Ryzen 7 5700X/Core i5-14400F&RX 9070 XTのゲーム性能をベンチマーク

本記事では、「Ryzen 7 5700X」、「Core i5-14400F」と「RX 9070 XT」の構成で、「ゲーム性能」、「クリエイティブ性能」、「消費電力」を検証します。
「Ryzen 7 5700X」、「Core i5-14400F」と「RX 9070 XT」の構成の自作PCやゲーミングPCの購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
CPUの性能を比較
仕様を簡単に比較

Ryzen 7 5700X | Ryzen 7 7700 | Ryzen 7 7800X3D | Core i5-14400F | Core i7 -14700F | |
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CPU世代 | Zen 3 | Zen 4 | Zen 4 | 第14世代Intel Coreプロセッサ | 第14世代Intel Coreプロセッサ |
ソケット | AM4 | AM5 | AM5 | LGA1700 | LGA1700 |
コア数 | 8 | 8 | 8 | 10(P8+E12) | 20(P8+E12) |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 | 16 | 28 |
ベースクロック | 3.4GHz | 3.8GHz | 4.2GHz | 2.5GHz | 2.1GHz |
ブーストクロック | 4.6GHz | 5.3GHz | 5.0GHz | 4.7GHz | 5.4GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 96MB | 20MB | 33MB |
TDP | 65W | 65W | 120W | 65W | 65W |
参考価格 ※2025年6月24日 | 21,480円 | 40,280円 | 59,952円 | 19,980円 | 46,480円 |
「Ryzen 7 5700X」、「Core i5-14400F」ともに、旧世代のCPUですが、未だに売れ続けてるベストセラーのCPUです。
売れている理由はただ一つ、それはコスパの高さです。CPU単体の価格は2万円前後なので、その分予算をグラボなどに回せます。
コア数は「Ryzen 7 5700X」が8基なのに対して、「Core i5-14400F」はEコアも搭載しているため、10基と多いです。
ただし、Eコアはゲーム性能にあまり寄与しないです。コア数が多いからといってゲーム性能が高いというわけではないので、その点は注意が必要です。
「Core i7-14700F」は「Core i5-14400F」と同じインテル第14世代のCPUです。Core i7シリーズなので、「Core i5-14400F」の上位に位置し、コア数、スレッド数は圧倒しています。
「Ryzen 7 7700」は「Ryzen 7 5700X」と同じく、8コア16スレッドですが、CPUの世代がZEN4になっている、Ryzen 7000シリーズのCPUなので、世代が新しくなっています。「Ryzen 7 5700X」の後継モデルと言えます。
「Ryzen 7 7800X3D」は「Ryzen 7 7700」と同じRyzen 7000シリーズのCPUですが、3D V-Cache技術により、大容量のL3キャッシュを搭載することを可能にしています。
ゲームが頻繁に必要とする大量のデータを、より長く、より多くキャッシュ内に保持することが可能になっており、ゲームに特化したCPUです。


CPUの処理性能を比較

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH 2024」です。
オーバークロックや電力制限の解除はおこなわず、BTOパソコンと同じ定格でベンチマークをしています。
シングル性能、マルチ性能ともに、「Ryzen 7 5700X」、「Core i5-14400F」はほぼ互角と言えます。
マルチ性能はコア数の多い「Core i5-14400F」が上回って当然ですが、コア数スレッド数が少ない「Ryzen 7 5700X」も健闘しています。
ただし、「Ryzen 7 5700X」、「Core i5-14400F」ともに、他のCPUと比較すると一段階性能は低いです。
「Ryzen 7 5700X」、「Core i5-14400F」はコスパは優秀ですが、CPUの処理性能はそこまで高くありません。

CINEBENCH 2024はあくまでも純粋にCPUの処理性能を計測するものです。このテストのスコアが高い=ゲーム性能が高いとは言えないので、あくまでも参考程度に見てください。
検証PCのスペック






Ryzen 7 7800X3D/Ryzen 7 7700 | Ryzen 7 5700X | Core i7-14700F/Core i7-14400F | |
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マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI レビュー記事 | ASUS PRIME B550M-A | GIGABYTE B760 AORUS ELITE (rev. 1.0) |
CPUクーラー | CPS RT400-BK レビュー記事 | ||
メモリ | 32GB(16GB×2) DDR5-4800 | 32GB(16GB×2) DDR4-3200 | 32GB(16GB×2) DDR5-4800 |
ストレージ | Kingston NV3 PCIe 4.0 NVMe SSD(2TB) レビュー記事 | ||
電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 | ||
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 | VALOR AIR レビュー記事 |
BTOによく採用されている同レベルのグレードのパーツを採用しています。いわゆるハイエンドのパーツはほとんど使用していません。
例えば、CPUクーラーはBTOでもよく採用されている空冷の「CPS RT400-BK」を使用しています。
なおPBOや電力無制限などは一切使わず、またGPUのオーバークロックも使用していません。すべて標準設定のままです。いわゆるBTOパソコンと同じ状態だと思っていいです。


