Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)をレビュー!PCI Express 5.0対応SSDの実力を探る

「動画編集中の読み込み、もうちょっと早ければ・・・」、「データの移動が遅すぎる・・・」
そんな悩み、抱えていませんか?
そんな悩みを一発で解決してくれるのが、今回紹介する「Kingston FURY Renegade G5 SSD(2048GB)」です。
次世代インターフェース「PCIe Gen5」に対応し、最大14,800MB/sという驚異の転送速度を誇るこのSSDは、まさに“爆速”という言葉がふさわしいです。
この記事では、「Kingston FURY Renegade G5 SSD」の2TBモデルを実際に使用し、性能や使用感などを中心にレビューしていきたいと思います。
【商品提供:キングストン】
「Kingston FURY Renegade G5 SSD」のスペック
1TB(1,024GB) | 2TB(2048GB) | 4TB(4096GB) | |
---|---|---|---|
インターフェース | PCIe 5.0 | PCIe 5.0 | PCIe 5.0 |
DRAM | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
読込速度(最大) | 14,200MB/s | 14,700MB/s | 14,800MB/s |
書込速度(最大) | 11,000MB/s | 14,000MB/s | 14,000MB/s |
総書込容量(TBW) | 1,000 TB | 2,000 TB | 4,000 TB |
保証 | 5年 | 5年 | 5年 |
参考価格 ※2025年6月12日現在 | 27,980円 | 44,980円 | 84,980円 |
「Kingston FURY Renegade G5 SSD」は、3D TLC NAND、Silicon Motion製の「SM2508コントローラー」、DDR4 DRAMキャッシュを搭載した、KingstonのPCIe 5.0対応のハイエンドNVMe SSDです。
「Kingston FURY Renegade G5 SSD」は最大読み取り14,800MB/秒、書き込み14,000MB/秒、最大2,200,000 IOPSの圧倒的パフォーマンスを発揮します。
容量は1TB(1,024GB)、2TB(2048GB)、4TB(4096GB)の合計3モデルの展開となっています。


「Kingston FURY Renegade」はKingstonが展開するゲーミングブランド「Kingston FURY」の中でも、特に最高峰のパフォーマンスを追求したシリーズとなっています。
Kingston FURY Renegade G5 SSD(2048GB)の外観


パッケージです。白と黒と赤を基調としたデザインとなっています。


表面には基盤があり、その上にシールが貼られています。


片面実装タイプなので、裏面には何もありません。こちらにもシールが貼られています。


片面実装タイプなこともあり、厚みがないです。


続いて、シールをはがして基盤を確認します。ちなみにシールをはがすと保証が切れる可能性があるので決して真似をしないでください。


シールをはがすと、チップを目視できます。左からコントローラー、DRAMキャッシュ、NANDメモリが2つ配置されています。


コントローラーはSilicon Motionの「SM2508」を搭載しています。6nmプロセスを採用したPCIe 5.0対応のコントローラーです。


DRAMキャッシュです。型番は、「4ZB75D8CSC」と表記されています。低消費電力のDDR4 DRAMキャッシュにより、発熱も抑えられています。


NANDメモリはKingstonという刻印は確認できましたが、それ以外は読み取れなかったです。


そこでflash_idを使って調べたとこと、東芝(キオクシア)の218層 3D TLC NAND(BiCS 8)を搭載していることを確認しました。
Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)のドライブ情報と空き容量


Crystal Disk Infoで情報を取得しました。取得情報をまとめたものは以下になります。
- 型番:KINGSTON SFYR2S2T0:2048.4 GB
- インターフェース:NVM Express
- 対応転送モード:PCIe 5.0 x4
- 対応規格:NVM Express 2.0
- 対応機能:S.M.A.R.T. / TRIM / VolatileWriteCache


フォーマットをしたところ、空き容量は1.86TBでした。NANDメモリ全体の約2%を予備領域として割り当てるため、2048GBから少し目減りします。
Kingston SSD Manager


純正ソフトの「Kingston SSD Manager」で、SSDの基本ステータス(S.M.A.R.T.情報)や健康状態の確認や、ファームウェアのアップデートが可能です。


また、「Kingston SSD Manager」から、「Acronis True Image for Kingston」をダウンロードできます。ディスクのクローンなどが可能になります。
検証環境


検証環境は以下の通りです。
製品名 | |
---|---|
マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI レビュー記事 |
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
ビデオカード | RD-RX9070XT-E16GB/TP レビュー記事 |
CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 レビュー記事 |
メモリ | Kingston FURY Renegade KF580C38RWAK2-32 (16GB×2、DDR5-4800) レビュー記事 |
システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe レビュー記事 |
アプリケーション用SSD | Kingston NV3 PCIe 4.0 NVMe SSD (2TB) レビュー記事 |
電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
OS | Windows 11 HOME(24H2) |
電源プラン | バランス |
マザーボードには、PCIe 5.0に対応した「AMD B650」チップセット採用の「ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI」を使用します。CPUにはゲーム性能が高い「Ryzen 7 7800X3D」、ビデオカードには「RTX 5060」を搭載します。


