AMDのRadeon RX 6400は、RX 6000シリーズの中で最も下のグレードに位置付けられるビデオカードです。
価格的にも性能的にも、最もライバルに近いのがGeforce GTX1650です。そこで今回はGTX 1650を比較対象として、RX 6400の性能を検証していきたいと思います。
なお、RX 6400はPCIe 3.0 x4接続時に性能が低下すると言われています。そのあたりも併せて検証したいと思います。
Radeon RX6400とは
Radeon RX6400はAMDのビデオカード、RX6000シリーズの中でも最も下位に位置するエントリークラスのビデオカードです。
ただ、エントリークラスといっても、「AMD RDNA2 アーキテクチャ」、「AMD Infinity Cache」、「GDDR6メモリ」、「レイトレーシング」といった、最新の技術にしっかり対応しています。
さらに、「AMD Smart Access Memory」、「AMD Radeon Super Resolution」、「AMD Fidelity FX Super Resolution 2.0」などのゲーミングパフォーマンスを向上させる最新テクノロジーにも対応しています。
Radeon RX6400 | Radeon RX6500XT | |
アーキテクチャー | RDNA 2.0 | RDNA 2.0 |
製造プロセス | 6nm | 6nm |
シェーダー数 | 768 | 1024 |
RTコア数 | 12 | 16 |
ベースクロック | 2039MHz | 2610MHz |
ブーストクロック | 2321MHz | 2815MHz |
メモリ容量 | GDDR6 4GB | GDDR6 4GB |
メモリバス幅 | 64bit | 64bit |
PCI-Express | PCIe 4.0 ×4 | PCIe 4.0 ×4 |
補助電源 | なし | あり |
消費電力(TGP) | 53W | 107W |
ハードウェアエンコード | なし | なし |
発売日 | 2022年 | 2022年 |
参考価格(2023年1月時点) | 約20,000円 | 約22,000円 |
上記の表はRX6400とその一つ上のモデル、RX6500 XTのスペック表です。
RX6500 XTもエントリークラスのビデオカードですが、そこからさらにスペックを低くし、補助電源無しで動くようにしたのがRX6400です。補助電源無しなので、ロープロファイルモデルが存在するのも大きな特徴です。
Radeon RX6400 | Nvidia GTX1650(G6) | |
アーキテクチャー | RDNA 2.0 | Turing |
製造プロセス | 6nm | 12nm |
シェーダー数 | 768 | 896 |
RTコア数 | 12 | なし |
ベースクロック | 2039MHz | 1485MHz |
ブーストクロック | 2321MHz | 1665MHz |
メモリ容量 | GDDR6 4GB | GDDR6 4GB |
メモリバス幅 | 64bit | 128bit |
PCI-Express | PCIe 4.0 ×4 | PCIe 3.0×16 |
補助電源 | なし | なし |
消費電力(TGP) | 53W | 75W |
ハードウェアエンコード | なし | あり |
発売日 | 2022年 | 2020年 |
参考価格(2023年1月時点) | 約20,000円 | 約20,000円 |
さらに、ライバルのNvidia GTX1650とも比較してみます。GTX1650との大きな違いは、「PCI-Express」と「ハードウェアエンコードの有無」です。
特にRX6400は、PCIe 4.0 ×4(理論値:約8GB/s)なので、帯域幅が狭いのでその点は要注意です。
PCIe 3.0対応のパソコンにRX6400を取り付けた場合、PCIe 3.0 ×4(理論値:約4GB/s)という接続になります。
実際にGPUとPCI Expressの間のPCI
結果ですが、PCIe 4.0 ×4時には「6.54GB/s」でしたが、PCIe 3.0 ×4時には「2.98GB/s」と、帯域幅がPCIe 4.0 ×4時に比べて、半減していました。
何が言いたいかというと、ようするに大量の映像データを扱うゲームでは、帯域幅が足りなくなり、性能の低下が予想されるということです。
PCIe 4.0に対応させるには、PCIe 4.0に対応したCPUとマザーボードが必要です。
インテルの場合、第11世代 Rocket Lake以降のCPUであれば、PCIe 4.0に対応しています。例えば、Core i5-11400のように、型番の頭の数字が11以上であれば、PCIe 4.0に対応しています。
問題はAMDです。Ryzen 3000シリーズ以降であれば、PCIe 4.0に対応していますが、ちょっと初心者にはわかりづらいです。
CPU | PCIe |
Ryzen 9 5950X | PCIe 4.0 |
Ryzen 9 5900X | PCIe 4.0 |
Ryzen 7 5800X3D | PCIe 4.0 |
Ryzen 7 5800X | PCIe 4.0 |
Ryzen 7 5700X | PCIe 4.0 |
Ryzen 7 5700G | PCIe 3.0 |
Ryzen 5 5600X | PCIe 4.0 |
Ryzen 5 5600 | PCIe 4.0 |
Ryzen 5 5600G | PCIe 3.0 |
Ryzen 5 5500 | PCIe 3.0 |
Ryzen 5 4500 | PCIe 3.0 |
Ryzen 3 4100 | PCIe 3.0 |
上記の表は、RyzenのPCIe対応表です。
Ryzen 5500やRyzen 5 4500、Ryzen 3 4100といった、2022年発売の最新CPUでも、PCIe 3.0対応となります。また、APUの末尾にGが付くモデルもPCIe 3.0対応です。
インテルのように最新CPUであればPCIe 4.0に対応という考えが通じないので注意が必要です。
最近発売されたばかりの、最新世代のZEN4であれば、どのモデルもPCIe 4.0に対応しています。
また、RX6400は動画再生支援機能はありますが、動画エンコード機能はありません。
ゲームをしながら、録画や配信するのに向いていません。また、動画編集の書き出しの際、ハードウェアエンコードが使えません。
さらに基本的にどのモデルも映像出力端子がDisplayPort×1、HDMI×1の2系統なので、3画面以上のマルチディスプレー環境を構築するのにも向いていません。
RX6400はGTX1650と比べると低価格ですが、その分、様々なところでコストカットされているGPUと言えます。
