レノボ Legion T570iをレビュー!GTX 1660 Super搭載のエントリー向けゲーミングPC
GTX 1660 Super搭載のレノボのエントリーモデルのゲーミングPC、「Legion T570i」をレビューします。
エントリーモデルのゲーミングPCですが、どれくらいのゲームが快適にプレーできるのか、気になっている方はいるのではないでしょうか?メーカー様よりお借りしたので、詳しくレビューしていきます。
2023年2月現在、今回紹介したモデルは現在購入不可能です。記事の後半で代替機を紹介しています。
Legion T570iの基本スペック
Legion T570i(型番:90SV009QJM) | |
CPU | Core i5-12400F |
CPUクーラー | サイドフロー型空冷CPUクーラー |
マザーボード | B660チップセットマザーボード |
メモリ | DDR5-4800MHz 16GB(8GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA GTX 1660 Super |
ストレージ | 512GB(M.2 Nvme) 1TB(HDD) |
電源 | 500W |
OS | Windows 11 Home 64bit |
外形寸法(幅×奥行×高さ) | 約 205 x 420 x 395mm |
参考価格 | 144,870円 |
今回レビューするのは、レノボのゲーミングPC、「Legion T570i(型番:90SV009QJM)」です。
CPUはインテル第12世代、AlderLakeのCore i5-12400F(6コア12スレッド)、GPUはNvidiaのTuring世代のGeforce GTX 1660 Superを搭載します。
GTX 1660 SuperのVRAM容量は6GBと、今の基準では少し物足りないです。VRAM容量の少なさが、ゲーム性能にどう影響を与えるのか気になるところです。
メモリはDDR5-4800MHz 16GB(8GB×2)です。エントリーモデルとしては珍しく、DDR4メモリではなく、DDR5メモリが採用されています。メモリはSamsung製でした。
ストレージは512GB(M.2)+2TB(HDD)で、計約1.5GBと比較的余裕があります。最近のゲームのデータ容量はタイトルにもよりますが、平気で100GB以上を消費するので、このストレージの余裕さは非常にありがたいです。
Legion T570iをチェック
外観
本体サイズは幅205mm、奥行きは420mm、高さは395mmです。容量は26Lです。大きさはいわゆるミニタワーのPCケースに該当します。黒一色のデザインで、落ち着いた印象です。
フロントパネルです。フロントパネルはメッシュとなっています。2連ファンから新鮮な空気を取り込みます。また、Legionのマークが中央に配置され、デザインにアクセントを与えています。リアパネルはいたって普通の作りです。
フロントパネルのLegionのマークは光らすことが可能です。付属ソフトの「Lenovo Vantage」からライティングの設定が可能です。もちろんライティングをオフにすることも可能です。
LegionのゲーミングPCの中にはサイドパネルに強化ガラスを採用したモデルもありますが、今回のLegion T570iは採用されていません。
インターフェース
フロントのインターフェースはトップパネル前面に配置されています。インターフェースは下記の通りです。
- USB3.1 Gen1(USB3.0)×2
- マイク端子×1
- ヘッドホン端子×1
- 電源スイッチ×1
リアパネルのインターフェースです。インターフェースは下記の通りです。
- USB 3.1 Gen1 x 2
- USB 2.0 x 4
- USB 3.1 Gen2 Type-C x 1
- オーディオポート x 3(ライン出力 x 1、ライン入力 x 1、マイクロホン x 1)
- イーサネットコネクター x 1
- DisplayPort 1.4a x 1
- HDMI 2.0b x 1
- Dual link DVI-D x 1
フロントのインターフェースと異なり、リアパネルのインターフェースは比較的充実しています。最近ではほとんど見なくなったDual link DVI-Dがあるのは驚きでした。
最近のモニターにはほぼDual link DVI-D端子がないので、トリプルディスプレイを考えているのなら、注意が必要です。
内部構造
サイドパネルを外すと、内部にアクセスできます。
Lenovo特注のサイドフロー型の空冷CPUクーラーです。トップカバーにはLegionのロゴがあります。
SAMSUNG製のDDR5-4800 8GBのメモリが2本ささっています。空きスロットが2本なので、増設も可能です。
CPUクーラーのヒートシンクの真下にあるM.2スロットがあり、512GBのNVMe SSDが搭載されています。ヒートシンクは装着済みです。
