ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4をレビュー!低価格なのに多機能なZ790マザーボード
ASUSのインテル第12世代、第13世代のCPUに対応する、ASUSのATXマザー、「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」をレビューします。
16+1フェーズという強力な電源回路を有しているだけでなく、「M.2 Q-Latch」、「PCIe Q-Release」など、他社にはなかなかないギミックを搭載したりと、非常に特徴的なマザーボードとなっています。
本記事はメーカー様より製品をお借りして記事を作成しています。
TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の仕様
対応ソケット | LGA1700 |
チップセット | インテル Z790 |
対応フォームファクタ | ATX |
メモリスロット | DDR4×4(デュアルチャネル対応/最大128GB) |
対応メモリクロック | 5,333(OC) / 5,133(OC) / 5,066(OC) / 5,000(OC) / 4,800(OC) / 4,700(OC) / 4,600(OC) / 4,500(OC) / 4,400(OC) / 4,266(OC) / 4,133(OC) / 4,000(OC) / 3,866(OC) / 3,733(OC) / 3,600(OC) / 3,466(OC) / 3,400(OC) / 3,333(OC) / 3,200 / 3,000 / 2,933 / 2,800 / 2,666 / 2,400 / 2,133 |
拡張スロット | PCI-Express5.0(×16) ×1 PCI-Express4.0(×16) ×1 PCI-Express4.0(×4) ×1 PCI-Express3.0(×1) ×2 |
ストレージ | M.2_1 slot (Key M), type 2242/2260/2280/22110(PCI-Express4.0×4対応) ×1 M.2_2 slot (Key M), type 2242/2260/2280 (supports PCIe 4.0対応) ×1 M.2_3 slot (Key M), type 2242/2260/2280/22110 (supports PCIe 4.0対応) ×1 M.2_4 slot (Key M), type 2242/2260/2280 (PCIe 4.0 x4 & SATA 対応) ×1 SATA 3.0×4 |
LAN | 2.5GbpsLAN×1(Intelチップ) Wi-Fi 6+Bluetooth 5.2 |
サウンド | 7.1 チャンネル HD オーディオ (Realtek S1220A) |
リアインターフェイス | USB 3.2 Gen 2×2(1 x USB Type-C) ×1 USB 3.2 Gen 2(2 x Type-A + 1 x USB Type-C) ×3 USB 3.2 Gen 1(4 x Type-A) ×4 DisplayPort ×1 HDMI ×1 Wi-Fiモジュール ×1 2.5GbpsLAN ×1 オーディオ端子 ×5 S/PDIF ×1 |
参考価格 | 36,500円(2023年7月2日現在) |
TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4とは
「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は、安定性、耐久性を重視した質実剛健さが売りのTUF(The Ultimate Force)シリーズに属するマザーボードです。そのため、ARGBなどのイルミネーションといった派手な装飾は省かれています。
また、TUFシリーズはハイエンドのROGシリーズと異なり、エントリー向けという位置づけです。そのため、「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」も実売価格は4万円以下(2023年6月現在)となっています。
ただ、エントリー向けといっても、VRMはコンデンサなどに高耐久品を採用した16+1フェーズ構成と、電源回路は充実した構成となっています。
大型のヒートシンクを装備し、冷却対策も施されているので、発熱が凄まじい昨今のハイエンドのCPUも長期間安定して稼働させることができます。
さらに、最高5333+MHzまでの高クロック動作に対応するDDR4メモリスロットや、PCI-Express5.0(×16)スロットや、PCI-Express4.0×4対応のM.2スロット、USB 3.2 Gen 2×2 Type-Cコネクタなど、高速なインターフェースも充実しています。