検証に使用するグラボは玄人志向の「RD-RX9070XT-E16GB/TP」です。


ゲーム性能を比較
フルHD、WQHD、4Kと各解像度ごとにベンチマークを実行し、平均フレームレートを計測します。基本的にグラフィックの設定は最上級のものに設定します。
ベンチマークに使用したゲームは下記の通りです。
- Assassin’s Creed Shadows
- Cyberpunk 2077
- FFXIV: 黄金のレガシー
- Forza Horizon 5
- Marvel Rivals
- Monster Hunter Wilds
- Skull and Bones
- Stellar Blade
- Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X
- 黒神話:悟空



すべて自分の現時点での環境下での実測値です。ゲームのバージョン、ドライバ、BIOSなどの環境によって、フレームレートは変動します。
Assassin’s Creed Shadows


・画質:最高
・レイトレーシング:全体的に拡散+反射
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR4クオリティ
・フレーム生成:有効
※ベンチマークモードで計測


ただ、このゲームはなぜか、最新CPU、3D V-Cache技術との相性が悪く、フレームレートが伸びづらい傾向があります。
一昔前の「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」の方がフレームレートは伸びやすいです。
4Kなどの高解像度においても、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」のフレームレートは伸びています。
Cyberpunk 2077


・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR 3クオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 7800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
ただ、「Core i5-14400F」も意外と健闘しており、「Core i7-14700F」に匹敵したフレームレートを出しています。
4KではCPUによる違いはほとんどなく、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」も問題なくフレームレートを出せています。
FFXIV: 黄金のレガシー


・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR
・解像度スケール:67%(クオリティ相当)
・フレームレートしきい値:常に適用
※ベンチマークソフトで計測


3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 7800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
一方、「Core i5-14400F」はフレームレートの伸びはサッパリです。
対照的に「Ryzen 7 5700X」は「Core i7-14700F」、「Ryzen 7 7700」に肉薄しており、健闘しています。
4KでもCPUによる違いは若干あり、「Ryzen 7 7800X3D」の強さが目立っています。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」は4Kでは「Ryzen 7 7700」とほとんど同じなので、問題なくプレーできるフレームレートは出せています。
Forza Horizon 5


・画質:エクストリーム
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測


「Ryzen 7 5700X」は「Core i7-14700F」に迫るフレームレートですが、「Core i5-14400F」はフレームレートの伸びがイマイチです。
4KではCPUによる違いはほとんどなく、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」も問題なくフレームレートを出せています。
Marvel Rivals


・画質:エクストリーム
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR4クオリティ
※ベンチマークモードで計測


3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 7800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
一方、「Ryzen 7 5700X」のフレームレートの伸びはイマイチです。一番フレームレートが伸びるフルHDでもサッパリです。
「Core i5-14400F」は「Ryzen 7 7700」に匹敵するフレームレートが出せており、悪くない印象です。
4Kのような高解像度ではCPUによる違いはほとんどなく、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」も問題なくフレームレートを出せています。
Monster Hunter Wilds


・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR4クオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 9800X3D」、「Ryzen 7 7800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
一方、「Ryzen 7 5700X」のフレームレートの伸びはイマイチです。フルHDでも全くフレームレートが伸びません。
「Core i5-14400F」は「Ryzen 7 7700」に匹敵するフレームレートが出せており、悪くない印象です。
4KでもCPUによる違いは若干あり、「Ryzen 7 7800X3D」の強さが目立っています。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」は4Kでは「Ryzen 7 7700」とほとんど同じなので、問題なくプレーできるフレームレートは出せています。
Skull and Bones


・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・レイトレーシング:オン
※ベンチマークモードで計測


3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 7800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」ともにフレームレートは伸び悩んでいます。
4Kのような高解像度ではCPUによる違いはほとんどなく、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」も問題なくフレームレートを出せています。
Stellar Blade


・画質:とても高い
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR3クオリティ
・フレーム生成:オン
※ステージ序盤で1分間走ってフレームレートを計測


3D V-Cache技術との相性が抜群に良く、「Ryzen 7 7800X3D」のフレームレートは大きく伸びています。
一方、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」の方がフレームレートは伸び悩んでいます。
とはいえ、「Core i5-14400F」は、「Ryzen 7 7700」に肉薄しており、十分健闘していると言えます。
4Kのような高解像度ではCPUによる違いはほとんどなく、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」も問題なくフレームレートを出せています。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X


・画質:ウルトラ+
・解像度:フルHD、WQHD、4K
※ベンチマークモードで計測


「Ryzen 7 5700X」のフレームレートの伸びはイマイチです。一番フレームレートが伸びるフルHDでもサッパリです。
一方、「Core i5-14400F」は「Core i7-14700F」に匹敵するフレームレートが出せており、悪くない印象です。
4Kのような高解像度ではCPUによる違いはほとんどなく、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」も問題なくフレームレートを出せています。
黒神話:悟空


