E12) |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 | 20 | 28 |
ベースクロック | 4.7GHz | 3.8GHz | 3.8GHz | 2.4GHz | 2.1GHz |
ブーストクロック | 5.2GHz | 5.5GHz | 5.3GHz | 5.3GHz | 5.4GHz |
L3キャッシュ | 96MB | 32MB | 32MB | 30MB | 33MB |
TDP | 120W | 65W(105W) | 65W | 65W | 65W |
参考価格 ※2025年6月24日 | 77,980円 | 46,980円 | 40,280円 | 47,979円 | 46,480円 |
「Core Ultra 7 265F」は2025年時点のインテルの最新世代Core Ultra 200SシリーズのCPUです。一方、「Core i7-14700F」はインテル第14世代のCPUで、「Core Ultra 7 265F」より1世代古いです。
ただ、「Core Ultra 7 265F」はハイパースレッディングに対応しておらず、スレッド数だけで比較すると、「Core i7-14700F」が上です。
これらの両CPUには、Eコア(高効率コア)を搭載しているのが大きな特徴です。これによって、コア数、スレッド数はRyzenを圧倒しています。
ただし、Eコアはゲーム性能にあまり寄与しておらず、コア数、スレッド数が多いからといってゲーム性能が高いというわけではないので、その点は注意が必要です。
「Ryzen 7 9800X3D」は、AMD Ryzen 9000シリーズのCPUです。3D V-Cache技術により、大容量のL3キャッシュを搭載することを可能にしています。
ゲームが頻繁に必要とする大量のデータを、より長く、より多くキャッシュ内に保持することが可能になります。
これによって、CPUがメインメモリにアクセスする回数が劇的に減り、ゲームの処理をより効率的に行えるようになります。
「Ryzen 7 9700X」はZen 5なので、Ryzen 7 9800X3Dと同じく、最新のCPUです。ただし、L3キャッシュは32MBと少なく、「Ryzen 7 9800X3D」と比較して、明確な差があります。
なお、「Ryzen 7 9700X」には105Wモードという性能を引き上げるモードがありますが、ゲームのフレームレートにはほとんど変化はありません。
「Ryzen 7 7700」は「Ryzen 7 9700X」と同じく、8コア16スレッドですが、CPUの世代がZEN 4なので世代は1つ古いです。
CPU-ZでCore Ultra 7 265FとCore i7 14700Fの仕様を確認する




CPUの処理性能を比較

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH 2024」です。
オーバークロックや電力制限の解除はおこなわず、BTOパソコンと同じ定格でベンチマークをしています。
マルチ性能を見ると、「Core Ultra 7 265F」が他のCPUを圧倒しています。「Core i7-14700F」の方がスレッド数が多いので、「Core Ultra 7 265F」のCPUの処理性能は非常に高いと言えます。
ただし、「Core Ultra 7 265F」のシングル性能は「Ryzen 7 9800X3D」とほぼ互角なので、シングル性能に関しては突出して高いわけではありません。

CINEBENCH 2024はあくまでも純粋にCPUの処理性能を計測するものです。このテストのスコアが高い=ゲーム性能が高いとは言えないので、あくまでも参考程度に見てください。
検証PCのスペック






Ryzen 7 9800X3D/Ryzen 7 9700X/Ryzen 7 7700 | Core Ultra 7 265F | Core i7-14700F | |
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マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI レビュー記事 | BIOSTAR Z890AX-E PRO | B760 AORUS ELITE (rev. 1.0) |
CPUクーラー | CPS RT400-BK レビュー記事 | ||
メモリ | 32GB(16GB×2) DDR5-4800 | ||
ストレージ | Kingston NV3 PCIe 4.0 NVMe SSD(2TB) レビュー記事 | ||
電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 | ||
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 | VALOR AIR レビュー記事 |
BTOによく採用されている同レベルのグレードのパーツを採用しています。いわゆるハイエンドのパーツはほとんど使用していません。
例えば、CPUクーラーはBTOでもよく採用されている空冷の「CPS RT400-BK」を使用しています。
なおPBOや電力無制限などは一切使わず、またGPUのオーバークロックも使用していません。すべて標準設定のままです。いわゆるBTOパソコンと同じ状態だと思っていいです。


