サイズのCPUクーラーの「MUGEN」シリーズは大型のヒートシンクを採用しているサイドフロー型CPUクーラーです。
2024年2月、「MUGEN」シリーズの最新モデルの「MUGEN6」が発売されました。通常モデルだけでなく、ヒートシンクが真っ黒でファンが2つという「MUGEN6 BLACK EDITION」というモデルも同時展開されました。
今回は「MUGEN6 BLACK EDITION」を購入しましたので、他社のCPUクーラーと比較してレビューしたいと思います。
「MUGEN6 BLACK EDITION」の仕様
型番 | SCMG-6000DBE |
---|---|
本体サイズ | 132(W)×154(H)×132(D)mm(付属ファン・ファンクリップの突起込み) |
ファンサイズ | 120 × 120 × 厚さ26 mm |
ファン回転数(ファン1基あたり) | 350(±200 rpm)~ 2,000 rpm(±10%) |
風量(ファン1基あたり) | 7.68 ~ 60.29 CFM |
ノイズ(ファン1基あたり) | 3.0 ~ 26.88 dBA |
静圧(ファン1基あたり) | 0.49 ~ 24.03 Pa / 0.05 ~ 2.45 mmH2O |
対応ソケット | Intel:1150 / 1151 / 1155 / 1156 / 1200 / 1700 / 2011 / 2011(V3) / 2066 AMD:AM4 / AM5 |
重量 | 1,197 g(付属ファン込み) |
ヒートパイプの本数 | 6mm径×6本(ニッケルメッキ処理済み) |
付属品 | リテンションキット、ファンクリップ2組、グリス、ヘラ、取付用ドライバー、日本語マニュアル |
保証 | 1年 |
参考価格 | 約7,000円 |
「MUGEN6 BLACK EDITION」の対応ソケットは、Intel 1150 / 1151 / 1155 / 1156 / 1200 / 1700 / 2011 / 2011(V3) / 2066、AMD AM4 / AM5となり、現在主力となっているCPUソケットはほぼカバーしています。
付属ファン込みの外形寸法は幅132mm、奥行132mm、高さ154mmで、全重量は1,197gとなっています。
通常モデルは付属ファンは1つ、ヒートシンクが銀色になっています。
MUGEN6 BLACK EDITIONの外観をチェック
「MUGEN6 BLACK EDITION」のパッケージです。BLACK EDITIONということで、パッケージも黒一色となっています。ちなみに通常モデルは白いパッケージとなります。
ヒートシンクそのものが巨大なのに加えて、ファンを2つつけるのでかなりのボリューム感です。また、ヒートシンク、付属ファンすべて真っ黒なので、存在感があります。
0.4mm厚の大型フィンによって、剛性と熱伝導率を高めます。
メモリやグラボとの物理的干渉を防ぐため、受熱ベースプレートが中心がずれている、「オフセットデザイン」が採用されています。
右側がメモリスロット、左側がバックパネルです。受熱ベースプレートからヒートシンクが後方に寄っていることが分かります。
トップパネルにはサイズのロゴが装飾されています。リテンションキットをマザーボードに固定するためのネジ穴もあります。
受熱ベースプレートは銅製で出来ており、またかなり厚みがあるので、CPUの発熱を吸い上げてくれそうです。ヒートパイプのサイズは6mm径で、計6本あります。ニッケルメッキで処理されているので、酸化を防止します。
受熱ベースプレートには、「メタルバー」が装着済みです。リテンションシステムには、「スプリングスクリュー+ブリッジ方式(H.P.M.S)」が採用されています。
受熱ベースプレートは真っ平ではなく、若干凹凸があります。CPUとの圧着をより強くするための措置かもしれません。
付属ファンは、ヒートシンクの両側につけるデュアルファン方式を採用しています。
付属ファンは「WONDER TORNADO 120 PWM」が採用されています。スペックは以下の通りです。クーラー搭載用に特化した静圧重視のモデルです。四隅には防振ラバーが装着済みです。
- サイズ:120 × 120 × 厚さ26 mm
- 回転数:350(±200 rpm)~ 2,000 rpm(±10%)
- 風量:7.68 ~ 60.29 CFM
- 静圧(最大):0.49 ~ 24.03 Pa / 0.05 ~ 2.45 mmH2O
- ノイズ:3.0 ~ 26.88 dBA
ファン装着時の全重量は実測で、1,218gでした。
MUGEN6 BLACK EDITIONの付属品をチェック
「MUGEN6 BLACK EDITION」の付属品はかなり多いのでそれぞれ詳しく見ていきます。
MUGEN6 BLACK EDITIONのマザーボードへの搭載手順
今回はLGA1700ソケット対応のマザーボード(GIGABYTE B760 AORUS ELITE)を使用して、「MUGEN6 BLACK EDITION」の取付手順を解説します。
AMDの場合、バックプレートはマザーボード付属のものを使用します。大きな違いはそれくらいで、後の搭載手順はインテルとほぼ同じです。
「MUGEN6 BLACK EDITION」のクリアランスの確認
「MUGEN6 BLACK EDITION」取り付け後のクリアランスをチェックします。
高さも幅もあるオーバークロックメモリ、Kingstonの「 FURY Renegade DDR5 RGB メモリ」を使って、メモリ周りのクリアランスをチェックします。ご覧のように、ヒートシンクが後方にオフセットされるおかげでメモリへの物理的干渉は起こりません。
また、ベースプレートの位置が上方向にオフセットされるので、グラボとの物理的干渉の可能性を低減しています。
グラボとのクリアランスは実測で約27mm。これだけ隙間があれば、CPUクーラーを取り付けたままのグラボの交換は容易です。
ただし後方のVRMヒートシンクが巨大だと付属ファンと物理干渉する可能性があります。
高さ制限は154mmですが、後方のVRMヒートシンクが巨大だとファンが上方向に持ち上がるので、実際の高さ制限は厳しくなります。
「MUGEN6 BLACK EDITION」の冷却性能をチェック
検証環境
検証環境 | |
---|---|
CPU | インテル 「Core i5-14600KF」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