そして、ネットワークは2.5ギガビットLANに加え、Wi-Fi 6無線LAN+Bluetooth 5.2を標準装備しています。オーディオ回路はノイズを抑制するための独立回路となっており、Realtek S1220Aを搭載。DTS Audio Processingに対応し、ゲームや映画を大迫力で楽しむことができます。
そのほか、ツールレスでM.2 SSDを固定できる「M.2 Q-Latch」、グラフィックカードを簡単に取り外しできる「PCIe Q-Release」といった特殊な独自機能を搭載します。
TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の外観
電源回路
16+1フェーズという大規模な電源回路を搭載。ハイサイドとローサイドのMOSFETとドライバーを1つのパッケージにまとめた、「60A Dr.MOS」となっています。
さらに、CPUに安定した電力を供給する「TUFチョーク」、一般的なコンデンサーと比べて、52%高い温度許容、2.5倍の長寿命を実現した「TUFコンデンサ」を搭載。それ以外のパーツにも軍用グレードの「TUF コンポーネント」を採用しています。
LGA1700だけでなく、LGA1200用の取付穴もあるので、LGA1200に対応したCPUクーラーも取り付け可能です。
8+4pinの電源コネクタです。抵抗が低く、コネクタの故障を防ぐ「ProCool電源コネクタ」を採用。
広大な表面積の大型PCHヒートシンクを搭載。VRMとチョークを覆い、最適なバランスで放熱をおこないます。
CPUソケットはLGA1700です。第13 / 12世代のインテルCPUに対応します。
チップセット
チップセットは最上位モデルのインテル Z790を搭載。
Z690と同じく、CPUのオーバークロックやPCI Express 5.0のレーン分割対応ですが、PCI Express 4.0のレーン数が12から20に、USB 3.2 Gen 2×2ポートが最大4から5に増加しています。
メモリスロット
メモリスロットはデュアルチャネル対応のDDR4×4本で、最大128GBまでの増設が可能。ASUS OptiMem IIテクノロジーにより、最大5,333+MHzまでのオーバークロックメモリに対応します。
ストレージ
Express 4.0(x4)接続のM.2スロットが4基あり、その内、3つのM.2スロットには専用のヒートシンクがあります。
発熱しやすいM.2 SSDを適切な動作温度に保ちます。
上段のM.2_1スロットはCPU接続で、インターフェースはPCI-Express4.0×4に対応。
中段のM.2_2スロットはチップセット接続で、インターフェースはPCI-Express4.0×4に対応。
下段左のM.2_3スロットはチップセット接続で、インターフェースはPCI-Express4.0×4に対応。
下段右のM.2_4スロットはチップセット接続で、インターフェースはPCI-Express4.0×4、SATA 3.0に対応。
全てのM.2スロットには、M.2 Q-Latchが実装。ツールレスでM.2 SSDを固定できます。
SATA 3.0ポートは合計4基あります。
拡張スロット
拡張スロットは、PCI-Express5.0(×16) ×1、PCI-Express4.0(×16) ×1、PCI-Express4.0(×4) ×1、PCI-Express3.0(×1) ×2の計5本を搭載。グラフィックスカードをとりつける、PCI-Express5.0(×16)スロットには、メタルシールドが施された「SafeSlot」が実装。重量級のグラフィックスカードでも安全に運用できます。
グラフィックスカードを簡単に取り外すことができる「PCIe Slot Q-Release」が実装。
ボタンを押すだけで、PCIeスロットのセキュリティラッチが瞬時に解除されます。
オーディオ回路
オーディオ回路には「Realtek S1220A」を採用。ステレオライン出力ではS/N比120dB、ライン入力ではS/N比113dBを実現。
裏面を確認すると、オーディオ回路は、メイン基板からは独立していることが分かります。これによって、デジタルノイズを抑えることができます。
膨大なディープラーニングデータベースを活用し、音声を維持したままマイクや入力音声の周囲の雑音を低減する「双方向AIノイズキャンセリング」機能を搭載。
ゲーミングヘッドセットやスピーカーのオーディオ体験を向上させる「DTS Audio Processing」機能を搭載。音楽、映画、ゲームといった専用プリセットが用意されるだけでなく、自分でカスタマイズすることも可能です。
リアインターフェイス
