Legion Tower 5i Gen 8をレビュー!RTX 3060 Ti+Core i7-13700搭載のレノボのゲーミングPC

「Legion Tower 5i Gen 8」はレノボから発売中のミドルタワー型PCケースを採用したゲーミングPCです。
左側面パネルに強化ガラスを採用し、フロントパネルはあまり見られない独特なデザインをしており、見た目にも力を入れている製品です。
今回はCore i7-13700とRTX 3060 Tiを搭載したモデルをお借りすることができたので、詳しくレビューしたいと思います。
Legion Tower 5i Gen 8の仕様
今回お借りした「Legion Tower 5i Gen 8」の仕様は以下の通りです。
Legion Tower 5i Gen 8 | |
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CPU | Core i7-13700 |
チップセット | B660 |
GPU | Geforce RTX 3060 Ti(GDDR6 8GB) |
メモリ | DDR5-5600(8GB×2) |
ストレージ | 512GB(M.2 NVMe) |
光学ドライブ | なし |
電源 | 850W(80PLUS GOLD認証) |
OS | Windows 11 Home |
有線LAN | 2.5ギガビットLAN |
無線機能 | Wi-Fi 6E |
本体サイズ | 約205×397×426mm |
重量 | 約14kg |
CPUは16コア24スレッドのインテル第13世代のCore i7-13700、GPUはGeForce RTX 3060 Tiの組み合わせで、メインメモリは16GB、ストレージは512GB(M.2 NVMe)を搭載しています。
有線は2.5ギガビットLAN、無線はWi-Fi 6E対応と、ネットワーク周りは充実しています。

Legion Tower 5i Gen 8の外観

ケースはダーググレーをベースとした落ち着いたデザインです。

左側面パネルは強化ガラスを採用しています。

フロントパネルはメッシュ状になっており、通気性が確保されています。メッシュは六角形の凹凸を組み合わせたデザインになっています。

天面には端子類、メッシュ状に空いている通気孔があります。2基のUSB端子(USB 3.0)とヘッドフォン・マイク端子を備えます。

背面は、下部に電源があり、その上には端子類があります。

マザーボードの端子は以下のようになっています。
- USB 2.0×4
- USB 3.0×2
- USB Type C×1
- LAN端子×1
- オーディオポート x 3(ライン出力 x 1、ライン入力 x 1、マイクロホン x 1)
ビデオカードの外部出力は以下のようになっています。
- HDMI×1
- DisplayPort×3

底面には電源用の吸気口とメッシュシートがあります。

メッシュシートは取り外すことができます。

電源を入れるとLEDが点灯し、雰囲気が一変。一気にゲーミングPCらしく派手になります。
Legion Tower 5i Gen 8の内部構造

強化ガラスで出来た左側面パネルを外すと、内部にアクセスできます。右側にあるのは、配線隠しの仕切り板です。今回は内部構造を見やすくするため、あえて外します。

内部スペースに余裕があり、意外とスッキリした印象です。マザーボードはB660チップセットを搭載しています。

サイドフロー型のCPUクーラーです。120mmのLEDファンを搭載しています。

背面のケースファンです。CPUクーラーと同様に120mmのLEDファンが搭載されています。なおケースファンは背面の1基のみです。
前方、天面から自然吸気し、CPUクーラーの風を背面のファンが受け止めて、それを排出するという、シンプルなエアフローを実現しています。

ビデオカードはRTX 3060 Tiが搭載。デュアルファン仕様で、金属製の強固なバックパネルがついています。ビデオカードホルダーでガッチリ固定されています。

CPUクーラーのファン、ケース背面ファン、ビデオカードのロゴが光るので、ケース内が一気に華やかになります。

メモリーは16GB(8GB×2/DDR5-5600MHz動作)。メモリースロットが計4本あり、その内2本が埋まっています。

CPUソケット直下にCPU直結のM.2スロットがあります。Western Digitalの「WD SN810 NVMe SSD 512GB」を搭載。ヒートシンク付きなので、熱の心配をすることなく運用が可能です。