検証に使用するグラボは玄人志向の「RD-RX9070XT-E16GB/TP」です。


ゲーム性能を比較
フルHD、WQHD、4Kと各解像度ごとにベンチマークを実行し、平均フレームレートを計測します。基本的にグラフィックの設定は最上級のものに設定します。
ベンチマークに使用したゲームは下記の通りです。
- Assassin’s Creed Shadows
- Cyberpunk 2077
- FFXIV: 黄金のレガシー
- Forza Horizon 5
- Marvel Rivals
- Monster Hunter Wilds
- Skull and Bones
- Stellar Blade
- Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X
- 黒神話:悟空



すべて自分の現時点での環境下での実測値です。ゲームのバージョン、ドライバ、BIOSなどの環境によって、フレームレートは変動します。
Assassin’s Creed Shadows


・画質:最高
・レイトレーシング:全体的に拡散+反射
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR4クオリティ
・フレーム生成:有効
※ベンチマークモードで計測


このゲームはRyzenCPUのゲーム性能は伸びづらい傾向があります。
一方、インテルCPUとの相性が良く、「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」のインテルCPUのフレームレートは素晴らしいものがあります。
このゲームにおいては、両CPUのゲーム性能は、ゲーム性能最強CPUのRyzen 7 9800X3Dを上回ります。
Cyberpunk 2077


・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR 3クオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」のフレームレートの伸びはイマイチです。
この両CPUは「Ryzen 7 9800X3D」と比較して、平均フレームレートは100以上下回ります。
3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 9800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
FFXIV: 黄金のレガシー


・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR
・解像度スケール:67%(クオリティ相当)
・フレームレートしきい値:常に適用
※ベンチマークソフトで計測


「Core Ultra 7 265F」のフレームレートはサッパリ伸びません。
対照的に「Core i5-14400F」のフレームレートは「Ryzen 7 7700」をほんの少し上回ります。
3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 9800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
Forza Horizon 5


・画質:エクストリーム
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測


「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」、「Ryzen 7 7700」の平均フレームレートはほぼ同じです。
CPUによる違いはほとんどありませんが、「Ryzen 7 9800X3D」、「Ryzen 7 9700X」はほんの少しだけこれらのCPUを上回ります。
Marvel Rivals


・画質:エクストリーム
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR4クオリティ
※ベンチマークモードで計測


「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」の平均フレームレートは「Ryzen 7 7700」を上回り、「Ryzen 7 9700X」に迫っています。
3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 9800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
Monster Hunter Wilds


・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR4クオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」、「Ryzen 7 7700」、「Ryzen 7 9700X」の平均フレームレートはほぼ同じで横一線です。
3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 9800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
Skull and Bones


・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・レイトレーシング:オン
※ベンチマークモードで計測


GPU依存が高く、CPUによる差はほとんどないゲームですが、「Core Ultra 7 265F」のみ平均フレームレートの伸びがイマイチです。
「Core i7-14700F」は「Ryzen 7 7700」に匹敵する平均フレームレートなので、その点は対照的です。
Stellar Blade


・画質:とても高い
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR3クオリティ
・フレーム生成:オン
※ステージ序盤で1分間走ってフレームレートを計測


「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」の平均フレームレートは「Ryzen 7 7700」を上回り、さらに「Core i7-14700F」に関しては「Ryzen 7 9700X」に匹敵しており、なかなか優秀なゲーム性能を発揮しています。
3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 9800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X


・画質:ウルトラ+
・解像度:フルHD、WQHD、4K
※ベンチマークモードで計測


「Ryzen 7 9800X3D」の平均フレームレートは、他のCPUと比較してほんの少しだけ突出していますが、CPUによる差はほとんどないと言えます。
黒神話:悟空


・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR3
・フレーム生成:オン
・サンプリング解像度:67%(クオリティ相当)
※ベンチマークソフトで計測


このゲームはGPU依存度が極端に高く、CPUによる差はほとんどありません。しいて言うなら、「Ryzen 7 9800X3D」がほんの少しだけ高いです。
各解像度ごとの全10ゲームの平均fpsまとめ


今まで検証した全10ゲームの平均fpsを各解像度ごとにまとめました。
「Core i7-14700F」の平均フレームレートは、「Ryzen 7 7700」、「Core Ultra 7 265F」を上回っています。「Ryzen 7 9700X」にはさすがに負けますが、フルHDではフレームレートの差は10くらいなので、十分健闘しています。
ただ、フルHDでは「Ryzen 7 9800X3D」の強さが目立っています。フルHDでゲームをプレーするのであれば、「Core i7-14700F」、「Core Ultra 7 265F」より、「Ryzen 7 9800X3D」の方が圧倒的に快適にゲームをプレーできます。
配信・録画中のゲーム性能


