RTXシリーズのグラボを使っているのなら、Resizable BARを有効にしよう!
NVIDIAのResizable BARを試せる環境が整ったので、どれくらいゲームのパフォーマンスが向上するのか検証してみました。また、Resizable BARの設定方法、条件も併せて解説したいと思います。
Resizable BARを使うには条件を満たす必要がありましたが、自分のPC環境を一新したおかげでようやく試すことが出来ました。
Resizable BARとは
Resizable BARとは、PCI Expreeインターフェースのオプション技術のことです。
この技術はNVIDIA占有の技術というわけではなく、AMDもResizable BARとほぼ同じ仕組みの「Smart Access Memory」と呼ばれる技術を持っています。
近年のグラフィックボードはビデオメモリの搭載量が増えています。
例えば、今回検証に使ったRTX3060のビデオメモリは12GBあります。また、ビデオメモリを多く消費する消費するゲームも増えてきました。
VRAMは、テクスチャ、シェーダーなどゲームに必要な小さなデータを、CPUからGPUへ転送しています。ただ、今までの仕組みでは256MBという小容量でしか転送できませんでした。
そこでResizable BARを使うことで、その転送量の制限が撤廃され、必要な時に必要な分だけデータを転送するが可能になります。
つまり、理論上ですが、ゲームパフォーマンスが大きく向上するということを意味します。
Resizable BARを使うための条件
Resizable BARは無条件に使えるわけではありません。以下のような条件が必要になります。
RTX3000、RTX4000シリーズのグラフィックボードが必要
Resizable BARを使うにあたって、まず大前提になるのがNvidiaのRTX 4000、RTX 3000シリーズのグラフィックボードが必要になります。
Resizable BAR対応グラフィックボード | RTX 4090 |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 4070 SUPER | |
RTX 4070 | |
RTX 4060 Ti | |
RTX 4060 | |
RTX 3090 | |
RTX 3080Ti | |
RTX 3080 | |
RTX 3070Ti | |
RTX 3070 | |
RTX 3060Ti | |
RTX 3060 | |
RTX 3050 |
対応するドライバが必要
ドライバはGeforce 465.89以降のものが必要です。念のため、ドライバを最新バージョンにアップデートしたほうが確実だと思います。
対応するチップセット、CPUが必要
Resizable BARに対応するマザーボード(チップセット)と、CPUが必要になります。
インテル環境
マザーボード(チップセット) | Z790、H770、B760 |
---|---|
Z690、H670、B660、H610 | |
Z590、H570、B560、H510 | |
Z490、H470、B460、H410 | |
CPU | i3-14xxx、i5-14xxx、 i7-14xxx、i9-14xxx |
i3-13xxx、i5-13xxx、 i7-13xxx、i9-13xxx | |
i3-12xxx、i5-12xxx、 i7-12xxx、i9-12xxx | |
i3-11xxx、i5-11xxx、 i7-11xxx、i9-11xxx | |
i3-10xxx、i5-10xxx、 i7-10xxx、i9-10xxx |
AMD環境
X670E、X670、B650、A620 | |
X570、B550、A520 | |
マザーボード(チップセット) | X470、B450 |
Z690、H670、B660、H610 | |
Z590、H570、B560、H510 | |
Z490、H470、B460、H410 | |
CPU | Ryzen 5 7xxx、Ryzen 7 7xxx、Ryzen 9 7xxx |
Ryzen 3 5xxx、Ryzen 5 5xxx、Ryzen 7 5xxx、Ryzen 9 5xxx |
対応するゲームが必要
Resizable BARは全てのゲームで効果が得られるわけではありません。効果が得られるのは下記の対応したゲームのみになります。※2021年8月現在
Resizable BAR対応ゲーム | Assassin’s Creed Valhalla |
Battlefield V | |
Borderlands 3 | |
Control | |
Cyberpunk 2077 | |
Death Stranding | |
DIRT 5 | |
F1 2020 | |
Forza Horizon 4 | |
Gears 5 | |
Godfall | |
Hitman 2 | |
Hitman 3 | |
Horizon Zero Dawn | |
Metro Exodus | |
Red Dead Redemption 2 | |
Watch Dogs Legion |
Resizable BARの設定方法について
Resizable BARを使うにはBIOS上で設定する必要があります。ただ、RTX3000シリーズの中でもRTX3060以前に発売されたグラフィックボード(RTX3060Ti、RTX3070、RTX3080、RTX3090)は注意が必要です。