ビデオカード直下には、チップセット直結のM.2スロットがあります。

チップセット直結のM.2スロットの横に、WIFIカード用のM.2 スロットがあります。すでにWIFIカードが装着済みとなっています。

右側面パネルを外すと、裏配線スペースとドライブベイ、電源にアクセスできます。


ストレージは、3.5インチベイに2つ、2.5インチベイに1つ増設出来ます。

LITEON製の850Wの80PLUS GOLD電源を搭載。
Legion Tower 5i Gen 8のパフォーマンスをチェック
ここから実際に「Legion Tower 5i Gen 8」を動作させ、パフォーマンスを検証したいと思います。まずスペックを軽くおさらいします。


CPUはインテル第13世代のCore i7-13700を搭載。Pコア(8コア/16スレッド)、(Eコア 8コア/8スレッド)を搭載するCore i7-13700は、タスクマネージャーからは16コア24スレッドで認識されます。


マザーボードはインテル B660チップセットを搭載。おそらくレノボ特注のものだと思われます。メモリーは5,600MHz駆動をサポートするDDR5-5600 16GBです。


ビデオカードはGeforce RTX 3060 Tiを搭載。ベンチマーク中の実ブーストクロックは、最大で1,590MHzまで上昇します。

インテル第13世代のCPUは電力制限解除で性能が大きく変化します。今回、ユーティリティーソフト「lenovo vantage」のサーマルモード設定で「パフォーマンスモード」を選択。

その際のCore i7-13700のMTP(Maximum Turbo Power)は、PL1が181W、PL2が253Wで動作するように設定されていました。


2.5ギガビットLANとWIFI6Eをサポートしていることを確認。対応するルーターと組み合わせると、無線でも最大2,402Mbpsという高速通信が可能に。
ベンチマークテスト:Cinebench 2024/R23/R20/R15

CGレンダリングを行い、CPUの処理性能を計測するベンチマークの「CINEBENCH」です。「CINEBENCH 2042」と「CINEBENCH R23」、「CINEBENCH R20」、「CINEBENCH R15」それぞれのスコアは以下の通りです。
16コア24スレッドということで、メニーコアに最適化された「CINEBENCH 2042」、「CINEBENCH R23」を筆頭にマルチスコアで高スコアをマーク。もちろん、シングルスコアのテストでも良好な結果を残しています。
フルロード時のCPUクーラーの冷却が心配でしたが、性能はしっかり引き出せているようです。
ベンチマークテスト:3DMark:Time Spy

ゲーミングパフォーマンスを計測する「3DMark」のDirectX 12ベースの「Time Spy」です。テストはWQHD解像度の「Time Spy」と4K解像度の「Time Spy Extreme」です。
GeForce RTX 3060 Tiのビデオカードは、フルHD解像度をターゲットにしています。それもあってか、テスト解像度がWQHDの「Time Spy」のスコアは1万台、ベンチマーク実行中のフレームレートは50fps台にとどまっていました。
4K解像度の「Time Spy Extreme」も、スコアは5000代、ベンチマーク実行中のフレームレートは30fps台にとどまっていました。
ベンチマークテスト:3DMark Fire Strike

「3DMark」のDirect X11をベースにした「Fire Strike」です。テストプリセットには「Fire Strike」、「Fire Strike Extreme」、「Fire Strike Ultra」の3種類すべてを選択しました。
テスト解像度がフルHDの「Fire Strike」では、30,000ポイントに迫っています。フレームレートはGraphics Test1では135.51fps、Graphics Test2では116.94fpsを記録。60fpsを大きく超えています。
テスト解像度がWQHDの「Fire Strike Extreme」、4K解像度の「Fire Strike Ultra」では、「Time Spy」と似たような傾向でスコアがダウンし、ベンチマーク中のフレームレートは60fps以下になります。
ベンチマークテスト:3DMark Speed Way

