レノボ「IdeaPad Gaming 370」をレビュー!RTX 3050 Tiを搭載したエントリー向けゲーミングノートPC
ゲーミングPCは近年スペックが急激にあがっていますが、それと同時に価格も上がっています。その傾向はデスクトップ型だけでなく、ノート型のゲーミングPCでも見られます。
そこで今回紹介するのは、10万円代から購入できるレノボの「IdeaPad Gaming 370」です。
「IdeaPad Gaming 370」はエントリー向けGPUの「NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti」を搭載しているエントリー向けゲーミングノートPCです。
今回は「IdeaPad Gaming 370」のスペック、外観、ベンチマークテスト結果、ゲームプレイの感想、温度と騒音等を詳しくレビューしていきます。
購入を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
今回の記事はレノボより商品の提供をうけて作成しています。
IdeaPad Gaming 370(82SC005VJP)のスペック
CPU | AMD Ryzen 7 6800H |
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GPU | NVIDIA GeForce RTX 3050Ti Laptop GPU |
メモリ | 16GB (8GBx2) 【DDR5-4800】 |
ストレージ | 500GB(M.2 NVMe SSD) |
ディスプレイ | 16型WUXGA(1,920×1,200ドット)非光沢、165Hz |
OS | Windows 11 Home |
ネットワーク | 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T、Wi-Fi 6対応 (IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n準拠)、Bluetooth v5.2 |
本体サイズ | 幅(W):約359.6mm x 厚さ(H):約20.9~25.9mm x 奥行(D):約277.8mm |
重量 | 約 2.6kg |
実売価格 | 11万円台~ |
IdeaPad Gaming 370の特徴
「 IdeaPad Gaming 370」は、レノボのエントリー向けのゲーミングノートPCです。16型サイズの大型サイズのボディに、AMDのRyzen 7 6800HとNVIDIAのGeForce RTX 3050Ti Laptopを搭載。
液晶は画面比16:10のWUXGA IPS液晶(1,920×1,200ドット)を採用し、ゲームだけでなく、ビジネスシーンやクリエイティブな用途など、様々な用途で使えるスペックを備えています。
16型のノートPCということでサイズ感は大きく、携帯性には優れていません。サイズは幅約359.6mm、奥行約277.8mm、厚さ約20.9~25.9mmです。
ディスプレイは144Hz対応の16型 WUXGA IPS液晶(1,920×1,200ドット)を採用。滑らかな動作でのゲームプレーが可能です。
ディスプレイの上部にはFHD 1080pのwebカメラが内蔵されています。プライバシーシャッターが付いています。
メインメモリはDDR5-4800の16GB (8GBx2) のデュアルチャネル構成です。16GBあれば、大抵のゲームであれば事足ります。
ストレージは500GB(M.2 NVMe SSD)です。近年の大型タイトルはゲーム1本で100GBを超えるので、正直物足りないです。遊ばなくなったゲームは消去する、外部ストレージを使うなど、うまく工夫する必要があります。
無線ネットワークはWi-Fi 6対応に対応。高速なので無線でありながらオンラインゲームも快適にプレーできます。また、有線ネットワークもGigabit Ethernetコネクタが搭載されています。
背面のインターフェイスには、USB3.2 Gen1×2、マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック×1、
HDMI×1、USB3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort出力機能付き、Powerdelivery対応)×1を備えています。
天板にはレノボのロゴが装飾されています。
ACアダプタは比較的大型で、ケーブルを含めるとかさばるサイズ感といえます。
スケールで重量を測ったところ、実測で535gでした。
IdeaPad Gaming 370の外観をチェック
「IdeaPad Gaming 370」のボディカラーは落ち着いた印象を与えるグレーを採用しています。
本体底面です。背面寄りに通気口を設けています。通気口からファンや銅製のヒートシンクがうっすら確認できます。
通気口は側面や背面などにも設けられています。
フロントの側面にはインターフェースや通気口などのギミックは一切ありません。
リアの側面には両サイドに通気口があり、中央にインターフェースがまとめられています。
リアのインターフェースはHDMI、イーサネット・コネクター(RJ-45)、USB3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort出力機能付き、Powerdelivery対応)、電源コネクタがあります。
左側面のインターフェースは、USB3.2 Gen1、マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャックがあります。
