CPUクーラーのサイドフロー型とトップフロー型を比較!どっちがおすすめ?
空冷CPUクーラーにはヒートシンクに対して、横から風を吹き付ける「サイドフロー型」、上から風を吹き付ける「トップフロー型」の2種類があります。
サイドフロー型とトップフロー型、このどちらもCPUクーラーを冷やすという目的では共通しています。
ただそのせいで、どちらを買えばいいのか、迷っている方も多いのではないでしょうか?
今回はサイドフロー型、トップフロー型のCPUクーラーを比較し、そのメリット、デメリットを解説したいと思います。
CPUクーラーを選ぶ際、サイドフロー型とトップフロー型で迷う方も多いと思います。現に自分もそうでした。個人的にどちらがおすすめなのか、この記事で結論づけたいと思います。
サイドフロー型CPUクーラーのメリット、デメリットについて
「サイドフロー型CPUクーラー」とは、ヒートシンクに対して、横から風を当てて冷却する仕組みを持ったCPUクーラーです。
サイドフロー型のメリット
ヒートシンクを大型化しやすいので冷却性能が高い
その点、サイドフロー型CPUクーラーはヒートシンクの高さを上げやすいので、ヒートシンクそのものを大型化しやすいです。従って冷却性能が高いです。
また、ヒートシンクが大型化しやすいということは、14cmなどの大型のファンを搭載しやすいことにもつながります。大型のファンを搭載していることも冷却性能につながります。
例えば、MUGEN6 BLACK EDITIONは超巨大なヒートシンクがあるので、12cmファンが2基取り付けられますそれもあってか、空冷CPUクーラーの中でトップクラスの冷却性能を持っています。
そういったヘビー級サイズのCPUクーラーが作りやすいのも、サイドフロー型CPUクーラーの強みだと思います。
PCケース内のエアフロー構築に有利
サイドフロー型CPUクーラーは、ヒートシンクに対して、横から風を当てます。それは結果として、PCケース内のエアフローの環境を構築する効果を生み出します。
PCケース前面から新鮮な空気を取り込み、その空気をサイドフロー型CPUクーラーが吸気し、そこから排出される温かい空気がPCケース背面に排出されるという、空気の通り道を作るからです。
これによって、PCケース内に温かい空気が滞留しないので、PCケース内の温度低下につながります。
サイドフロー型のデメリット
高さがあるので小さいケースに収まらない可能性がある
サイドフロー型CPUクーラーは高さがあるので、一部のモデルは小型のPCケースに収まらない可能性があります。
例えば、小型PCケースのMETIS PLUSの場合、CPUクーラーの高さは160mmまで対応しています。
先ほど紹介したNoctuaのNH-D15の高さは165mmあります。つまり、METIS PLUSには、NH-D15が収まらないということになります。
小型のPCケースを使う場合、サイドフロー型CPUクーラーの高さには注意が必要です。
マザーボード全体を直接冷やせない
サイドフロー型CPUクーラーは、ヒートシンクに対して横から風を当てるので、マザーボードに直接風がほとんど当たりません。
トップフロー型のメリット、デメリットについて
「トップフロー型CPUクーラー」とは、ヒートシンクに対して、真上から風を当てて冷却する仕組みを持ったCPUクーラーです。
トップフロー型のメリット
高さが低いので小さいケースに収めることができる
例えば、サイズのNoctua NH-L9i-17xxは全高わずか37mmです。これくらいの高さであれば、スリムケースやmini-itxのケースにも入れることができます。
マザーボード全体を直接冷やせる
ヒートシンクに対して上から風を吹き付けるので、直接マザーボードに風があたります。つまり、CPUだけでなく、電源回路やメモリーなど周辺のパーツを直接冷やすことができます。
トップフロー型のデメリット
冷却性能はサイドフロー型に劣る
横方向に大きくすれば、マザーボードにそもそものりませんし、高さをあげる方向で大きくすれば、風の抜けが悪くなります。つまり、トップフロー型のCPUクーラーの大型化には限界があるということです。
そのため、冷却面においてはヒートシンクを大型化させやすい、サイドフロー型CPUクーラーに劣ります。
PCケース内のエアフローを乱しやすい
トップフロー型CPUクーラーだと、上からマザーボードに直接風を吹き付けるので、PCケース内の空気がうまく流れません。
エアフロー構築という点においては、サイドフロー型CPUクーラーに分があります。