「3D Mark」のDirectX 12 Ultimate対応の「Speed Way」です。レイトレーシングや可変レートシェーディング、メッシュシェーダーといった最新機能を使用するので、非常に負荷が重いです。
「Speed Way」の総合スコアはそのままフレームレートを表しています。つまり、ベンチマーク中のフレームレートは29.14fpsを記録したということになります。最新APIを利用した超重量級ゲームでは快適なプレーは難しそうです。
ベンチマークテスト:ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ

「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークテスト、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」を利用します。
グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。
フルHD解像度のベンチマーク中の平均フレームレートは174fps、WQHD解像度では130fpsと、非常に優秀な結果を残しました。さらに、4K解像度も平均フレームレートは60を上回りました。
ベンチマークテスト:フォートナイト

フォートナイトにはベンチマークモードがないので、今回はNVIDIAが用意した、「TILTED TOWERS BENCHMARK」を利用します。
DirectX 11、3D解像度は100%、グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。なお、DLSSやDSRといったアップスケーリング機能はオフにしています。
フルHD解像度のベンチマーク中の平均フレームレートは177fps、WQHD解像度では123fpsと、非常に優秀な結果を残しました。さらに、4K解像度も平均フレームレートは60fpsを上回りました。
ベンチマークテスト:アーマードコア6

アーマードコア6にはベンチマークモードがないので、今回はミッションの「武装採掘艦護衛」を利用します。
「武装採掘艦護衛」では常に砂嵐が発生し、負荷は重いです。また、このミッションは敵の数が少なく、同じような状況を再現しやすいです。
グラフィック設定は「最高」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、ミッション開始してから60秒間の平均フレームレートを計測します。
フルHD解像度のベンチマーク中の平均フレームレートは99fps、WQHD解像度では75fpsと、非常に優秀な結果を残しました。ただ、4K解像度の平均フレームレートは43fpsでした。4K解像度のプレーは厳しそうです。
ベンチマークテスト:サイバーパンク2077

ゲーム内のベンチマークテストを利用します。グラフィック設定は「ウルトラ」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。なお、DLSSやDSRといったアップスケーリング機能はオフにしています。
フルHD解像度のベンチマーク中の平均フレームレートは90fpsと、非常に優秀な結果を残しました。ただ、WQHD解像度では56fps、4K解像度では27fpsでした。WQHD解像度、4K解像度のプレーは厳しそうです。
ベンチマークテスト:Forza Horizon 5

ゲーム内のベンチマークテストを利用します。グラフィック設定は「エクストリーム」に設定し、解像度は「フルHD」、「WQHD」、「4K」の3種類の解像度をそれぞれ選択し、平均フレームレートを計測します。なお、DLSSやDSRといったアップスケーリング機能はオフにしています。
フルHD解像度のベンチマーク中の平均フレームレートは105fps、WQHD解像度では85fpsと、非常に優秀な結果を残しました。ただ、4K解像度の平均フレームレートは56fpsでした。4K解像度のプレーは厳しそうです。

ゲームによっては、WQHD解像度もプレーできますが、ヘビー級のゲームタイトルに限って言えば、フルHD解像度までが限界です。裏を返せば、フルHD解像度であれば、ほとんどのゲームは快適に遊べる性能を持っています。
ベンチマークテスト:twitch studioを使った配信時のパフォーマンス


実際に「フォートナイト」をプレイしながら「twitch Studio」を使用した配信を行い、その際の平均フレームレートを計測します。
なお出力解像度はフルHD、ビットレート6,000kbps、配信エンコーダにはGPUを活用する「NVENC H.264」を選択。ゲーム側はフルHD解像度、最高設定とします。
画質重視のプレイでも、配信時のフレームレートの落ちはわずか20fps前後でした。これくらいのパフォーマンスの低下であれば、ゲームと配信を同時にこなすことは十分可能です。
RTX 3060 Tiに搭載されているハードウェアエンコードの「NVENC 」は優秀です。
ストレージの性能