SAPPHIRE PULSE Radeon RX 6400 GAMINGの外観
購入したのは「SAPPHIRE PULSE Radeon RX 6400 GAMING 4G GDDR6」です。外形寸法は長さ170mm、幅56,2mm、厚さ17.2mmで、ロープロファイルに対応します。
ロープロファイルモデルなので、スリムケースに収めることが可能です。
スリムケースに収めてみました↓。
2スロット厚のショートサイズのモデルと比べても、その小ささが際立っています。
付属品はATX専用のブラケットです。
イズを抑制し、さらに長寿命を実現する、ダブルボールベアリングファンを搭載しています。
カード長は170mmとロープロファイルモデルとしては少し長めです。
厚さをチェックすると、VGAクーラーが1スロット厚をはみ出さないように設計されているのを確認できます。
スロット形状はPCI-Express(x16)ですが、実際の接続インターフェースはPCI-Express4.0(x4)です。
映像出力端子はDisplayPort×1、HDMI×1の2系統です。
RX6400のロープロファイルの最安モデルは、玄人志向の「RD-RX6400-E4GB/LP」です。少しでも安く購入したいのなら、こちらのモデルがおすすめです。
RX6400の性能をGTX1650と比較して検証
ここからは実際にベンチマークソフトやゲームを動かして、RX6400の性能を検証したいと思います。比較対象として、GTX1650を用意しました。
また、性能が落ちると言われている、PCIe 3.0 ×4の状態でも性能を検証したいと思います。
テスト環境
テスト機のスペック | ||
CPU | core i7-12700 レビュー記事 |
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CPUクーラー | AK400 レビュー記事 |
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CPUグリス | MX-4 4g | |
マザーボード | MSI PRO B660M-A レビュー記事 |
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メモリ | W4U2666CX1-16G ×2 | |
ビデオカード | RX6400 | GTX1650 レビュー記事 |
ストレージ | Crucial P2 1TB レビュー記事 |
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電源ユニット | V750 Semi-Modular RS750-AMAAG1-JP | |
OS | Windows 11 Home | |
PCケース | SMZ-2WBT-ATX レビュー記事 |
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ディスプレイ | EW2780U レビュー記事 |
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ドライバ | 2022年8月現在最新のドライバ |
今回の検証で使用するテスト機のスペックです。CPUはインテル第12世代のAlder Lake-SのCore i7-12700です。Pコアが8、Eコア4つの計12コア、20スレッドのハイエンドCPUです。
RX6400、GTX1650との組み合わせにおいて不釣り合いですが、できるだけCPUボトルネックを抑えたいので、あえてハイエンドのCPUを選択しました。おそらく、ビデオカードの性能は極限まで引き出せていると思います。
メモリは標準だとDDR4-2666ですが、DDR4-3200へとオーバークロックしています。
なお、今回ゲームのベンチマークはすべてフルHD解像度で検証しています。WQHD、4K解像度ではどう考えても荷が重いので、今回は検証から省いています。
また、RX6400はRT(レイトレーシング)機能もありますが、こちらもどう考えても快適にゲームをプレーというのは厳しいので省いています。
ご了承ください。
3D MARK
「3DMark」はビデオカードの性能を計測する、定番ベンチマークです。今回はDX12用のTime Spy、DX11用のFire Strikeを使用します。
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のグラフィックスコアは3622でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。また、GTX1650との差もわずかでした。
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のグラフィックスコアは11386でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。また、GTX1650と比べると、約1,000ほどスコアで上回りました。
VR MARK
「VRMARK」はVRゲーム向けの定番ベンチマークです。Orange、Cyan、Blueと3種類ありますが、今回はその中で一番負荷の軽い、Orangeを使用します。
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のスコアは6157でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。また、GTX1650と比べると、約300ほどスコアで上回りました。
ただ、VRゲームはVRAMを大量消費するので、VRAM容量4GBしかない、RX6400では快適なプレーは厳しいです。
PassMark PerformanceTest
PassMark PerformanceTestは、「CPU」、「2Dグラフィックス」、「3Dグラフィックス」、「メモリ」、「ディスク速度」の5項目を計測できるベンチマークです。今回は「3Dグラフィックス」のみを計測していきます。
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のスコアは8254でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で約1,000ほど、差が開きました。また、GTX1650と比べると、約1,000ほどスコアで下回りました。
