Legion Tower 7i Gen 8をレビュー!RTX 4080+Core i7-13700KF搭載のレノボのゲーミングPC
「Legion Tower 7i Gen 8」はレノボから発売中のハイエンドゲーミングPCです。以前レビューした、「Legion Tower 5i Gen 8」の上位モデルになります。
左側面パネルに強化ガラスを採用し、フロントパネルの独特なデザインなど、見た目にも力を入れているゲーミングPCです。
今回はRTX 4080とCore i7-13700KFを搭載したモデルをお借りすることができたので、詳しくレビューしたいと思います。
Legion Tower 7i Gen 8の仕様
今回お借りした「Legion Tower 7i Gen 8」の仕様は以下の通りです。
Legion Tower 7i Gen 8(製品番号:90V7001PJM) | |
---|---|
CPU | Core i7-13700KF |
チップセット | Z790 |
GPU | Geforce RTX 4080(GDDR6X 16GB) |
メモリ | DDR5-5600 32GB(16GB×2) |
ストレージ | 2TB(M.2 SSD) 2TB(HDD) |
光学ドライブ | なし |
電源 | 850W(80PLUS GOLD認証) |
OS | Windows 11 Home |
有線LAN | 2.5ギガビットLAN |
無線機能 | Wi-Fi 6E対応 (IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n準拠) 2×2 & Bluetooth® |
本体寸法(幅×奥行×高さ) | 約211×452×477mm |
重量 | 約15kg |
CPUは16コア24スレッドのインテル第13世代のCore i7-13700KF、GPUはGeforce RTX 4080の組み合わせで、メインメモリは32GB、ストレージは2TB(M.2 SSD)、2TB(HDD)を搭載しています。
有線は2.5ギガビットLAN、無線はWi-Fi 6E対応と、ネットワーク周りは充実しています。
Legion Tower 7i Gen 8の外観
ケースはダーググレーをベースとした落ち着いたデザインです。
左側面パネルは強化ガラスを採用しています。
フロントパネルはメッシュ状になっており、そこから新鮮な空気を取り込みます。メッシュは六角形の凹凸を組み合わせたデザインになっています。
天面にはインターフェース、排気用の通気孔があります。
排気用の通気孔によって、ケース内のこもった熱を排出したり、逆に新鮮な空気を取り込むことができます。
フロントに配置されているインターフェースは下記の通りです。
- USB 3.2 Gen1 x 2
- USB 2.0 x 2
- イヤホン、マイクロホン
- 電源ボタン
背面には下部に電源があり、その上にはインターフェースがあります。
背面のインターフェースは下記の通りです。
- USB 2.0 x 2
- LEDスイッチ
- USB 3.2 Gen1 x 2
- USB3.2 Gen2x2 Type-C
- USB3.2 Gen2
- USB 3.2 Gen1 x 2
- イーサネットコネクター
- オーディオポート
- HDMI
- DisplayPort×3
底面には電源用の吸気口とメッシュシートがあります。
メッシュシートは取り外すことができるので掃除が容易です。
電源を入れるとLEDが点灯し、雰囲気が一変。一気にゲーミングPCらしく派手になります。
23.8インチのモニターと並べました。比較してみると、Legion Tower 7i Gen 8のサイズ感はかなりあります。
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Legion Tower 7i Gen 8の内部構造
強化ガラスのサイドパネルを外すと、内部にアクセスできます。右側にあるのは、配線隠しの仕切り板です。今回は内部構造を見やすくするため、あえて外して各パーツをチェックします。
Z790チップセットを搭載したレノボ特注のマザーボードです。細かな仕様は分かりませんでしたが、巨大なVRMヒートシンクがあり、強力な電源回路を搭載していることがうかがえます。
簡易水冷式のCPUクーラーです。ポンプカバー中央にはLEGIONのロゴがあしらわれています。ポンプカバーはLEDに対応しているので光ります。
360mmのラジエーターはフロントに装着されています。また、ラジエーターの3連ファンは吸気用のフロントファンの役目も担います。
背面にはファンが1基搭載されています。LEDファンなので光ります。
天面にはファンが2基搭載されています。背面ファンと同じくLEDファンなので光ります。
ビデオカードはGeforce RTX 4080が搭載。トリプルファン仕様で、金属製の強固なバックパネルがついています。4スロット近く占有する幅広のタイプで、一部の拡張スロットに干渉してしまいます。
重量はかなりあるため、ビデオカードホルダーでガッチリと固定されています。