もしそれらのグラフィックボードを使用していて、BIOS上から設定項目が見つからないのなら、グラフィックボード専用のBIOS、いわゆるvBIOSをダウンロードする必要があります。
各グラフィックボードのメーカーがvBIOSを提供しているので、そちらからダウンロードします。
自分の場合、RTX3060を使用しているので、特に何も設定しなくても、BIOS上にResizable BARの設定項目が見つかりました。
設定方法をMSIのBIOSで説明します。まずトップ画面から「Advanced(F7)」をクリックします。
「PCIe/PCI Sub-system Settings」をクリックします。
「Re-Size BAE Support」をEnabledにします。これで設定完了です。
設定が完了したら、念のため、Resizable BARが使える状態になっているか確認します。確認方法としては2種類あります。1つめはNvidiaコントロールパネルから確認する方法で、2つめはGPU-Zを使う方法です。
Nvidiaコントロールパネルからの確認方法を説明します。Nvidiaコントロールパネルを起動したら、左下のシステム情報をクリックします。
リサイズ可能なベースアドレスレジスタのところが「はい」になっていたら、Resizable BARは設定されている状態になっています。ここが「いいえ」になっていたら、Resizable BARは設定されていない状態になっています。
GPU-Zは右下のResizable BARのところを確認します。「Enabled」になっていれば、Resizable BARは設定されている状態になっています。ここが「Disabled」になっていれば、Resizable BARは設定されていない状態になっています。
Resizable BARの効果を検証
Resizable BARの効果を検証します。検証で使用したパソコンスペックは以下の通りです。
CPU | core i5-11400F |
CPUクーラー | 虎徹 Mark II |
マザーボード | MSI B560M BAZOOKA |
メモリ | DDR4-3200 8G×2(KD48GU880-32A160U) |
グラフィックボード | RTX3060(Colorful RTX 3060 NB 12G) |
SSD | NVMe 240G(CRAS C700 M.2)※OS用 HDD 4TB(ST4000DM004)※ゲーム用 |
電源ユニット | 750W(V750 Semi-Modular RS750-AMAAG1-JP) |
OS | Windows 10 Home |
検証に使うゲームですが、自分が持っているゲームの中で、Resizable BARに対応しているのは「Battlefield V」、「Cyberpunk 2077」のみです。今回はこの2つのゲームを使って検証していきたいと思います。
画質は最高設定、解像度は1920×1080です。Battlefield Vにおいては、Resizable BARの効果は全くないみたいです。平均FPS、最低FPSともに変化はほとんどなかったです。
画質は最高設定、解像度は1920×1080です。Cyberpunk 2077においては、平均FPS、最低FPSともに2FPSの上昇が確認できました。
続いて、レイトレーシングとDLSSをオンにした状態で計測してみました。画質はレイトレーシングウルトラ、DLSSはバランス、解像度は1980×1080です。
平均FPSは3FPS上昇し、最低FPSも5FPS上昇しました。
また、念のため、Resizable BARに対応していないゲームと、3DMARKでも検証してみました。
FF15のベンチマークでは約150ほど、Resizable BARオンの方がスコアが高かったです。ただ、誤差の範囲と言えます。
3D MARKではほとんど差が生まれませんでした。
検証結果を終えて
正直、今回の検証では、Resizable BARの効果をあまり実感できなかったです。ただ、上位グラフィックボードになるほど、Resizable BARの効果は上がるそうです。
今回検証に使用したRTX3060はRTX3000シリーズの下位モデルです。あらゆるスペックが上位モデルに比べて劣っていますが、特にバス幅が192bitと低いです。
Resizable BARはメモリの転送量に関連する技術なので、このバス幅の低さがマイナスに働いたのではないかと思われます。
ただ、Resizable BARを使えば、ゲームにもよりますが、FPSは向上します。もしResizable BARを使える環境があるのなら、設定しないよりはしたほうがよさそうです。
また、Resizable BAR非対応ゲームの場合、Resizable BARの効果はあまりないものと理解したほうがよさそうです。
まとめ
今回検証にあたって使用したゲームソフトはBattlefield VとCyberpunk 2077の2本のみなので、Resizable BARの効果に関してはまだはっきりとしたことは言えません。
ただ、自分の見立てでは少なくともRTX3060などのミドルクラス帯のビデオカードでは、Resizable BARの恩恵は少ないと予想しています。
今後もResizable BAR対応のゲームを手に入れたのなら、その都度検証していきたいと思います。
コメント
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