2.5インチマウントベイです。空きスロットが1つ空いているので、増設が可能です。
付属品は、「サポートマニュアル」、「電源ケーブル」のみです。
Legion T570iのベンチマーク
PC Mark 10 Extended
まず、パソコンの総合性能を計測する、「PC Mark 10 Extended」です。
PCの基本性能を計測する「Essentials」、ビジネスアプリケーションの処理性能を計測する「Productivity」、ゲームの実行に関わる性能を計測する「Gaming」、コンテンツ制作に関わる性能を計測する「Digital Content Creation」の4つのテストで構成されています。
Legion T570iのスコアは以下の通りです。
総合スコア | 8210 |
Essentialsのスコア | 9653 |
Productivityのスコア | 10223 |
Digital Content Creationのスコア | 9881 |
Gamingのスコア | 12593 |
Essentials スコアで4100以上、Productivityのスコアで4500以上、Digital Content Creationのスコアで3450以上がPC MARK 10が定める推奨のシステムです。
それを考えると、写真や動画の編集、事務作業等は快適にこなせそうです。
Cinebench R23
CPU性能を計測する定番ベンチマーク、「Cinebench R23」です。
Core i5-12400Fのマルチスコアは11549、シングルスコアは1643です。
Core i5-12400Fは6コア12スレッドということで、他のCPUと比較すると、マルチスコアは似たり寄ったりです。ただ、シングルスコアではライバルを突き放しています。
Fire Strike
3D性能を計測する定番ベンチマーク、フルHD解像度を想定した3DMarkの「Fire Strike」です。
Legion T570iのスコアは以下の通りです。
総合スコア | 14588 |
Graphics スコア | 15750 |
Physics スコア | 23568 |
Combined スコア | 6867 |
他の主なGPUとGraphics スコアで比較してみました。
GTX 1660 Superの3D性能はほぼRTX 3050とほぼ同等です。上位のRTX 3060との差は非常に大きいです。
4K解像度を想定した「Fire Strike Ultra」ではスコアは伸びません。4Kゲーミングが可能になるといわれているRTX 3080と比較すると、GTX 1660 Superのスコアは約3分の1です。4Kゲーミングは極めて厳しいです。
ゲーム性能
ここからはLegion T570iのゲームパフォーマンスを計測します。ベンチマークモードがないゲームに関しては、CapFrameXを使用して、平均フレームレートを計測します。
なお、解像度はすべてフルHD(1920×1080)、スケーリングは100%です。FSRなどのアップスケーリングもオフにしています。
FF14:暁月のフィナーレベンチマーク
設定 | スコア / 平均フレームレート | 画像 |
最高品質 | 15921 平均FPS:110 最低FPS:66 | |
高品質(デスクトップPC) | 17426 平均FPS:120 最低FPS:70 | |
標準品質(デスクトップPC) | 23908 平均FPS:175 最低FPS:75 |
「FF14:暁月のフィナーレ」を最高品質、高品質(デスクトップPC)、標準品質(デスクトップPC)でベンチマーク。全ての設定で、「非常に快適」判定です。
FF15ベンチマーク
「FF15ベンチマーク」を最高品質、高品質(デスクトップPC)、標準品質(デスクトップPC)でベンチマーク。全ての設定で、「快適」判定以上です。
Forza Horizon 5ベンチマーク
「Forza Horizon 5ベンチマーク」をエクストリーム設定、中設定、最低設定でベンチマーク。エクストリーム設定では平均60FPSを下回りますが、中設定、最低設定では平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Rainbow Six Siegeベンチマーク
「Rainbow Six Siegeベンチマーク」を最高設定、中設定、最低設定でベンチマーク。全ての設定で平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
アサシンクリードヴァルハラベンチマーク
「アサシンクリードヴァルハラベンチマーク」を最高設定、中設定、低設定でベンチマーク。最高設定では平均60FPSを下回りますが、中設定、低設定では平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Cyberpunk2077ベンチマーク