FFXIV: 黄金のレガシーベンチマーク(フルHD・最高設定・FSR67%・常に適用)実行し、OBSを用いて、実況(Twitch)・録画中の平均フレームレートを計測します。
配信・録画の設定
映像エンコーダー | AMD HW H.264(AVC) |
---|---|
出力 | 1920×1080 |
フレームレート | 60 |
レート制御 | CBR |
ビットレート | 6000 Kbps |
キーフレーム間隔 | 2s |
プリセット | Quality |
プロファイル | high |
最大Bフレーム | 3 |


配信・録画中でも「Ryzen 7 9800X3D」の強さが際立っています。元々、フレームレートを多く出せるので、録画・配信中で多少フレームレートが落ちても、問題ありません。
一方、「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」はコア数、スレッド数は多いのですが、配信・録画中でもきっちりフレームレートは下落しています。
1台のPCで配信・録画をしながらゲームをプレーするのであれば、無難に「Ryzen 7 9800X3D」などの3D V-Cache技術を搭載したCPUを選ぶことをおすすめします。
クリエイティブ性能を比較
PCMark 10


「PCMark 10」です。パソコンの総合性能を計測することができます。
PCの基本性能を測る「Essentials」、オフィスアプリ系の処理性能を測る「Productivity」、写真・動画編集に関する性能を計測する「Digital Content Creation」の3つのテストから構成されています。
今回の検証では「総合スコア」を見ていきます。
「Core Ultra 7 265F」の総合スコアーの伸びはイマイチです。「PCMark 10」は実際にソフトを動かしてパフォーマンスを計測しますが、そのソフトと「Core Ultra 7 265F」との相性が悪いかもしれません。
一方、「Core i7-14700F」は「Ryzen 7 7700」を上回り、「Ryzen 7 9700X」に迫る総合スコアーです。
AviUtl


フリー動画編集ソフト「Aviutl」を使用して、動画のエンコード速度をテストします。エンコーダーはRADEONのGPUのエンコーダー、「VCEEnc」を使用します。
動画素材は、約10分間のmov形式のもので、VCEEncを使ってエンコードにかかった時間を計測します。
PCMark 10と同じく、AviUtlも「Core Ultra 7 265F」との相性が悪く、エンコード速度はイマイチです。「Core i7-14700F」が「Ryzen 7 7700」、「Ryzen 7 9700X」を上回るエンコード速度なので、「Core Ultra 7 265F」の処理の遅さが際立っています。
システム全体の消費電力を比較


4K最高設定のFFXIV: 黄金のレガシーベンチマークを実行中のシステム全体の消費電力を各CPUごとに比較します。
ワッチェッカーは、ラトックシステムの「RS-BTWATTCH2A」を使用します。
「Core Ultra 7 265F」は「Core i7-14700F」と比べて平均、最大消費電力ともに下回っています。特に最大消費電力では40Wほどの開きがあります。
Core Ultra 200Sシリーズは過去のインテルCPUより省電力性能に磨きをかけており、その結果、消費電力も低くなっています。
Ryzenと比較しても十分省電力性能は高いと言えます。
まとめ


今回の検証で、「RX 9070 XT」と組み合わせるCPUを考えると、「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」は無難な選択肢だと感じました。
フルHDでは「Ryzen 7 7700」と互角で、悪くないパフォーマンスを発揮します。ただ、「Rzyen 7 9800X3D」、「Ryzen 7 9700X」などのCPUと比較するとゲーム性能は大きく下回る印象です。
ゲームによっては平均フレームレートで100以上の差がつくこともあるからです。
ただ、WQHD以上の高解像度でプレーするのであれば、差が小さくなるので、その場合、「Core Ultra 7 265F」、「Core i7-14700F」を選んでも問題ないと言えます。
問題は、「Core Ultra 7 265F」と「Core i7-14700F」、どちらを選ぶべきかですが、「Core i7-14700F」の方がおすすめです。
「Core Ultra 7 265F」は特定のゲームだとゲームパフォーマンスはイマイチだからです。最新世代のCPUなのに、前世代のCPUに明確にゲーム性能で負けているので、あえて選ぶ必要性はない気がします。
ただ、省電力性能は明らかに「Core Ultra 7 265F」が上なので、そこに魅力を感じるのであれば、「Core Ultra 7 265F」の方を選んでもいいかもしれません。




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