右側面のインターフェースは、USB3.2 Gen1があります。
スケールで重量を測ったところ、実測で2,533gでした。
IdeaPad Gaming 370のディスプレイをチェック
ディスプレイは画面比16:10の16.0型 WUXGA IPS液晶(1,920×1,200ドット)を採用しています。一般的なフルHD(1920×1080ドット)と比べると表示領域が若干縦方向に広いです。より多くの情報を表示することができるので、ゲーム以外の作業でも役立ちます。
IPS液晶採用ということで、視野角は広いです。
非光沢液晶なので映り込みは軽減されています。
リフレッシュレートは165Hzに対応しているので、滑らかな動作でゲームを楽しめます。
「Datacolor SpyderX2 ELITE」を使ってディスプレイをチェックします。sRGB100%と色域は非常に優秀です。クリエイティブ作業で重視するAdobeRGBも80%を超えています。
色調応答の曲線を確認するとほぼガンマ値2.2をなぞっています。明かさ100%に設定すると、329.2nitまでの輝度まで上がります。十分すぎるほどの明るさを確保できます。
モニターの総合評価は5段階中4.5と非常に優秀な評価を獲得しています。
IdeaPad Gaming 370のキーボードをチェック
キーボードには、日本語配列の84キーボードを採用。テンキーが付いている関係もあって、「¥」キーなど一部のキーは若干小さくなっています。
白色バックライトを搭載しているのでキーが光ります。
キーピッチは実測で約1.9cmです。
キーストロークは実測で約1.3mmです。
タッチパッドは標準的なサイズ感です。
IdeaPad Gaming 370の内部構造をチェック
背面カバーを取り外して内部構造をチェックします。基盤の上半分には冷却システムが、下半分にはバッテリーが配置されています。
2本のヒートパイプが、左右2基のファンを連結している構造をしています。
金属製のカバーを外すと、メモリスロットにアクセスできます。メモリはSk Hynix製のDDR5-4800メモリが2基装着済みです。
無線LANに対応するので、WIFIモジュールが装着済みです。
M.2スロットには、1基の500GBのM.2 NVMe SSDが装着されています。サーマルパッドが貼り付けられています。
Type2242のM.2スロットが1基空いているので増設が可能です。
バッテリーは4493mAhの容量があります。バッテリーはJEITA2.0方式で約14時間持ちます。
IdeaPad Gaming 370のパフォーマンスをチェック
スペックをチェック
ここからはベンチマークを使用して、「IdeaPad Gaming 370」のパフォーマンスをチェックします。その前にスペックを簡単におさらいします。
CPUはAMD Ryzen 7 6800Hを搭載。8コア16スレッドで動作します。メインボードにはレノボのLNVNB161216が使用されています。
メインメモリは4,800MHzで動作するDDR5メモリを搭載。容量は8GB×2の16GBです。AMD Ryzen 7 6800Hにはグラフィックス性能が高い内蔵GPUのRadeon Graphicsが搭載されています。
GPUはNVIDIA GeForce RTX 3050Ti Laptop GPUを搭載。負荷をかけるとGPUクロックは1,545MHzまで上昇しました。
ストレージにはPCI Express 3.0対応NVMe SSDの、INTEL SSDPEKNW512GZLが搭載されています。リードは3000MB/s近くですが、ライトは600MB/s近くと速度はあまり伸びませんでした。
ベンチマークテスト:CINEBENCH
3Dレンダリング系ベンチマーク「CINEBENCH」です。バージョンは「CINEBENCH R23」、「CINEBENCH 2024」の2種類を実行します。
モバイル向けのCPUですが、優秀なスコアを記録しています。デスクトップ向けのCPUで例えると、Ryzen 7 5700X相当の性能を持っています。
ベンチマークテスト:PCMark 10 Extended
システム全体のパフォーマンスを計測する、総合ベンチマークの「PC Mark 10」です。今回はゲーミングパフォーマンスもチェックされる、「PCMark 10 Extended」を実行しています。
総合スコアは7309ポイントをマーク。
PCの基本性能を測る「Essentials(推奨スコアは4100以上)」のスコアは9376。オフィスアプリ系の処理性能を測る「Productivity(推奨スコアは4,500以上)」は8760。写真・動画編集に関する性能を計測する「Digital Content Creation(推奨スコアは3,450以上)」は8553です。
それぞれ推奨スコアの倍くらいのスコアをマークしています。
ベンチマークテスト:3D Mark
ゲームパフォーマンスを計測する「3D Mark」です。使用するテストはDirect X11ベースの「Fire Strike」と、DirectX 12ベースの「Time Spy」を使用します。
Direct X11ベースでテスト解像度が1,920×1,080ドットの「Fire Strike」のスコアは13459で、テスト中の平均フレームレートは60~70fps付近になっていました。
DirectX 12ベースでテスト解像度が2,560×1,440ドットの「Time Spy」のスコアは6190で、テスト中の平均フレームレートは30fps付近でした。