「Cyberpunk2077ベンチマーク」をウルトラ設定、中設定、最低設定でベンチマーク。最高設定では平均60FPSを下回りますが、中設定、最低設定では平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Watch Dogs: Legionベンチマーク
「Watch Dogs: Legionベンチマーク」を最大設定、中設定、低設定でベンチマーク。最大設定では平均60FPSを下回りますが、中設定、低設定では平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Shadow of the Tomb Raiderベンチマーク
「Shadow of the Tomb Raiderベンチマーク」を最高設定、中設定、最低設定でベンチマーク。全ての設定で平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Apex Legends
設定 | 平均フレームレート |
最高設定 | 平均FPS:116 最低FPS(1%low):85 |
最低設定 | 平均FPS:262 最低FPS(1%low):172 |
「Apex Legends」を最高設定、最低設定でベンチマーク。演習場を180秒間、周回した際の平均フレームレートを計測。
全ての設定で平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Fortnite
設定 | 平均フレームレート |
最高設定 | 平均FPS:137 最低FPS(1%low):105 |
中設定 | 平均FPS:193 最低FPS(1%low):136 |
低設定 | 平均FPS:359 最低FPS(1%low):248 |
「Fortnite」を最高設定、中設定、低設定でベンチマーク。クリエイティブ島を180秒間、周回した際の平均フレームレートを計測。全ての設定で3D解像度は100%、描画距離は最高に設定しています。
なお、フォートナイトはチャプター4でグラフィック設定が大幅に変更されました。新たに追加された以下の設定はすべてオフにしています。
- アンチエイリアス&スーパー解像度
- グローバルイルミネーション
- リフレクション
- 高解像度テクスチャの自動ダウンロード
- 高解像度テクスチャのリマインダー
全ての設定で平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
VARORANT
設定 | 平均フレームレート |
最高設定 | 平均FPS:301 最低FPS(1%low):162 |
最低設定 | 平均FPS:467 最低FPS(1%low):246 |
「VARORANT」を最高設定、最低設定でベンチマーク。演習場を180秒間、周回した際の平均フレームレートを計測。
全ての設定で平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
Overwatch 2
設定 | 平均フレームレート |
エピック設定 | 平均FPS:111 最低FPS(1%low):90 |
中設定 | 平均FPS:359 最低FPS(1%low):274 |
低設定 | 平均FPS:471 最低FPS(1%low):347 |
「Overwatch 2」をエピック設定、中設定、低設定でベンチマーク。演習場を180秒間、周回した際の平均フレームレートを計測。
全ての設定で平均60FPS以上を保ったままプレーが可能です。
ゲームの実況配信
ゲームをyoutubeライブで、スムーズに実況配信できるか検証します。配信ソフトはOBSを使用しました。設定は下記の通りです。
OBSの設定 | |
サービス | Youtube-RTMPS |
サーバー | Primary YouTube ingest server |
映像ビットレート | 10000 |
配信エンコード | ハードウェア(NVENC、H.264) |
録画エンコード | ハードウェア(NVENC、H.264) |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
基本(キャンバス)解像度 | 1920×1080 |
出力(スケーリング)解像度 | 1920×1080 |
FPS | 60 |
検証方法はアサシンクリードヴァルハラベンチマーク(フルHD、中設定)を実行し、配信無しと配信ありでどれだけのフレームレートの差があるのかを調べます。
設定 | 平均フレームレート |
配信なし | 平均FPS:86 最低FPS(1%low):67 |
配信あり | 平均FPS:78 最低FPS(1%low):60 |
GTX 1660 Superに搭載されているハードウェアエンコード機能、「NVEnc」を使用すると、CPUに負荷はほとんどかけずに配信が可能です。