SSDは最も性能が発揮されるチップセット接続の最上段に設置します。また、SSDの冷却にはマザーボード付属のシートシンクを使用します。


比較対象として、「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN」の2TBモデルを用意しました。PCIe 3.0対応のSSDなので、性能差がどれくらいあるのか、なかなか興味深いです。
Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)のベンチマーク
Crystal Disk Mark 8.0.6




ストレージの定番ベンチマーク、Crystal Disk Mark 8.0.6です。ストレージデバイスの転送速度を測定できます。
読込速度は14637.14MB/s、書込速度は14043.18MB/sと、メーカー公称値に近いベンチマーク結果でした。
また、テストサイズを64GiBに変更しても、性能の低下はほとんど発生していません。
DRAMレスのSSDはテストサイズの容量をあげると、特にランダムリード速度(RND4K Q1T1)が落ちる傾向がありますが、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」の場合、DRAMキャッシュがあるため、性能低下はほとんどありません




「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」と比較すると、シーケンシャルリードは約125%、シーケンシャルライトは約151%、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が上回っています。
ランダムリードは約59%、ランダムライトは約64%、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が上回っています。
ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1


ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1です。細かなテストファイル(512Bから64MBまで)のシーケンシャル性能を測定します。




「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」がRead、Writeともに速度が落ち込んでいるのに対して、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」はテストファイルのサイズが大きくなるにつれて速度が上がっていき、一定のファイルサイズになると速度が安定します。
Blackmagic Disk Speed Test


Blackmagic Disk Speed Testです。特定の映像編集における実用的な性能を計測できます。動画のコーデックごとにフレームレートが表示されるので、どの程度まで対応しているのか
ベンチマーク結果は、Blackmagic RAW、ProRes 422 HQ、H.265という3種類のコーデックに対して、各解像度ごとの処理性能をfpsで表示されます。
ここでは代表して、Blackmagic RAWの各解像度ごとの処理にかかったフレームレートを見ていきます。




Read、Writeともに、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」を圧倒して上回っています。
例えば、1080 HDでは「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」と比較すると、Readでは約108%、Writeでは約141%、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が上回っています。
AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247


AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247では、Crystal Disk Mark 8.0.6と同じく、ストレージデバイスの転送速度を測定できます。今回は、シーケンシャルアクセスの圧縮率とコピーベンチマークを見ていきます。


まず、コピーベンチマークです。
「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」と比較すると、ISOでは約101%、Programでは約61%、Gameでは約69%、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が上回っています。




「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」はWriteでは一瞬落ち込みが見られますが、全領域でほぼ転送速度は安定しています。一方、「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」ではReadでは安定していますが、Writeでは常に波形が上下しており、不安定です。
3D Mark Storage Benchmark


ストレージデバイスのゲームパフォーマンスを測定する、「3D Mark Storage Benchmark」です。


総合スコアは「EXCERIA PLUS G4」が2,846、「EXCERIA G2」が1,930です。
「EXCERIA G2」と比較すると、総合スコアは約38%上回っています。




帯域幅を見ると、全体的に「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」を圧倒して上回っています。
例えば、「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」と比較すると、BF5のロードでは約106%、ゲームの移動では約93%、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」が上回っています。
DiskBench


約200GB(中身はFF14ベンチマークのデータのコピー)のファイルを移動したときにかかった時間を、DiskBenchを使って測定します。
まず、書き込み(WD_Black SN770 → Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)、CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)です。
「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」は「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」に比べて約5,327秒早く処理を終えました。
続いて読み出し(Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)、CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB) → WD_Black SN770)です。
「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」は「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」に比べて約157秒早く処理を終えました。
最後に同一ドライブ内でのコピー(Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)→Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)、CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)→CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB))です。
「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」は「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN(2TB)」に比べて約4,803秒早く処理を終えました。



「CFG RGAX CSSD-M2L2TRGAXN」はQLCなので、キャッシュ切れを起こすとHDD以下の書き込み速度になります。 そのせいで、ファイルの転送に時間がかかります。
Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)のSLCキャッシュの容量について
空き容量100%時から全容量を書き込んでSLCキャッシュの容量、キャッシュが切れた後の性能低下を調べます。


ファイルはFF14ベンチマークのインストールデーターで、計1.8TBのファイルです。これらをまとめて、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」にドラック&ドロップして、書き込みます。


