IdeaCentre 5i Gen 8をレビュー!グラボを増設可能なCore i5-13400搭載格安コンパクトPC
「IdeaCentre 5i Gen 8」はコスパに優れたオフィス向けのコンパクトPCです。Core i5-13400を搭載しており、そのまま使えるだけでなく、グラボも後付け可能なので汎用性にも優れています。
今回は運よく機材をお借りすることができたので、詳しくレビューしていきます。
機材貸出:レノボ・ジャパン合同会社
IdeaCentre 5i Gen 8の仕様
スペック | |
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型番 | 90VK002VJP |
CPU | Core i5-13400 |
GPU | UHD 730 |
メモリ | 8GB (8GB x1) |
ストレージ | 512GB M.2 NVMe SSD |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ドライブベイ | 3.5インチ×1 |
OS | Windows 11 Home |
M.2スロット | 2基(空きスロット0基) |
マザーボード | B760 |
ネットワーク | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、有線LAN |
電源 | 310W 80PLUS PLATINUM |
サイズ | 幅145mm×奥行き287.98mm×高さ340mm |
重量 | 約5.4kg |
価格 | 66,880円+送料0円 |
今回レビューしたのは「90VK002VJP」です。このモデルを含めて、2024年6月現在、下記の3種類のモデルが販売されています。
型番 | 価格 | スペック |
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90VK002VJP | 66,880円 | Core i5-13400 / 8GB(8GB x1) / 512GB |
90VK002WJP | 89,870円 | Core i5-13400 / 16GB(8GB x2) / 1TB |
90VK002YJP | 109,890円 | Core i7-13700 / 16GB(8GB x2) / 1TB |
IdeaCentre 5i Gen 8の付属品をチェック
「IdeaCentre 5i Gen 8」の付属品は以下の通りです。
- キーボード×1
- マウス×1
- 電源ケーブル×1
- マニュアル・保証書など×4
キーボードとマウスが付属するので、パソコンが届き次第すぐに使うことができます。
IdeaCentre 5i Gen 8の外観をチェック
「IdeaCentre 5i Gen 8」はゲーミングPCではなく、オフィス向けPCという位置づけです。そのため、レノボのゲーミングブランドの「Legion」と比べると、デザインは大人しいです。
とはいえ、グレーを基調としたデザインはオフィス向けPCとして考えるとデザイン性はかなり高いです。
幅145mm×奥行き287.98mm×高さ340mmです。容積13.6Lなので、一般的なミニタワー型のPCと比べると、サイズ感はかなり小さいです。
フロントです。フロントパネルに配置された斜線がデザインにアクセントを与えています。フロントには吸気用のスリットはありません。
フロントパネルのインターフェースは天面ではなく、正面に向いて配置されています。床置きではなく、デスクの上に置く前提でデザインされています。
フロントパネルのインターフェースは下記の通りとなっています。
- 電源ボタン×1
- 3.5mm ヘッドフォン / マイクロフォンコンボジャック×1
- USB-C 3.2 Gen 1×1
- USB 3.2 Gen 1×1
- USB 3.2 Gen 1×1
最新のPCとしては珍しく、DVDスーパーマルチドライブに対応した光学ドライブが搭載されています。
バックパネルにはマザーボードのインターフェースと排気用の92mmファンと電源があります。フロントとは対照的にスリットは数多く設けられています。
バックパネルのインターフェースは下記の通りとなっています。
- オーディオ入出力端子×1
- HDMI 1.4b×1
- VGA(D-Sub 15 pin)×1
- USB 2.0(2ポート)×2
- イーサネット(RJ-45)×1
- USB 2.0(2ポート)×2
サイドパネルは正面から見て左側のみ、スリットが設けられています。
底面には滑り止め用のゴム脚が4本あります。
IdeaCentre 5i Gen 8の内部をチェック
内部にアクセスするためには、背面の2本のネジを緩めて、サイドパネルを外す必要があります。
サイドパネルをスライドさせて外すと、内部にアクセスできます。
ただし、ドライブ増設用の内部フレームがマザーボードの上に覆いかぶさっているので、まずはこれを取り外す必要があります。そのためにフロントパネルを外す必要があります。
フロントパネルは爪で引っかかっているのでこれを外します。
フロントパネルを外しました。
中央部分にある赤い金具に力を入れると、ドライブ増設用の内部フレームを外せます。
ドライブ増設用の内部フレームを外しました。ドライブ増設用の内部フレームには光学ドライブのほかに、3.5インチドライブベイが装着されているので、HDDの増設が可能です。
光学ドライブには、H・L Data StrorageのDVDスーパーマルチドライブが採用されています。
マザーボードはレノボ特注のB760チップセット搭載のM-ATXサイズのものです。
マザーボードの拡張性は下記の通りとなっています。
- PCIe x16スロット×1(空きスロット1)
- PCIe x1スロット×1(空きスロット1)
- メモリスロット×2(空きスロット1)
- SATAポート×3(空きスロット2)
- WIFIカードスロット×1(空きスロット0)
- M.2 NVMe SSDスロット×1(空きスロット0)
PCIe x16スロットとPCIe x1スロットに空きがあるので、グラフィックボードやキャプチャボードの取付が可能です。
ただし、M.2 NVMe SSDスロットに空きがありません。幸い、PCIe x1スロットに空きがあるので、M.2拡張カードを使えば、M.2 NVMe SSDの増設は可能です。
M.2 NVMe SSDには「SOLIDIGM P41 Plus」の512GBモデルが採用されています。
Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1に対応したWIFIカードが搭載されています。
CPUクーラーは空冷のトップフロー型のものが搭載されています。
メモリスロットは合計2基あり、その内の1基にDDR4-3200の8GBメモリが差さっています。
電源はAcBelの310W 80PLUS PLATINUMのものが搭載されています。公式が公開しているテストレポートを見ると、低負荷時、高負荷時ともに90%近い変換効率でした。変換効率に優れた電源が搭載されています。
→AcBelの310W 80PLUS PLATINUMのテストレポート
フロントには吸気用のファンが1基、リアには排気用のファンが1基搭載されています。いずれも92mmファンとなっています。
IdeaCentre 5i Gen 8のパフォーマンスをチェック
ここからは、「IdeaCentre 5i Gen 8」のパフォーマンスをチェックします。ただし、メモリは8GB×1なので、性能はフルに活かせません。そのため、今回のベンチ結果はあくまでも参考程度に見てください。
Cinebench R23
CGレンダリングを行い、CPUの処理性能を計測するベンチマークの「CINEBENCH R23」です。
シングルスコアは1,687、マルチスコアは12,781でした。「Core i5-13400」はインテル第13世代のCore i5の中でも最も性能の低いモデルに位置付けられますが、比較的新しい世代のCore i5ということで、なかなかの性能を発揮します。
もしメモリがデュアルチャネル(8GB×2など)であれば、マルチスコアは14,000近くいきます。
PC MARK 10
システム全体のパフォーマンスを計測する、総合ベンチマークの「PC Mark 10」を実行してクリエイティブ性能をチェックします。
総合スコアは4,754ポイントをマーク。
PCの基本性能を測る「Essentials(推奨スコアは4100以上)」のスコアは8,715。
オフィスアプリ系の処理性能を測る「Productivity(推奨スコアは4,500以上)」は6,379。
写真・動画編集に関する性能を計測する「Digital Content Creation(推奨スコアは3,450以上)」は5,247です。
それぞれ推奨スコア以上のスコアをマークしています。クリエイティブ性能は十分高いです。
とはいえ、写真・動画編集はグラフィックボードを搭載していないこともあり、流石に快適な作業は厳しいかと思いますので過度な期待は禁物です。
ドラクエ10ベンチマーク
そもそもインテルの内蔵GPUな時点でゲーム性能は期待できませんが、それでもドラクエ10ベンチマーク(1920×1080、標準品質)を実行したところ、「快適判定」でした。
軽いゲームであれば、そこそこ快適にプレーできるかもしれません。
ディスクベンチマーク
ストレージは、PCI-Express4.0×4に対応した、「SOLIDIGM P41 Plus」の512GBモデルを搭載。
Crystal Disk Markを実行したところ、読み込み速度は約3,522Mb/s、書き込み速度は1,649Mb/sでした。
CPU温度・VRM温度
「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」を実行して、CPU温度の推移をチェックします。CPU温度は一瞬75℃まで上がりますが、その後は60℃台で推移します。CPUは十分冷やし切れています。
サーマルカメラで、VRM周りの温度を計測します。最高でも60℃台を維持しています。VRMヒートシンクがない簡素なマザーボードですが、冷却性能は十分です。
消費電力
アイドル時の消費電力は10~20W、高負荷時は120W前後を推移しています。グラフィックボードを搭載していないこともあり、消費電力はおとなしいです。
騒音
グラフィックボードは非搭載、さらにPCケース自体にスリットがあまり設けられていないこともあり、騒音はかなり抑えられています。
番外編:グラフィックボードの増設は可能か?
PCIe x16スロットに空きがあるので、グラフィックボードの増設が可能です。
ただし、奥行は約23cm、横幅は約10cmまでと、スペース的に余裕はありません。
比較的小柄なシングルファンモデルのグラフィックボードでも干渉してしまいます。
ロープロファイルのグラフィックボードであれば、スペースに余裕があります。グラフィックボードを増設するのであれば、ロープロファイルのグラフィックボードをおすすめします。
おすすめのロープロファイルのグラフィックボードは「RTX 3050 6GB」です。RTX 3050 8GB版よりVRAM容量が少なく、ゲーム性能も若干劣りますが、その分補助電源もなくTDPも70Wと、扱いやすくなっています。
おすすめのモデルは、「MSI GeForce RTX 3050 LP 6G OC」です。
ロープロファイルモデルでありながら、HDMI×2、Displayport×1とバランスが良いです。マルチディスプレイ環境も簡単に構築できます。
IdeaCentre 5i Gen 8のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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容積13.6Lという小型ケースを採用 コストパフォーマンスが高い Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1に対応 マウス、キーボードが付 ロープロファイルのグラボを搭載可能 冷却性能は必要十分 オフィス向けPCにしてはデザイン性は高い コンパクトでありながら拡張性はそこそこ 騒音はおとなしい | エアフローは良好とはいえない サイズの大きいグラボは入らない可能性が高い 「90VK002VJP」だとメモリが8GBと少ない |
まとめ
「IdeaCentre 5i Gen 8」はオフィス用途としては非常に優秀はPCです。手を出しやすい価格で、総合的にいって、コストパフォーマンスは高いです。
もし性能に不満があればグラボを増設し、グラフィックス性能をアップさせるといった拡張性も兼ね備えています。
コンパクトなPCでかつある程度の拡張性が欲しいのであれば、「IdeaCentre 5i Gen 8」は有力な選択肢になるでしょう。