フレームレートも配信ありと配信なしでほとんど変わりなく、また、特に目立ったカクつきもなく、快適に配信ができました。
Legion T570iのゲーム性能は比較的良好といえます。ただ、重量級ゲームの最高設定では平均60FPSを下回ります。おそらくGTX 1660 Superの6GBというVRAM容量に原因があると思います。重量級ゲームの最高設定ではVRAM消費量が6GBを超えてしまうので、VRAM容量不足により、どうしてもフレームレートが下がってしまいます。
Legion T570iのクリエイティブ性能をチェック
動画編集
PowerDirecter 18で動画編集
ここからはLegion T570iのクリエイティブ性能を検証していきます。
まず、PowerDirecter 18で動画の編集を行いました。
動画素材のカットや、テロップ、音声を加える編集であれば、処理のモタツキを感じることはほとんどありませんでした。
ただ、4K素材の編集や、エフェクトを多用するのであれば、メモリを16GBから32GB以上に増設することをおすすめします。
動画エンコード
x264 FHD Benchmark
スコアはFPSで表示され、FPSの値が高いほどH.264形式のエンコード性能が高いということになります。
他の主なCPUと比較してみました。
Core i5-12400Fは56FPSで、同じ6コア12スレッドのRyzen 5 5600Gとほぼ互角です。
AviUtlのエンコード
x264では201秒、x265では304秒かかりました。一般的なノートパソコンであれば、10分以上かかるのはザラなので、それを考えると非常に速いです。
3DCG制作
Blender Benchmark
ベンチマークには、「Classroom」、「Junkshop」、「Monster」と3つのシーンのレンダリングにかかる時間を計測できますが、今回は「Monster」のみの結果を見ていきます。
なお、最新バージョンでは、レンダリングにかかる時間ではなく、1分間あたりに生成できるサンプル数で表示されます。
他の主なCPUと比較してみました。
Core i5-12400Fは同じ6コア12スレッドのCore i5-11400FやRyzen 5 5600Gよりも優秀な結果でした。
Legion T550のストレージ性能をチェック
搭載されているストレージは、512GBのNVMe M.2 SSD「SAMSUNG MZVL2512HCJQ-00BL7」と1TBのHDD「WDC WD10EZEX-08WN4A1」です。
gen4対応ということもあり、「SAMSUNG MZVL2512HCJQ-00BL7」の転送速度は非常に高速です。一方、「WDC WD10EZEX-08WN4A1」の方は一般的なHDDの転送速度です。
Legion T570iのCPU・GPU温度をチェック
CPU温度
CPU温度は70度に達することありませんでした。CPUクーラーはしっかりCore i5-12400Fを冷やしています。
GPU温度
GPU温度は80度に達することはありませんでした。フロントに吸気ファンがないのと、搭載しているGTX 1660 Superはシングルファンモデルですが、十分GPUを冷やせています。
フロントにファンを増設して、エアフローの流れを良くすれば、さらに冷やせそうです。
Legion T570iの消費電力と騒音をチェック
消費電力をチェック
システム全体の消費電力をワットチェッカーを使って計測してみました。
アイドル時の消費電力は45W前後、負荷が重いFF15ベンチマーク実行中の消費電力は200W前後を推移していました。消費電力はおとなしいです。
騒音をチェック
簡易的な騒音計を使ってアイドル時と、FF15ベンチマーク実行中の騒音を計測してみました。
アイドル時はほとんど騒音は聞こえませんが、ゲーム中は若干耳障りで総音が聞こえます。ヘッドフォン等をつけていれば、まったく総音は気にならないと思います。
Legion T570iの代替品を紹介
冒頭で話した通り、今回紹介したモデルは残念ながら2023年2月現在、購入できません。代わりに紹介したいのが、「Lenovo Legion Tower 5i Gen 8(90UUCTO1WWJP2)」です。
GPUはGTX 1660 Superとほぼ同等な3D性能を持つRTX 3050を搭載しています。DLSSやリアルタイムレイトレーシングなど、GTX 1660 Superにはない機能も使えるのが大きな特徴です。さらにVRAM容量も8GBなのも魅力的です。
CPUはインテル第13世代のCore i5-13400Fです。インテル第12世代のCore i5-12400Fの上位モデルで、Eコアが搭載されているのが大きな特徴です。
今回紹介したモデルの上位モデルといえます。
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