Western Digitalの「WD SN810 NVMe SSD 512GB」を搭載。PCI-Express4.0×4インターフェースを採用するモデルです。
ベンチマークの「CrystalDiskMark」の結果を見る限り、公表値通りのシーケンシャル速度は出ていると思います。


ベンチマーク中の温度をチェックしたところ、温度は42℃まで上がりました。装着されているヒートシンクによって、しっかり冷却できていることが確認できました。
高負荷時のCPU&GPUクーラーの挙動


上のグラフは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」を実行中のCPU温度とCPUクロックの推移です。
テスト当初は最大4.5Ghz程度までクロックが上昇しますが、動作温度が80℃内に収まるようにクロックが調整されます。最大限のパフォーマンスを出しているとはいいがたいですが、空冷のCPUクーラーでもそれなりのパフォーマンスを引き出していると言えます。


上のグラフは「3DMark Speed Way Stress Test」を実行中のGPU温度とファン回転数の推移です。冷却ファンは2000回転前半で推移し、GPU温度は70℃前半をキープしています。



前面や天面にファンがなかったので、正直冷却には不安がありましたが、これらのグラフを見る限り、CPUやGPUはしっかり冷却できています。
消費電力


Legion Tower 5i Gen 8のアイドル時と高負荷時(FF15ベンチマーク実行中)の消費電力を調べます。調べ方はワットチェッカーを使用し、数字が落ち着いたらそれを参考値とします。
アイドル時は70W近くまで上昇し、高負荷時は最大350W前後まで上昇しました。850Wの大容量電源を搭載しているので、マージンは十分に確保されています。
騒音


Legion Tower 5i Gen 8のアイドル時と高負荷時(FF15ベンチマーク実行中)の騒音を調べます。調べ方は簡易的な騒音計をPC本来から10cmほど離れたところに設置し、数字が落ち着いたらそれを参考値とします。
アイドル時は39dBAということで、不快な風切り音はほぼ皆無でした。ところが、負荷をかけたところ、CPUクーラーのファンと背面のケースファンがフル回転し、53dBAまで上がり、風切り音がかなり大きくなります。
ケースが穴だらけということもあって、静音性は皆無なので、騒音は盛大に漏れています。正直、かなりの大音量だと感じました。
Legion Tower 5i Gen 8のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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LEDオフだと落ち着いた印象だが、LEDオンだと一気に派手に ケースの大きさはミドルタワー型だが、奥行が抑えられているので机の上に設置しやすい 2.5ギガビットLANとWIFI6Eに対応 快適なフルHDゲーミング ゲームにもよるがWQHDゲーミングも可能 エアフローは優秀 CPU性能が優秀 | 高負荷時の騒音は耳障りに感じる カスタマイズしない標準構成のままだとコスパが悪い CPUクーラーの冷却不足により、電力無制限状態のCore i7-13700の性能をフルに活かせない |
まとめ
Legion Tower 5i Gen 8は、ダーググレー筐体で目立ちにくい反面、LEDをオンにすると一気にゲーミングPCらしさが発揮される、二面性のデザインがなんといっても魅力です。
ゲーミングPCにありがちな、ただ派手なだけなデザインではないので、万人におすすめできます。
また標準構成ではケースファンが少ないですが、それにも関わらず、各パーツの温度は冷えており、冷却性が高い設計を採用しているのも魅力です。
欠点を挙げるとすれば、騒音の大きさです。
解決策としては、LenovoのユーティリティーソフトのLenovo Vantageのサーマルモード設定で、静音モードを選択するのも一つの手です。ゲームパフォーマンスはさほど落とすことなく、静音性を高められます。
Legion Tower 5i Gen 8は弱点が少なく、完成度が高いゲーミングPCだと感じました。