ビデオカードもLEDに対応しており、「Geforce RTX 4080」という文字とバックプレートが光ります。
メモリーは32GB(8GB×2/DDR5-5600MHz動作)を搭載。メモリースロットが計4本あり、空きスロットは2本あるので増設が可能です。
M.2 スロットは合計で3つあり、その内の1つに、Samsungの「MZVL22T0HBLB-00BL 2TB」を搭載しています。空きスロットは2つあるのでM.2 SSDは2基増設可能です。
2つのM.2スロットは撮影できましたが、もう一つのM.2スロットはビデオカードの裏に隠れていたので撮影できませんでした。
WIFIカード用のM.2 スロットには、WIFIカードが装着されています。
右側面パネルを外すと、裏配線スペースとドライブベイ、電源にアクセスできます。
3.5インチベイの空きスロットは合計で2つあり、その内の1つに、SEAGATEの「ST2000DM008-2UB102 2TB」を搭載しています。空きスロットは1つあるので3.5インチのストレージは1基増設可能です。
また、2.5インチベイは2つあり、2.5インチのストレージは2基増設可能です。
LITEON製の850Wの80PLUS GOLD電源を搭載。
Legion Tower 7i Gen 8のパフォーマンスをチェック
ここから実際に「Legion Tower 7i Gen 8」を動作させ、パフォーマンスを検証したいと思います。まずスペックを軽くおさらいします。
CPUはインテル第13世代のCore i7-13700KFを搭載。Pコア(8コア/16スレッド)、Eコア(8コア/8スレッド)を搭載するCore i7-13700KFは、タスクマネージャーからは16コア24スレッドで認識されます。
マザーボードはインテル Z790チップセットのものを搭載。おそらくレノボ特注のものだと思われます。メモリーは5,600MHz駆動をサポートするDDR5-5600 32GB(16GB×2)です。
ビデオカードはGeforce RTX 4080を搭載。ベンチマーク中の実ブーストクロックは、最大で2,400MHz近くまで上昇します。
ユーティリティーソフト「lenovo vantage」のサーマルモード設定では初めから「パフォーマンスモード」が選択されていました。パソコンの性能を最大限引き出すモードです。
その際のCore i7-13700のMTP(Maximum Turbo Power)は、PL1が260W、PL2が320Wで動作するように設定されていました。インテル第13世代のCPUは電力制限で性能が大きく変化します。
シングルコアテスト時(左)はPコアは最高5.29GHzで動作しましたが、Eコアはほとんど動作しませんでした。おそらくシングルテスト時はPコアを優先的に使って処理しているからだと思います。
マルチコアテスト時(右)はすべてのコアにおいてクロックが動作しています。Pコアは最高5.29GHz、Eコアは最高4.19GHzまで動作。
2.5ギガビットLANとWIFI6Eをサポートしていることを確認。対応するルーターと組み合わせると、無線でも最大2,402Mbpsという高速通信が可能に。
ベンチマークテスト:Cinebench 2024/R23/R20/R15
CGレンダリングを行い、CPUの処理性能を計測するベンチマークの「CINEBENCH」です。「CINEBENCH 2042」と「CINEBENCH R23」、「CINEBENCH R20」、「CINEBENCH R15」それぞれのスコアは以下の通りです。
16コア24スレッドということで、メニーコアに最適化された「CINEBENCH 2042」、「CINEBENCH R23」を筆頭にマルチスコアで高スコアをマーク。もちろん、シングルスコアのテストでも良好な結果を残しています。
フルロード時のCPUクーラーの冷却が心配でしたが、性能はしっかり引き出せているようです。
CPUのCore i7-13700KFのコア数、スレッド数は、16コア24スレッドなので、圧巻のマルチスレッド性能でした。もちろんシングルスレッド性能も十分高いです。
ベンチマークテスト:3DMark:Time Spy
ゲーミングパフォーマンスを計測する「3DMark」のDirectX 12ベースの「Time Spy」です。テストはWQHD解像度の「Time Spy」と4K解像度の「Time Spy Extreme」です。
RTX 4080のビデオカードは、4K解像度をターゲットにできるくらいの性能を有しています。それもあってか、テスト解像度がWQHDの「Time Spy」のグラフィックススコアは2万台後半、Graphics test 1実行中のフレームレートは185fpsに達しています。
4K解像度の「Time Spy Extreme」も、グラフィックススコアは13000代、Graphics test 1実行中のフレームレートは888fps台に達しています。
ベンチマークテスト:3DMark Fire Strike
「3DMark」のDirect X11をベースにした「Fire Strike」です。テストプリセットには「Fire Strike」、「Fire Strike Extreme」、「Fire Strike Ultra」の3種類すべてを選択しました。