初めは2,067MB/sという爆速スピードで書き込みますが、800~900GBを書き込んだ辺りで速度が落ち、その後は書き込みスピードは、平均1,431MB/sで推移しました。
キャッシュが切れても平均1,000MB/sを超えるスピードで推移するので、大容量のファイルでもストレスを感じることなく、転送可能です。


続いて、297GBのファイルを6つ、順々に連続して、ドラッグ&ドロップして、書き込みます。3回目のファイルを書き込んだ辺りでスピードが落ちますが、以降は1,000MB/s以上を維持しています。



SSDは空き容量が少ないと確保できるキャッシュも減ります。そのため、空き容量が少ないと、キャッシュ切れを起こしやすく、転送速度が低下しやすいです。一方、「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」の場合、そもそもキャッシュ切れを起こしたとしても、十分スピードが速いので、あまりそのデメリットを感じません。
空き容量10%時の性能低下について


ここでは細かな説明を省きますが、SSDは空き容量が少なくなると性能低下を起こします。
そこで今回は、空き容量を10%にして、ベンチマークをし、どれくらいの性能低下が起こるのか検証します。




空き容量10%時の状態でCrystal Disk Mark 8.0.6を実行すると、若干ですが、シーケンシャルライトとランダムライトの性能の低下を確認できました。




空き容量10%時の状態で3D Mark Storage Benchmarkを実行すると、若干ですが、スコアーの低下を確認できました。



「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」は、DRAMを搭載しているので、DRAMレスモデルに比べると、空き容量に関係なく、安定した性能を発揮します。
Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)の温度をチェック


モニターソフトの「HWiNFO」で確認すると、温度センサーは1つだけでした。


TxBENCHで10分連続書き込みをして、SSDの温度を計測します。なお、SSDのヒートシンクをつけた状態と外した状態でそれぞれ計測します。


ヒートシンクありの温度は、60℃代に収まっています。一方、ヒートシンクなしの温度は80℃達しています。
おそらく、80℃に到達すると、サーマルスロットリングが発生し、性能を一時的に下げ、温度を下げる挙動をしていると考えられます。それもあってか、80℃前後から温度は上昇していないようです。
このように、ヒートシンクなしの状態でも「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」は優れた温度制御性能を発揮しています。


サーモグラフィーカメラを使ってSSDの表面温度を調べてみました。
SP1(コントローラー)の温度は102.7℃、SP2(DRAMキャッシュ)の温度は83.1℃、SP3(NANDメモリ)の温度は80.2℃でした。やはり、コントローラー部分は他のチップよりも温度が高くなる傾向があるようです。


書き込み速度を見てみると、ヒートシンクなしだと4,000MB/sまでスピードは落ちてしまいました。ただこの速度でも、PCI Express 4.0対応SSD並みの速度が出ているので、実用上困ることはなさそうです。
通常の使用環境では、マザーボードの標準ヒートシンクを使用します。今回のヒートシンクを外した状態でおこなうテストは、あくまで特殊な検証例なのでその点はご理解ください。



マザーボードのヒートシンクを取り付けた状態で、Kingston G5 SSDは約60℃台の安定した温度で動作し、最大14,000MB/sを超える超高速な転送速度を実現します。温度管理とパフォーマンスの両方で優れた性能を発揮しています。
「Kingston FURY Renegade G5 SSD (2048GB)」の良かったところ・悪かったところ
良かったところ | 悪かったところ |
---|---|
最大14,000MB/sを超えるシーケンシャルリード ランダムアクセス性能も高い DRAMキャッシュ搭載 PCIe 3.0対応SSDとは一線を画す性能 ゲーム性能も高い 豊富なSLCキャッシュ容量 耐久性が高い(1000~4000TBW) 片面実装なので装着しやすい 国産NANDメモリ(BiCS 8)を搭載 多機能な「Kingston SSD Manager」が付属 クローンソフトの「Acronis True Image for Kingston」が付属 キャッシュが切れても1,000MB/sを超える速度を維持 空き容量が少なくても性能低下はほとんどなし 5年保証 | 性能を最大限に発揮するためにはヒートシンクの装着を推奨 |
まとめ
「Kingston FURY Renegade G5 SSD」は、まさに「次世代の速さ」を体感できるハイエンドSSDです。
PCIe Gen5という超高速規格に対応し、最大14,000MB/sを超える驚異的なスピードを実現。動画編集など巨大なファイルを取り扱っても、性能低下はほとんどなく、快適な作業を実現できます。
安心の5年保証など、あらゆる面でバランスの取れた1台と言えます。
PCをアップグレードしたい人、最高のパフォーマンスを引き出したい人には、間違いなくおすすめのSSDです。
コメント