HP Victus 15L(AMD)をレビュー!小型でコスパ良好なゲーミングPC

Victus 15LはHPのデスクトップ型ゲーミングPCの中でも、エントリー帯として位置づけられているモデルです。
末尾に15Lとある通り、容量15Lのコンパクトな筐体なので設置場所を選ばず、また外観もスタイリッシュなため、どんな部屋に置いても違和感はありません。
今回はRyzen 7 5700GとRTX 4060 Tiを搭載した、Victus 15L(AMD)の実機をお借りできたのでレビューしていきます。
【貸出機材提供:株式会社日本HP】
Victus 15L(AMD)のスペック
モデル | Victus by HP 15L Gaming Desktop TG02-0002jpアドバンスプラスモデル |
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CPU | Ryzen 7 5700G |
CPUクーラー | 空冷クーラー |
マザーボード | AMD B550A チップセット |
グラフィックスカード | NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti |
メモリ | 16GB (8GB×2) DDR4-3200MHz (最大32GB) |
ストレージ | 512GB M.2 SSD (PCIe Gen 3×4 NVMe) |
ネットワーク | IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6)、 Bluetooth 5.3、有線LAN(1Gb) |
電源ユニット | 内蔵500W ATX電源、80PLUS GOLD |
OS | Windows 11 Home |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約 155 × 297.3 × 337 mm |
標準保証 | 1年 |
セール時参考価格 | 149,800円(税込) |
Victus 15L(AMD)の本体デザイン
外観

PCケース全体の外観です。本体カラーは「マイカシルバー」とのことですが、光の当て方や角度によっては黒にも見えたりします。

フロントパネルです。中央に配置されたVの装飾がいいアクセントになっています。幅が155mmなので置き場所に困りません。

バックパネルです。

左側面です。空気を取り入れる穴が空いています。奥行297.3mmなので、奥行に余裕のないデスクの上に置くことも容易です。

右側面です。右側面は完全に密閉されています。

トップパネルも何もなく、完全に密閉されています。

底面です。こちらもゴム脚しかなく、完全に密閉されています。

23.8型のディスプレイの横に設置しました。非常にコンパクトなので、スペースに余裕のないデスクの上に置くことも容易です。
インターフェース

前面のインターフェースは、電源ボタン、ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート×1、USB Type-A(5Gbps) ×2、USB Type-A(10Gbps)×2、USB Type-C(5Gbps) ×1です。

背面のインターフェースは、ライン出力×1、ライン入力×1、マイク入力×1、USB 2.0 Type-A ×4、有線LANポート(1Gb)、HDMI2.1 ×1、DisplayPort1.4a ×3です。
RGBライティング

フロントのVの装飾は、RGBライティングに対応しており、様々な色に変更可能です。インフィニティーミラーとなっています。
付属品

付属品は以下の通りです。
- サポートガイド
- HP Service & Support
- セットアップ手順
- 保証書
- 電源ケーブル

電源は3ピンタイプとなっているので、日本のコンセントに差すことができません。3ピン→2ピンに変換するアダプターが別途必要になります。

Victus 15L(AMD)の内部へのアクセス

内部へのアクセスをするためにまず最初に左側面のサイドパネルを外す必要があります。ネジを緩めるためにはトルクスドライバーが必要になります。もしなくてもマイナスドライバーで代用できます。

フロントパネルは本体とケーブルで繋がっているので、断線しないように慎重に取り外します。

ネジを緩めて、メッシュパネルを外します。

フロントのネジを緩めて、3.5インチマウントベイを外します。

これで内部にアクセスできます。
Victus 15L(AMD)の内部

マザーボードはAMD B550A チップセットのHP特注のものが搭載されています。一般的なマザーボードの形状とは異なり、横長になっています。

CPUクーラーは、トップフロー型の92mm空冷クーラーが搭載されています。

背面のケースファンも92mmのものが搭載されています。

メモリはDDR4-3200に対応する8GBモジュールのものがデュアル構成で組み込まれています。メモリスロットは2基のみなので、増設には対応していません。

ストレージは512GBのM.2 SSDが搭載されています。M.2スロットは1基のみなので増設には対応していません。

IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6)、 Bluetooth 5.3に対応したWi-Fiカードが搭載されています。

80PLUS GOLDに対応したHP特注の500W電源が搭載されています。

ビデオカードはNVIDIA Geforce RTX 4060 Tiが搭載されています。
Victus 15L(AMD)の拡張性
3.5インチマウントベイ


3.5インチマウントベイには、HDD若しくはSATA SSDを装着できます。

SATAポートは2基あります。
PCIe x1スロット

PCIe x1スロットが使えるので、キャプチャボードやサウンドカードなどを増設可能です。

個人的には、PCIe → M.2変換カードもおすすめです。M.2 SSDスロットは1基のみですが、この変換カードを使うことで、M.2 SSDを増設できるようになります。
Victus 15L(AMD)の基本スペックを確認