ビデオカード | GAINWARD「GeForce RTX 4070 Ghost」 |
マザーボード | GIGABYTE「B760 AORUS ELITE」 |
メモリ | Kingston 「FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)」(16GB×2) (DDR5-4800に設定) |
SSD | Kingston「NV2 SSD 2TB」 Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | Corsair「RM750e」 |
PCケース | XPG「VALOR AIR JP2」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
ここからは実際に「MUGEN6 BLACK EDITION」をパソコンに組み込んで冷却性能をチェックします。
CPUにCore i5-14600KFを使用します。インテル第14世代のCPUで、Pコアが6つ、Eコアが8つ、計14コア20スレッドのCPUです。PBPが125W、MTPは181WなのでCore i5にしては発熱は激しいです。
PCケースはXPG VALOR AIR JPを採用します。ベンチ台ではなく、PCケース内に収めるのでCPU温度は高めに計測されます。ただ、XPG VALOR AIR JPにはケース内付属ファンが前面に3つ、背面に1つあり、エアフローは良好です。さらに静音ファンなので騒音はそこまでうるさくないです。
「MUGEN6 BLACK EDITION」の冷却性能をチェック
ここからは「MUGEN6 BLACK EDITION」の冷却性能をチェックします。テストは「Cinebench 2024:10分連続」と、「FF14ベンチマーク:フルHD最高設定」を使用します。
テスト実行時の室温は20℃前後です。計測ソフトは「HWINFO64 Pro V7.72」を使用します。
Cinebench 2024 (Multi Core)での冷却性能テスト
まず、3DCGレンダリング性能を計測するベンチマークソフト「CInebench 2024:10分連続」の「CPU (Multi Core)」を実行します。電力リミットを181Wに設定した場合と、125Wに設定した場合の冷却性能をチェックします。
PL1/PL2=181Wの設定では、CPU温度は平均80℃前後、最大87℃前後にとどまります。最大温度で比較すると、AK400と比べると6℃低いですが、Peerless Assassin 120 SE ARGBと比べると2度高いです。
PL1/PL2=181Wの設定では、CPU温度は平均62℃前後、最大70℃前後にとどまります。最大温度で比較すると、AK400と比べると3℃低いですが、Peerless Assassin 120 SE ARGBと比べると6℃高いです。
FF14ベンチマークでの冷却性能テスト
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチマークを実行中の冷却性能をチェックします。解像度はフルHD、グラフィックは最高に設定しています。
CPU温度は平均47℃前後、最大62℃前後にとどまります。最大温度で比較すると、AK400と比べると3℃低いですが、Peerless Assassin 120 SE ARGBと比べると3℃高いです。
MUGEN6 BLACK EDITIONの冷却性能は、AK400とPeerless Assasin 120 SE ARGBの丁度中間に位置しています。
「MUGEN6 Black Edtion」の騒音をチェック
パソコンから約20cmの距離から簡易騒音計を用いて、ファンがフル回転した際の騒音を測定します。負荷テストには「Cinebench 2024」を使用します。
「Cinebench 2024」実行時のファンのフル回転時の騒音です。
「MUGEN6 BLACK EDITION」の騒音は38でした。AK400と比べると6dBA高く、Peerless Assasin 120 SE ARGBと比べると4dBA低い結果でした。
ファンの回転数は公表値の最大回転数の2,000rpm前後まで上昇しています。
AK400はシングルファンということで騒音は控えめです。「Peerless Assasin 120 SE ARGB」も「MUGEN6 BLACK EDITION」もファンが2基ありますが、「MUGEN6 BLACK EDITION」の騒音はそこまで気になりません。逆に「Peerless Assasin 120 SE ARGB」の騒音は気になるレベルで不快に感じました。
「MUGEN6 BLACK EDITION」のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
全体的な質感は高い 冷却性能は優秀 高負荷時の騒音はそこまで不快ではない 取り付け方法は簡単 オフセットデザインによりメモリへの物理的干渉はなし、さらにグラボへの干渉の可能性を低減 ドライバーが付属 高さは154mmなのでPCケースに収めやすい 通常モデルより1,000円高いだけなのでコスパは優秀 | Peerless Assasin 120 SE ARGBの存在でコスパ最強とはいえない 後方のVRMヒートシンクが巨大だと付属ファンが物理干渉を起こし、PCケースの高さ制限が厳しくなる トップのネジ穴がデザインを損なっている ホワイトモデルがない |
まとめ
「MUGEN6 BLACK EDITION」は通常モデルより1,000円高いだけで、付属ファンが2つ、ヒートシンクが黒一色になるという特徴があるので、お得感は高いです。
肝心の冷却性能も超定番モデルのAK400とは一線を画しています。
また、オフセットデザインにより、メモリやグラボとの物理干渉が起こりづらいのは魅力的です。
ただ、冷却性能はPeerless Assasin 120 SE ARGBと比較して、若干劣っていたのは正直残念でした。
コスパと冷却性能を考えるとPeerless Assasin 120 SE ARGBをおすすめしたいところですが、メモリやグラボとのクリアランスは厳しく、高負荷時の騒音がうるさいというデメリットがあります。
クリアランスや静音性を重視するのであれば、「MUGEN6 BLACK EDITION」の方をおすすめします。