・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:FSR3
・フレーム生成:オン
・サンプリング解像度:67%(クオリティ相当)
※ベンチマークソフトで計測


GPU依存度が極端に高いゲームなので、CPUによる違いはほとんどありません。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」でも問題なくフレームレートが出せています。
各解像度ごとの全10ゲームの平均fpsまとめ


今まで検証した全10ゲームの平均fpsを各解像度ごとにまとめました。
フルHDでは「Ryzen 7 7800X3D」の強さが目立っています。
逆に一番伸び悩んでいるのが「Ryzen 7 5700X」でした。「Core i5-14400F」は「Ryzen 7 7700」に迫る平均フレームレートで、十分健闘しています。
WQHDでは、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」、「Ryzen 7 7700」がほぼ互角でした。
4KではCPUによる違いはほとんど見られませんでした。
配信・録画中のゲーム性能


FFXIV: 黄金のレガシーベンチマーク(フルHD・最高設定・FSR67%・常に適用)実行し、OBSを用いて、実況(Twitch)・録画中の平均フレームレートを計測します。
配信・録画の設定
映像エンコーダー | AMD HW H.264(AVC) |
---|---|
出力 | 1920×1080 |
フレームレート | 60 |
レート制御 | CBR |
ビットレート | 6000 Kbps |
キーフレーム間隔 | 2s |
プリセット | Quality |
プロファイル | high |
最大Bフレーム | 3 |


配信・録画中でも「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」ともに極端なフレームレートの低下は確認できませんでした。
ただ、3D V-Cache技術のある「Ryzen 7 7800X3D」などはフレームレートを多く出せるので、配信・録画中でも安心してゲームができます。
一台のPCで本格的に配信・録画を考えているのなら、「Ryzen 7 7800X3D」などを選んだ方が後悔は少ないと思います。
クリエイティブ性能を比較
PCMark 10


「PCMark 10」です。パソコンの総合性能を計測することができます。
PCの基本性能を測る「Essentials」、オフィスアプリ系の処理性能を測る「Productivity」、写真・動画編集に関する性能を計測する「Digital Content Creation」の3つのテストから構成されています。
今回の検証では「総合スコア」を見ていきます。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」ともに、今回の検証したCPUの中では総合スコアーは伸び悩んでいます。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」の両方を比較すると、若干ですが、「Ryzen 7 5700X」の方が若干低いです。おそらくコア数、スレッド数で「Core i5-14400F」が上回っているので、それがそのまま総合スコアーに現れたものだと思われます。
AviUtl


フリー動画編集ソフト「Aviutl」を使用して、動画のエンコード速度をテストします。エンコーダーはRADEONのGPUのエンコーダー、「VCEEnc」を使用します。
動画素材は、約10分間のmov形式のもので、VCEEncを使ってエンコードにかかった時間を計測します。
「Ryzen 7 5700X」は今回検証したCPUの中では最も処理に時間がかかりました。一方、「Core i5-14400F」は「Ryzen 7 7700」に匹敵するくらいの処理時間で、健闘しています。
システム全体の消費電力を比較


4K最高設定のFFXIV: 黄金のレガシーベンチマークを実行中のシステム全体の消費電力を各CPUごとに比較します。
ワッチェッカーは、ラトックシステムの「RS-BTWATTCH2A」を使用します。
「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」ともに、消費電力は大人しいと言えます。最大値で「Core i7-14700F」と比較すると、約40~50Wの差があります。
「Core i5-14400F」と「Ryzen 7 5700X」を比較すると、若干ですが、「Core i5-14400F」の方が低いですが、ほぼ誤差の範囲内と言えます。
まとめ


今回の検証で、「RX 9070 XT」と組み合わせるCPUを考えると、やはり、「Ryzen 7 7800 X3D」などの3D V-Cache技術搭載のCPUが最もおすすめできると確信しました。
特に3D V-Cache技術が効くゲームで、フルHDであれば、他のCPUと比較して、平均フレームレートで100くらいの差をつけて上回ります。
一方、WQHD以上の高解像度、またはGPU負荷が極端に高いゲームであれば、「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」でも十分戦えます。
フルHDでのゲームをプレーをしないという妥協が必要ですが、予算が限られる場合、「RX 9070 XT」と組み合わせる最低限のCPUとして悪くない選択肢だと感じました。
最後に「Core i5-14400F」、「Ryzen 7 5700X」のどちらを選ぶべきかですが、「Core i5-14400F」がおすすめです。
今回検証したゲームでは、「Core i5-14400F」の方がフレームレートが出せたからです。最新のゲームになればなるほど、「Ryzen 7 5700X」のフレームレートは伸びづらい印象です。
価格も「Core i5-14400F」の方が若干安く、よりコスパの高いCPUとなっています。




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