CPUには、Ryzen 7 5700Gを搭載。ZEN3アーキテクチャーの8コア16スレッド対応のCPUです。

ビデオカードは、NVIDIAのGeforce RTX 4060 Tiを搭載。

3,200MHz動作のDDR4メモリを16GB搭載。

ストレージは、SAMUSUNG「MZVL251HCJQ-00BH1」の512GBを搭載。転送速度はPCIe 3.0×2となっているようです。
Victus 15L(AMD)のクリエイティブ性能を検証
CINEBENCH R23

CPUのレンダリング性能を計測するCINEBCNH R23です。
Victus 15Lに搭載されているRyzen 7 5700GのマルチスコアはほぼRyzen 5 7500Fに匹敵します。

シングル性能はCore i5-12400以下と、マルチ性能に比べると若干見劣りします。
PC Mark 10 Extended

PCの基本性能を測る「Essentials(推奨スコアは4100以上)」のスコアは9,086をマーク。
オフィスアプリ系の処理性能を測る「Productivity(推奨スコアは4,500以上)」は9,002をマーク。
写真・動画編集に関する性能を計測する「Digital Content Creation(推奨スコアは3,450以上)」は11,522をマーク。
ゲームに関する性能を計測する「Gaming」は23,054をマーク。
総合スコアは9,469ポイントをマーク。
それぞれ推奨スコアの倍くらいのスコアをマークしており、一般的なクリティブな作業であれば、快適にこなせる性能があります。
Victus 15L(AMD)のゲーム性能を検証
3DMark

ゲームをプレーするうえで重要な3D性能を計測する3D Markです。
ラスタライズ系のテストで、Fire Strike、Fire Strike Ultra、Steel Nomad、Steel Nomad Lightを選択しました。
フルHD向けのFire Strikeでは26,917、WQHD向けのSteel Nomad Lightでは13,336と、それぞれ2万、1万超えと良好なスコアを残しています。
一方、4K向けのFire Strike Ultra、Steel Nomadではスコアはイマイチ伸びなかったです。

次にレイトレーシング系のテストで、Speed Way、Port Royalを選択しました。
スコアと同時にフレームレートの結果も表示されますが、Speed Wayでは31.83fps、36.63fpsと快適にプレーできるフレームレートには到達できませんでした。
レイトレーシングのゲームを快適にプレーできる3D性能はありません。
Apex Legends

・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
※演習場でテルミットグレネード、バンガロールのスモーク、ウルトなど、負荷重めの状況で計測

フルHDでは平均200fps超え、WQHDでは平均180fps超え、4Kでは平均100fpsを超えています。
マルチプレーではもう少し負荷は重くなりますが、それを考慮しても、WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
Assassin’s Creed Mirage

・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測

フルHD、WQHDでは平均70fps超え、4Kでは平均60fps以下でした。
WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
Call of Duty: Modern Warfare III

・画質:極限
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

フルHDでは平均100fps超え、WQHDでは平均110fps超え、4Kでは平均60fpsを超えています。ただ、1% Lowを見る限り、4Kでは快適なプレーは難しそうです。
WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
Cyberpunk 2077

・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

フルHDでは平均160fps超え、WQHDでは平均100fps超え、4Kでは平均60fps以下でした。
WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー

・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSS
・フレーレートしきい値:常に適用
※ベンチマークソフトで計測

フルHDでは平均120fps超え、WQHDでは平均100fps超え、4Kでは平均80fpsを超えています。
フルHD、WQHD、4Kとすべての解像度で十分快適にプレーできます。
Fortnite

・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
※有志の方が作ったベンチマークモードで計測

フルHDでは平均110fps超え、WQHDでは平均90fps超え、4Kでは平均60fps以下でした。
WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
Forza Horizon 5

・画質:エクストリーム
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

フルHD、WQHDでは平均70fps超え、4Kでは平均60fps以下でした。
WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
Ghost of Tsushima

・画質:非常に高い
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※貴市の集落から豆酘平原に至る道を馬で駆け抜けてるときのフレームレートを計測

フルHDでは平均100fps超え、WQHDでは平均110fps超え、4Kでは平均60fpsを超えています。ただ、1% Lowを見る限り、4Kでは快適なプレーは難しそうです。
WQHDくらいまでであれば、十分快適にプレーできます。
Monster Hunter Wilds

・画質:ウルトラ/中
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

フルHD、WQHD、4Kとすべての解像度の平均フレームレートは、平均60fps以下でした。
ウルトラ設定だと、RTX 4060 TiのVRAM容量の8GBでは足りていないので、フレームレートが全く伸びません。