リアインターフェイスは、「USB 3.2 Gen 2×2(1 x USB Type-C) ×1」、「USB 3.2 Gen 2(2 x Type-A + 1 x USB Type-C) ×3」、「USB 3.2 Gen 1(4 x Type-A) ×4」、「DisplayPort ×1」、「HDMI ×1」、「Wi-Fiモジュール ×1」、「2.5GbpsLAN ×1」、「オーディオ端子 ×5」、「S/PDIF ×1」を搭載。
一体型のバックパネルを採用。
ネットワークはWi-Fi 6と2.5ギガビットLANに対応。
マザーボードレイアウト
- CPUソケット
- メモリースロット
- 拡張スロット
- ファン/ポンプヘッダー
- 電源コネクター
- M.2 Socket 3 スロット
- SATA 6 Gb/s ポート
- USB 3.2 Gen 2 コネクター
- USB 3.2 Gen 1 ヘッダー
- USB 2.0 ヘッダー
- 第2世代アドレサブルヘッダー
- RGB ヘッダー
- CMOSクリアヘッダー
- シリアルポートヘッダー
- フロントパネルオーディオヘッダー
- システムパネルヘッダー
- Thunderboltヘッダー
- Q-LED
CPUクーラー関連のファンは、基盤右上に、「CPU_FAN」、「AIO_PUMP」、「CPU_OPT」を搭載。
ケースファンの「CHA_FAN」は、基盤中央左の「CHA_FAN1」、基盤右下の「CHA_FAN1」、「CHA_FAN2」、「CHA_FAN3」を搭載。
ADD_GEN2(第2世代アドレサブルヘッダー)は、基盤右上の「ADD_GEN2_1」、基盤中央の「ADD_GEN2_2」、「ADD_GEN2_3」を搭載。
基盤右下には、「USB 3.2 Gen 2 コネクター」、「USB 3.2 Gen 1 ヘッダー」を搭載。基盤下中央には「Thunderboltヘッダー」を搭載。
Core i7-12700を使い実動チェック
テスト機材
ASUS「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」に各パーツを装着しPCを構築。実働チェックをしていきます。テスト機材の構成は下記の通りです。
テスト機材構成 | |
CPU | Core i7-12700 |
CPUクーラー | ASUS 「TUF GAMING LC 240 ARGB」 |
マザーボード | ASUS 「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」 |
メモリ | CRUCIAL 「CT2K16G48C40U5」(DDR4-3200/16GB×1) |
グラフィックスカード | ASUS 「TUF-RTX4060TI O8G GAMING」 |
ストレージ | CRUCIAL 「P5 Plus」(500GB/PCI-Express4.0×4) |
電源ユニット | ASUS 「TUF-GAMING-750G」(80PLUS GOLD) |
OS | Windows 11 Home 64bit |
UEFI BIOS Utility
「UEFi BIOS Utilty」を起動すると、主要な設定にアクセスできる「EZ Mode」が表示されます。
マザーボードに接続されたファンの回転数を個別にコントロールできる「Q-Fan Control」も「EZ Mode」から設定が可能です。
詳細は設定は「Advanced Mode」から可能です。
メニューは主に、チューニング関連の設定が可能な「Ai Tweaker」、マザーボードの機能の設定が可能な「詳細」、システムの情報をリアルタイムで監視できる「モニタ」、システムの起動の設定が可能な「起動」、ASUS独自機能の設定が可能な「ツール」に分かれます。
CPUの動作チェック
CPUは12コア20スレッドのインテル第12世代の「Core i7-12700」を選択。CPUクーラーは240mmの簡易水冷、ASUS 「TUF GAMING LC 240 ARGB」を使用します。
Core i7-12700はオーバークロックに対応していませんが、電力制限を細かく設定し、性能を調整できます。UEFI BIOS上から確認すると、Current Long Duration Package Power Limit、Current Short Duration Package Power Limitが初めから4095Wに設定されていました。実質、電力無制限状態といえる設定です。今回はこの設定のままで、検証をしていきます。
CPUの動作チェックは定番ベンチマークの「Cinebench R23」を使用します。マルチスコアは20626、シングルスコアは1833でした。性能低下することなく、きっちりCore i7-12700の性能を引き出しています。
ビデオカードの動作チェック