テスト解像度がフルHDの「Fire Strike」では、グラフィックススコア65,000ポイントに迫り、フレームレートはGraphics Test1では313fpsに達しています。
テスト解像度がWQHDの「Fire Strike Extreme」では、グラフィックススコア33,000ポイントに迫り、フレームレートはGraphics Test1では179fpsに達しています。
テスト解像度が4K解像度の「Fire Strike Ultra」では、グラフィックススコア17,000ポイントに迫り、フレームレートはGraphics Test1では94fpsに達しています。
ベンチマークテスト:3DMark Speed Way
「3D Mark」のDirectX 12 Ultimate対応の「Speed Way」です。レイトレーシングや可変レートシェーディング、メッシュシェーダーといった最新機能を使用するので、非常に負荷が重いです。
「Speed Way」の総合スコアはそのままフレームレートを表しています。つまり、ベンチマーク中のフレームレートは72.49fpsを記録したということになります。
ベンチマークテスト:ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ
「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークテスト、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」を利用します。
グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で245fps、WQHD解像度で217fps、4K解像度で139fpsでした。
ベンチマークテスト:フォートナイト
フォートナイトにはベンチマークモードがないので、今回はNVIDIAが用意した、「TILTED TOWERS BENCHMARK」を利用します。
DirectX 11、3D解像度は100%、グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で240fps、WQHD解像度で219fps、4K解像度で148fpsでした。
ベンチマークテスト:アーマードコア6
アーマードコア6にはベンチマークモードがないので、今回はミッションの「武装採掘艦護衛」を利用します。
「武装採掘艦護衛」では常に砂嵐が発生し、負荷は重いです。また、このミッションは敵の数が少なく、同じような状況を再現しやすいです。
グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、ミッション開始してから60秒間の平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で117fps、WQHD解像度で118fps、4K解像度で93fpsでした。
ベンチマークテスト:サイバーパンク2077
ゲーム内のベンチマークテストを利用します。グラフィック設定は「ウルトラ」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で170fps、WQHD解像度で124fps、4K解像度で62fpsでした。
ベンチマークテスト:Forza Horizon 5
ゲーム内のベンチマークテストを利用します。グラフィック設定は「エクストリーム」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で176fps、WQHD解像度で160fps、4K解像度で128fpsでした。
ベンチマークテスト:Watch Dogs: Legion
ゲーム内のベンチマークテストを利用します。グラフィック設定は「最大」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で142fps、WQHD解像度で132fps、4K解像度で86fpsでした。
ベンチマークテスト:Assassin’s Creed Mirage
ゲーム内のベンチマークテストを利用します。グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
ベンチマーク中の平均フレームレートはフルHD解像度で164fps、WQHD解像度で151fps、4K解像度で98fpsでした。
ベンチマークテスト:レイトレーシングとDLSS
4K解像度レイトレウルトラのCyber Punk 2077のベンチマークを実行したところ、平均フレームレートは、DLSSなしではわずか28fpsでした。
Geforce RTX 4080はDLSS FGに対応しているので、DLSSパフォーマンス+DLSS FGを有効にして、再度ベンチマークを実行すると、平均フレームレートは112fpsまで上昇しました。
ベンチマークテスト:twitch studioを使った録画・配信時のパフォーマンス