サイドフロー型の虎徹MarkⅡとトップフロー型の超天を比較
虎徹MarkⅡと超天は共通点が多い
なぜこの2つのCPUクーラーを比較対象として選んだのかというと、一言でいえば似ているからです。
サイドフロー型の虎徹 Mark IIとトップフロー型の超天は実は兄弟機種のCPUクーラーです。どちらも同じサイズ製です。また、超天は虎徹MarkⅡのトップフロー型というのが開発コンセプトです。
ヒートシンクの放熱フィンの構造も似ています。
このように、この両者、似ている点が非常に多いです。サイドフロー型とトップフロー型の比較対象として、虎徹MarkⅡと超天はまさにうってつけの存在だと思います。
虎徹 MarkⅡ
超天
虎徹MarkⅡと超天の冷却性能を比較
虎徹MarkⅡと超天の冷却性能をチェックするために使用した、検証用PCのスペックは以下の通りです。
CPU | core i5-11400F |
CPUクーラー | 虎徹 Mark II |
マザーボード | MSI B560M BAZOOKA |
メモリ | DDR4-3200 8G×2(KD48GU880-32A160U) |
グラフィックボード | RTX3060(Colorful RTX 3060 NB 12G) |
SSD | NVMe 240G(CRAS C700 M.2)※OS用 HDD 4TB(ST4000DM004)※ゲーム用 |
電源ユニット | 750W(V750 Semi-Modular RS750-AMAAG1-JP) |
OS | Windows 10 Home |
core i5-11400FはPL制限を解除すると、最大135Wを消費するようになります。リテールクーラーだとCPUの温度は容易に100度以上に達し、サーマルスロットリングが起こります。
そのため、今回はあえてPL制限を解除した状態で冷却性能をチェックしたいと思います。
測定方法は、ベンチマークソフトのOCCTを10分間起動し、CPUへの負荷を100%かけた際のCPU温度の推移を調べます。なお、CPUグリスは付属のものを使用します。室温は25度位、PCケース内に収めて測定しました。
縦軸がCPU温度、横軸が時間推移です。青色の折れ線グラフは虎徹MarkⅡのCPU温度、赤色の折れ線グラフは超天のCPU温度です。
グラフを見ただけでも、明らかに虎徹MarkⅡのほうが冷えています。
平均温度 | 最高温度 | |
虎徹MarkⅡ | 76.7 | 81度 |
超天 | 79.1 | 84度 |
平均温度、最高温度を見ても、虎徹MarkⅡのほうが冷えていることが分かります。
続いて、マザーボードの温度も比較してみます。
マザーボードは基板上にコンデンサなど様々な電子部品がのっているので、そのすべての温度の推移をみるのは難しいです。そこで今回はMOSFETの温度推移を比較します。
意外な結果でした。サイドフロー型の虎徹MarkⅡのほうがMOSFETを冷やしていました。
マザーボードに直接風が当たる、トップフロー型の超天のほうがMOSFETを冷やしていると思ったからです。
サイドフロー型も一応マザーボードの一部には風が当たりますし、さらにエアフローの構築というて点でも有利です。その結果、PCケース内の温度が低くなり、マザーボードを冷やしていることにつながっているのだと思います。
もちろん今回の検証はMODFETの温度推移だけなので、ほかの部品だとまた違った結果になったかもしれませんので、その点はご了承ください。
結論、どちらがおすすめなのか?
サイドフロー型CPUクーラーは、冷却力も優秀、おまけにエアフロー構築もしやすいので、それらの点を考えると、あえてトップフロー型のCPUクーラーを選ぶ必要はないです。
また、商品の数もサイドフロー型CPUクーラーのほうが圧倒的に多いです。選択肢も豊富なので、より自分に適したCPUクーラーに出会える機会も増えそうです。
ただ、小型のPCケースを使っていて、CPUクーラーの高さをどうしても抑えたいという理由があるのなら、迷わずトップフロー型のCPUクーラーを選ぶべきだと思います。
CPUクーラーがPCケースに収まらないなら、何の意味もないからです。
まとめ
今回はサイドフロー型とトップフロー型のCPUクーラーを比較しました。
それぞれのメリット、デメリットを見比べると、やはりサイドフロー型のCPUクーラーのほうがおすすめできます。
CPUクーラーを探すなら、まずは無難にサイドフロー型のCPUクーラーから探してみてはいかがでしょうか?
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