FF14:暁月のフィナーレ ベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のスコアは、標準品質で19269、高品質で11355、最高品質で10011でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、標準品質で約2,000、高品質で約1,000ほどスコアで下回りました。FF14はGeforceに最適されているので、RADEONは少し不利です。
FF15ベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のスコアは、軽量品質で7361、高品質で5533、最高品質で3999でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、軽量品質、標準品質で約300ほどスコアで下回りました。
Forza Horizon 5ベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)の平均フレームレートは、最低設定で125、中設定で78、エクストリーム設定で13でした。
PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4でかなりの差が開きました。特に中設定では約40ほどの差です。Forza Horizon 5ではPCIe 4.0 ×4接続でのプレーをおすすめします。
また、GTX1650と比べると、最低設定で約10ほど平均フレームレートで上回りましたが、中設定だと約5ほど下回りました。
サイバーパンク2077ベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)の平均フレームレートは、最低設定で56、中設定で43、ウルトラ設定で24でした。
PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4でかなりの差が開きました。最低設定、中設定では約10ほどの差です。
また、GTX1650との差はわずかでした。
アサシンクリードオリジンズベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のスコアは、超低設定で11440、中設定で8987、超高設定で5838でした。
PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4でかなりの差が開きました。超低設定では約1,000、中設定では約700ほどの差です。一方、超高設定ではほとんど差は開いていません。
また、GTX1650と比べると、超低設定、中設定では差がついていませんが、超高設定では約1,000ほど上回り、大きく差が開きました。
PSO2ベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)のスコアは、最低設定で22320、中設定で5404、ウルトラ設定で1272でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、最低設定、中設定で約2,000、ウルトラ設定で約500ほどスコアで下回りました。
Rainbow Six Siegeベンチマーク
RX6400(PCIe 4.0 ×4)の平均フレームレートは、最低設定で189、中設定で165、最高設定で96でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、最低設定では約10ほど上回っていますが、最高設定では約20ほど下回りました。
VARORANT
VARORANTは負荷が軽いので、最高設定のみで計測していきます。計測方法は3分間、演習場をグルグル回った時の平均フレームレートを算出しました。
RX6400の平均フレームレートは、最高設定で203でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、約20ほど平均フレームレートで上回りました。
Fortnite
計測方法は3分間、クリエイティブ島をグルグル回った時の平均フレームレートを算出しました。なお最低設定では3D解像度100%、描写距離最高に設定しています。
RX6400(PCIe 4.0 ×4)の平均フレームレートは、最低設定で234、最高設定で60でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、最低設定で約10ほど平均フレームレートで上回りました。
Apex Legends
計測方法は3分間、演習場をグルグル回った時の平均フレームレートを算出しました。なお、テクスチャストリーミング割り当てはすべての設定において、4GBに固定しました。
RX6400(PCIe 4.0 ×4)の平均フレームレートは、最低設定で181、最高設定で56でした。PCIe 4.0 ×4、PCIe 3.0 ×4で差はほとんどありません。
また、GTX1650と比べると、最低設定で約20、最高設定で約10ほど平均フレームレートで上回りました。
消費電力と温度
FF15ベンチマーク実行時の消費電力と温度を計測します。
RX6400の消費電力の平均は、42Wでした。公表値は53Wですが、それよりも低い結果となりました。
一方、GTX1650は70Wでした。
ビデオカードの温度ですが、各モデルの出来によって左右されるので、あくまでも参考程度と考えてもらって結構です。
RX6400の温度の平均は65度で最高温度は68度でした。ロープロファイルモデルにしてはかなり冷えている印象です。
RX6400の良かったところと悪かったところ
まとめ
RX6400はゲームによってはGTX1650を上まわるパフォーマンスを出せる、低価格のビデオカードです。
PCIe 3.0環境だとパフォーマンスが落ちてしまうのは事実ですが、描画の重いゲームをプレーしない限り、思ったほどパフォーマンスは落ちてない印象です。
なので、PCIe 3.0環境の古いパソコンに取り付けても、そこまで大きな問題にはならないと思います。
ただ、ハードウェアエンコードがないのは明確なデメリットです。ゲームをプレーしながら録画、配信をした場合、CPUに負荷が高まり、パフォーマンスの低下は避けられないでしょう。
また動画編集の書き出しも、ソフトウェアエンコードを使うことになるので、時間がかかってしまいます。
あくまでも純粋にゲームのプレーだけが目的で、なるべく予算を抑えたいというのであれば、このRX6400、非常におすすめできるビデオカードとなっています。
また、ロープロファイルモデルに限れば、現状ゲーム性能最強クラスなので、スリムケースに取り付けたい方にもおすすめできます。
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