フルHD、最高設定のファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ(ベンチマーク)の録画・配信時の平均フレームレートを計測します。配信ソフトは「twitch Studio」で設定は下記の通りです。
- プリセット:720p60
- 解像度:1280×720
- FPS:60
- ビットレート:4500kbps
- エンコード:NVIDIA NVENC(ハードウェア)
配信時のフレームレートの下落率はわずか11%でした。これくらいのパフォーマンスの低下であれば、録画と配信をしながらゲームをプレーすることは十分可能です。
RTX 4080に搭載されているハードウェアエンコードの「NVENC 」は優秀だと改めて気づかされました。
各種ゲームベンチマークを試してみましたが、RTX 4080の性能の高さを再認識されました。DLSSなしでも、4K解像度のゲームも十分プレー可能な性能を有しています。
ストレージの性能
Samsungの「MZVL22T0HBLB-00BL 2TB」はPCI-Express4.0×4インターフェースを採用するM.2 SSDです。Crystal Disk Markを実行したところ、PCI-Express4.0×4の限界近くの性能を有していることが確認できました。
また、ベンチマーク実行中のディスク温度は最高54℃と、そこまで高温にはなりませんでした。
SEAGATEの「ST2000DM008-2UB102 2TB」のベンチマーク結果はHDDとしてはごく普通の結果でした。
高負荷時のCPU&GPUクーラーの挙動
上のグラフは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」を実行中のCPU温度とCPU消費電力の推移です。分かりづらいと思いますが、左軸はCPU消費電力(W)、右軸はCPU温度(℃)です。
制限を解除したCore i7-13700KFに負荷をかけると、消費電力は最高324Wまで上昇しますが、CPU温度は最高97℃までの上昇に抑えられました。360mmの簡易水冷の冷却性能は本物です。
とはいえ、サーマルスロット(保護のため動作クロックが下がる)が起きる100℃ギリギリなので、もし気になるようであれば、電力制限をかけて運用した方がいいかもしれません。
「lenovo vantage」のサーマルモード設定で、バランスモードや静音モードを設定すると、下記のようにPL1、PL2の消費電力が下がるので、CPU温度の過度な発熱を防ぐことができます。
パフォーマンスモード | バランスモード | 静音モード | |
---|---|---|---|
PL1電力制限(静的) | 260W | 210W | 210W |
PL1電力制限(動的) | 260W | 210W | 175W |
PL2電力制限(静的) | 320W | 320W | 320W |
PL2電力制限(動的) | 320W | 320W | 253W |
上のグラフは「3DMark Fire Strike」を実行中のGPU温度とGPU消費電力の推移です。分かりづらいと思いますが、左軸はGPU消費電力(W)、右軸はGPU温度(℃)です。
負荷をかけると、消費電力は最高309Wまで上昇し、GPUは激しく発熱しますが、GPU温度は最高67℃までしか上昇しませんでした。3連ファンと巨大なヒートシンク、さらにPCケース内のエアフローが功を奏したのか、GPU温度の過度な上昇は抑えられています。
消費電力
Legion Tower 7i Gen 8のアイドル時と高負荷時(3DMark Speed Way実行中)のシステム全体の消費電力を調べます。調べ方はワットチェッカーを使用し、数字が落ち着いたらそれを参考値とします。
アイドル時は70W近くまで上昇し、高負荷時は最大500W前後まで上昇しました。850Wの大容量電源を搭載しているので、マージンは十分に確保されています。
騒音
Legion Tower 7i Gen 8のアイドル時と高負荷時(3DMark Speed Way実行中)の騒音を調べます。調べ方は簡易的な騒音計をPC本来から50cmほど離れたところに設置し、数字が落ち着いたらそれを参考値とします。
アイドル時は30dBA以下で、不快な風切り音はほぼ皆無でした。負荷をかけても、36dBAまでしか上がらず、ほんの少しだけ風切り音が聞こえました。ハイエンドゲーミングPCとして考えると、驚くほど静かです。
まとめ
Legion Tower 7i Gen 8は、ダーググレー筐体で目立ちにくい反面、LEDをオンにすると一気にゲーミングPCらしさが発揮される、二面性のデザインがなんといっても魅力です。
ゲーミングPCにありがちな、ただ派手なだけなデザインではないので、万人におすすめできます。
またCore i7-13700KFとRTX 4080の組み合わせによる、ゲーミング性能は強力です。4K解像度の超重量級のサイバーパンクですら、十分快適にプレーが可能です。それでいて騒音も抑えれられており、ゲームに集中しやすいです。
今後数年間、長期間にわたってゲーミングPCを使っていきたいと考えているのであれば、今回レビューしたLegion Tower 7i Gen 8はおすすめできます。