中設定だと、VRAMの消費が抑えられるため、フレームレートが上昇します。
モンハンワイルズをプレーする際は設定を落とす必要があります。
Overwatch 2

・画質:エピック
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
※BOT戦を観戦して計測

フルHDでは平均170fps超え、WQHDでは平均160fps超え、4Kでは平均90fpsを超えています。
フルHD、WQHD、4Kとすべての解像度で十分快適にプレーできます。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege

・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
・スケーリング:100%
※ベンチマークモードで計測

フルHDでは平均250fps超え、WQHDでは平均170fps超え、4Kでは平均80fpsを超えています。
フルHD、WQHD、4Kとすべての解像度で十分快適にプレーできます。
VALORANT

・画質:最高
・解像度:フルHD、WQHD、4K
※演習場で計測

フルHD、WQHDでは平均300fps超え、4Kでは平均250fpsを超えています。
フルHD、WQHD、4Kとすべての解像度で十分快適にプレーできます。
Victus 15L(AMD)のストレージ性能を検証

ストレージの性能を計測するベンチマークのCyrstal Disk Markを実行したところ、読み込み、書き込み速度は約1,800MB/sでした。
転送速度がPCIe 3.0×2と制限されているため、あまり速度は速くありません。ただ、この速度でもSATA SSDと比べて3倍ほど高速です。

Cyrstal Disk Mark実行中でも、温度は60℃以内に収まっています。M.2 SSDのヒートシンクなしでも問題ありません。
Victus 15Lの温度を検証

Steel Nomad Stress test実行中のCPUとGPUの温度です。
一瞬のスパイクはあるとはいえ、おおむねCPUは60℃前後、GPUは50度前後で落ち着いています。

サーモグラフィーカメラで確認したところ、マザーボード周辺も50℃代前半に収まっています。

ビデオカードの温度も50℃代前半に収まっています。

負荷をかけても各パーツの異常な発熱は確認できません。高負荷をかけても問題なく運用可能です。
Victus 15L(AMD)の消費電力を検証


グラボ単体ではなく、システム全体の消費電力を見ていきます。アイドルは最小消費電力を、各ゲームは最大消費電力を取得しています。
ワットチェッカーはラトックシステムの「RS-BTWATCH2」を使用します。
Victus 15Lのシステム全体の消費電力は非常に大人しく、負荷の高いCyberpunk2077実行時でも250W以内に収まっています。電源の容量が500Wですが必要十分な容量です。
Victus 15L(AMD)の騒音を検証


騒音は高負荷な状態でも最大33dBAくらいと非常に大人しいです。よく耳をすますとサーという風切り音が聞こえますが、特に不快だとは感じなったです。
ヘッドフォンなどを装着すれば、騒音は全く気になりません。
OMEN GAMING HUBについて


統合ソフトウェアのOMEN GAMING HUBがプリインストールされています。主な機能は以下の6つです。
システムモニタ | CPUとGPUのの使用率、温度、メモリの使用率やネットワークの状況をリアルタイムで確認できます。 |
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マイゲーム | Steam、Epic Games等異なったプラットフォームのゲームを一元管理できます。 |
Light Studio | RGBライティングやエフェクトを設定できます。 |
パフォーマンスコントロール | ファン速度やCPUパフォーマンスをコントロールできます。 |
ネットワークブースター | ゲームに関連するトラフィックを最優先にし、ゲームに無関係なブラウザを無効化といった、ネットワークの割り当てが可能になります。 |
オプティマイザー | CPUとメモリの最適化、バックグラウンドタスクの一時中断を行う「ブースター」と、不要なジャンクファイル等を削除する「クリーナー」で、Windowsやゲームのパフォーマンスを向上します。 |


フロントパネルのRGBライティングの色は、Light Studioから設定可能です。
Victus 15L(AMD)の良かったところ・悪かったところ
良かったところ | 悪かったところ |
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容量15LのコンパクトなPCケース 快適なフルHD・WQHDゲームが可能 騒音は静か システム全体の消費電力がおとなしい Wi-Fi 6、 Bluetooth 5.3に対応 コストパフォーマンスは優秀 必要十分な冷却性能 | 拡張性に乏しい VRAM消費量8GBを超えるゲームは厳しい(設定を下げれば問題なし) 4Kゲームは厳しい カスタマイズに非対応 |
まとめ
Victus 15L(AMD)はRTX 4060 Ti、Ryzen 7 5700Gというミドルクラスのスペックのビデオカード、CPUを搭載しているにも関わらず、容量わずか15LのコンパクトなPCケースに収まっているのが最大の特徴と言えます。
「低予算」、「コンパクトサイズ」、「快適なフルHD・WQHDゲーム」という条件でゲーミングPCを探しているのなら、Victus 15L(AMD)は自信をもっておすすめできます。
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