流石に高解像でのプレーは厳しそうですが、フルHD解像度ではそこそこ快適にプレーできそうです。
ゲーミングテスト:ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高品質”、”高品質(ノートPC)”、”標準品質(ノートPC)”それぞれに設定し、ベンチマークを実行しています。
テスト中の平均フレームレートは、どの設定でも平均fpsが60を超えており、快適なゲームプレーが楽しめます。
ゲーミングテスト:BLUE PROTOCOL
「BLUE PROTOCOL」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は”最高画質”、”中画質”、”低画質”それぞれに設定し、ベンチマークを実行しています。
テスト中の平均フレームレートは、どの設定でも平均fpsが60を超えており、快適なゲームプレーが楽しめます。
ゲーミングテスト:STREET FIGHTER 6
「STREET FIGHTER 6」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質”最高品質”に設定し、ベンチマークを実行しています。
テスト中の平均フレームレートは、WORLD TOURでは40台と伸び悩みましたが、それ以外のモードでは60近辺なので、快適なゲームプレーが楽しめます。
ゲーミングテスト:VARORANT
「VARORANT」のベンチマークです。
ベンチマークモードがないので、「屋外射撃場」の一定ルートを移動した際の平均fpsを計測します。
解像度は1,920×1,080ドットに固定し、グラフィックス品質は可能な限り”最高”に設定し、ベンチマークを実行しています。
テスト中の平均フレームレートは、平均fpsが200を超えており、快適なゲームプレーが楽しめます。
ゲーミングテスト:Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドット、スケーリングは100%に固定し、グラフィックス品質は”最高画質”、”中画質”、”低画質”それぞれに設定し、ベンチマークを実行しています。
テスト中の平均フレームレートは、どの設定でも平均fpsが100を超えており、快適なゲームプレーが楽しめます。
ゲーミングテスト:Cyberpunk 2077
「Cyberpunk 2077」のベンチマークです。
解像度は1,920×1,080ドット、アップスケーリングはDLSS Balancedに固定し、グラフィックス品質は”ウルトラ画質”、”中画質”、”低画質”それぞれに設定し、ベンチマークを実行しています。
テスト中の平均フレームレートは、ウルトラ画質では平均60fpsを下回りましたが、それ以外の画質では平均60fps以上に達しているので、快適なゲームプレーが楽しめます。
IdeaPad Gaming 370のCPUとGPUの温度をチェック
「IdeaPad Gaming 370」のCPUとGPUの温度、キーボードの表面温度をチェックします。
CPUのストレステストには、「Cinebench R23」を使用します。Minimum Test Durationを10分に設定し、「Cinebench R23」を10分間テストを繰り返すハードなテストとなっています。
GPUのストレステストには、「3DMark Time Spy Stress Test」を使用します。こちらも「3DMark Time Spy」を20回繰り返すハードなテストとなっています。
なお、計測には「HWiNFO64」を使用します。
テスト実行開始後、CPU温度は急激に上がり、100℃に貼りついています。
GPU温度は70℃に達していますが、70℃を超えることなく、60℃台で安定しています。
「3DMark Time Spy」実行中のキーボードの表面温度です。中央部分が一番発熱が高く40℃近くまで上昇しています。ただ、WASDキーやテンキーがある、左右両端は20℃台で収まっています。
IdeaPad Gaming 370の騒音と消費電力をチェック
「IdeaPad Gaming 370」の騒音とシステム全体の消費電力をチェックします。テストには、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」のベンチマークを使用します。
テスト実行中の騒音は実測で50dBA近くまで上がり、耳障りの騒音が発生します。
システム全体の消費電力はアイドル時は30W前後、テスト実行中は140W前後まで上昇しました。付属のACアダプタの最大出力は170Wなのでまだ余裕はあります。
IdeaPad Gaming 370のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
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sRGB率100%なので色域が広い フルHDで快適なゲームプレーが可能 最大165Hzに対応 コスパは優秀 無線LANに対応 ギガビット有線LANに対応 M.2 SSDの増設が可能 | テンキーがあるのでその分キー配置がやや特殊 ストレージの容量は少ない 本体とバッテリー込みで3kgくらいになるので持ち運びには向かない 高負荷時の騒音はうるさい |
まとめ
「IdeaPad Gaming 370」は価格と性能のバランスに優れたエントリー向けゲーミングノートPCです。10万円台で買いやすい割にディスプレイの質も良く、コスパは良好です。
RTX 3050 Tiも予想以上にパワフルで、DLSSが使えるゲームであれば重量級のゲームも十分プレーできるポテンシャルがあります。