ビデオカードは「TUF-RTX4060TI O8G GAMING」を選択。3連ファンのモデルで鉄製のバックプレートつきの、冷却力、静穏性に優れたモデルです。
GPU-Zで確認したところ、RTX4060 Tiの仕様通り、Pcie 4.0 ×8で接続されていました。
ビデオカードの動作チェックは定番ベンチマークの「3D Mark Fire Strike」を使用します。グラフィックススコアは33464でした。性能低下することなく、きっちりRTX 4060 Tiの性能を引き出しています。
メモリの動作チェック
今回はJEDEC準拠メモリ、CRUCIAL 「CT2K16G48C40U5」(DDR4-3200/16GB×1)を選択。CPU-Zで確認したところ、DDR4-3200で動作していることを確認しました。
周波数はDDR4-800MHz~DDR4-8400MHzまで設定可能。
Intel XMP 3.0対応のメモリを使用したところ、OC用のメモリプロファイルが選択可能でした。
ストレージの動作チェック
「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」には4つのM.2スロットがありますが、すべてPCI Express 4.0(x4)に対応しています。
今回はCPU直結のM.2_1スロットに、PCI Express 4.0(x4)のCRUCIAL 「P5 Plus」を装着し、性能を発揮できるのかをチェックします。
「Crystal Disk Info」で情報を取得。対応転送モードは「PCIe 4.0 x4」で認識されています。
「Crystal Disk Mark 8.0.4」を使用して、読み書き性能をチェック。シーケンシャルアクセスの読み込みは6,000MB/sを超え、書き込みも4,000MB/sを超えるパフォーマンスを発揮。ほぼ公称値通りのシーケンシャル性能を引き出せています。
「Crystal Disk Mark 8.0.4」実行中のコントローラー温度は最大60℃程度なので、サーマルスロットリングは発生していません。専用のヒートシンクがしっかり冷やしてくれます。
専用ヒートシンクの温度は高負荷時でも50℃程度で収まりました。
電源回路の温度をチェック
Cinebench R23(30分の連続計測)中の電源回路の温度をチェックします。Package Powerは170W程度で安定。動作クロックも4,200Mhzで推移。高負荷時はブースト状態を常に維持することができます。
CPU周りにエアフローが全くない、簡易水冷型CPUクーラーを使用しています。アイドル時のヒートシンク温度は30℃程度、高負荷時は45℃程度で推移。簡易水冷型CPUクーラーを使用したとしても、電源回路の冷却不足に陥ることはまずなさそうです。
Armoury Crate
「Armoury Crate」は、ASUSが提供する、ユーティリティーソフトです。OSを起動すると、自動的に「Armoury Crate」のインストールを促されます。
「Armoury Crate」のダッシュボード画面です。CPUの使用率や温度、ファンなど、基本的な情報を監視できます。また、ファン速度やAURA SYNCなど、主要な設定にアクセスできます。
ツールからは必要なドライバーなどを自動的に見つけてくれて、まとめてインストールできます。
「Fan Xpert 4」では、マザーボードに接続されたファンの回転数を個別にコントロールできます。機能的には「Q-Fan Control」と似通っています。
「AURA Sync」では、アドレサブルRGB LEDに対応したデバイスのイルミネーションをめとめて制御できます。
対応グラフィックスカードや水冷ユニット、メモリなどのイルミネーションもまとめて光らすことができます。
ちなみにEdge lightingという、基板上のイルミネーション機能が2か所設けられています。それらも同期して光らすことが可能です。
TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の良かったところ・悪かったところ
まとめ
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は、Z790チップセットマザーとしてはお買い求めやすい価格のマザーボードです。
価格を抑えているにも関わらず、17フェーズの強力な電源回路を持ち合わせています。Core i7-13700、Core i7-12700などの無印CPUも電力無制限状態で安定動作が可能なほどです。
Kつきだけでなく、無印CPUを考えている人にもおすすめできます。
それ以外にも、「M.2 Q-Latch」、「PCIe Slot Q-Release」など唯一無二の機能を持っていて、扱いやすさも魅力的です。
グラフィックボードやM.2 SSDを頻繁に取り換えたいユーザーにも自信をもっておすすめできます。