EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBをレビュー!キオクシアのエントリーM.2 NVMe SSD
キオクシアのM.2 NVMe SSDはいくつか種類がありますが、今回はエントリーモデルに位置付けられる、EXCERIAシリーズのSSD-CK1.0N3/Nの1TBモデルを購入したのでレビューしたいと思います。
現在、EXCERIA がSSD-CK1.0N3/Nは販売終息となっており、その後継機種のEXCERIA G2 SSD-CK1.0N3G2/Nが販売されています。
キオクシアのEXCERIAシリーズとは
キオクシアのM.2 NVMe SSDは大きくわけて、下記の4種類に分かれます。
シリーズ名 | EXCERIA PRO SSD | EXCERIA PLUS G2 SSD | EXCERIA G2 SSD | EXCERIA SSD |
ターゲットユーザー | プロフェッショナル | ハイエンドユーザー | メインストリーム | メインストリーム |
容量 | 1TB、2TB | 500GB、1TB、2TB | 1TB、2TB | 250GB、500GB、1TB |
※公称値 | シーケンシャルリード/ライト (最大)2TB: 7,300/6,400 MB/s | 2TB: 3,400/3,200 MB/s | 2TB: 2,100/1,700 MB/s | 1TB: 1,700/1,600 MB/s |
※公称値 | ランダムリード/ライト (最大)2TB: 800,000/1,300,000 IOPS | 2TB: 680,000/620,000 IOPS | 2TB: 360,000/400,000 IOPS | 1TB: 350,000/400,000 IOPS |
インターフェース | PCIe Gen4 x4 / NVMe™ 1.4 | PCIe Gen3 x4 / NVMe™ 1.3c | PCIe Gen3 x4 / NVMe™ 1.3c | PCIe Gen3 x4 / NVMe™ 1.3c |
フォームファクター | M.2 Type 2280-S2-M | M.2 2280-D3-M | M.2 Type 2280-S2-M | M.2 Type 2280-S2-M |
総書き込み容量 (TBW) | 最大800TB | 最大800TB | 最大800TB | 最大400TB |
保証期間 | 5年 | 5年 | 5年 | 5年 |
参考価格 | 1TB:2万1,000円 2TB:3万7,500円 | 500GB:7,000円 1TB:12,500円 2TB:30,000円 | 1TB:11,500円 2TB:価格データなし | 250GB:5,300円 500GB:5,800円 1TB: 9,300円 |
自分が購入したのは、「EXCERIA SSD」で、エントリーモデルに位置付けられています。そのため、スペックは上位モデルと比べると劣っています。
特にSSDコントローラーは4chなので、上位モデルの8chと比べると、チャンネル数は少ないです。そのため、シーケンシャルリード、ライトはそれぞれ、1700、1600と速度はイマイチです。
Gen3のM.2 NVMe SSDの場合、シーケンシャルリード、ライト、それぞれ3000以上の速度は出ているものもあるので、この「EXCERIA SSD」はその半分以下の速度というわけです。
その代わり、価格はかなり抑え気味で、1TBモデルなのに1万円以下と、コスパはかなり優れています。
ただ、この「EXCERIA SSD」のフラッシュメモリは上位モデルと同じ、キオクシア製のBiCS FLASHが採用されています。
他のエントリーモデルのフラッシュメモリはQLCを採用していることも多いですが、このBiCS FLASHはTLCです。
そのため、QLCを採用しているほかのエントリーモデルと異なり、「EXCERIA SSD」は、信頼性や耐久性に関する不安は少ないといえます。
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの外観と付属品
付属品です。本体と説明書のみのシンプルな構成です。なお、ヒートシンクは付属しません。
表面です。基盤の色は濃い青色で、シールと基盤にのっているチップ等が黒なので、全体的に黒のイメージが強いです。
キャッシュメモリはサムソン製の「K4A8G165WC-BCTD」です。コントローラーはKIOXIA製です。チャンネル数は4chです。
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの性能を検証
わかりやすいように、SATA SSDの「WD Blue 3D NAND SATA WDS500G2B0A 500GB」を比較対象としたいと思います。
なお検証機のスペックは下記の通りとなっています。
検証機のスペック | ||
CPU | core i5-12400 | |
CPUクーラー | リテールクーラー | |
マザーボード | Asrock B660M PRO RS | |
メモリ | DDR4-3200 8G×2(KD48GU880-32A160U) | |
ビデオカード | RTX3060 | |
ストレージ | EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TB | WD Blue 3D NAND SATA WDS500G2B0A 500GB |
電源ユニット | 750W(Cooler Master V750) | |
OS | Windows 10 HOME |
Crystal Disk Mark
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの読み込み速度は1,700 MB/s超え、書き込み速度は1,600 MB/s超えと、公称スペック通りの速度が出ています。ただし、テストサイズを64GBにすると、ランダムリード性能がガクッと下がります。
一方、WDS500G2B0A 500GBは一般的なSATA SSDにありがちな読み込み速度、書き込み速度でした。
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBは単純比較ですが、WDS500G2B0A 500GBに比べて、約3倍ほどの読み込み、書き込み速度があります。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkの読み込み、書き込みテストは、若干の誤差はありますが、Crystal Disk Markのときと同じような結果でした。
コピーテスト、圧縮テストもEXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBが圧倒しています。特にEXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの圧縮テストの読み出し速度は公称値を超えて、3000MB/s以上出ています。
ATTO Disk Benchmark
少しわかりづらいですが、ATTO Disk Benchmarkは各容量ごとの処理性能を視覚的に表示してくれるベンチマークです。
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの読み込み速度は256KBあたりからピークに達し、公称値を超えて、3000MB/s以上出ています。書き込み速度は32KBからピークに達し、1500MB/s以上出ています。
一方、WDS500G2B0A 500GBは、ピークに達しても、読み込み、書き込み速度ともに500MB/sくらいが限界でした。
HD Tune Pro
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TB | WDS500G2B0A 500GB | |
読み込み | 1807.6MB/s | 400.3MB/s |
書き込み | 1553.2MB/s | 361.7MB/s |
読み込み、書き込み速度ともに、若干の誤差がありますが、Crystal Disk Markと同じような傾向です。
HD Tune Proで100GB連続で書き込みした時のキャッシュの状態を見ていきます。
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの場合、40GB書き込んだところでガクッと速度が落ち、700MB/s位しか速度が出ていません。このことから、キャッシュの容量は40GBほどだと推察できます。
一方で、WDS500G2B0A 500GBの場合はキャッシュ切れによる急激な書き込み速度の落ち込みは見られませんでした。
3D MARK Storage Benchmark Score
3DMark Storage Benchmarkは、実際のゲームをプレーする際に発生する読み書きを想定したストレージのベンチマークです。
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TB | WDS500G2B0A 500GB | |||
Bandwidth | Average access time | Bandwidth | Average access time | |
平均 | 485.34 MB/s | 68 μs | 179.28 MB/s | 187 μs |
Load Battlefield 5 | 796.69 MB/s | 100 μs | 273.26 MB/s | 293 μs |
Load call of duty BO4 | 631.37 MB/s | 130 μs | 275.62 MB/s | 304 μs |
Load Overwatch | 368.44 MB/s | 75 μs | 173.68 MB/s | 150 μs |
Record game | 226.16 MB/s | 38 μs | 107.24 MB/s | 81 μs |
Install game | 267.89 MB/s | 52 μs | 130.80 MB/s | 110 μs |
Save game | 300.66 MB/s | 25 μs | 123.61 MB/s | 62 μs |
Move game | 1878.94 MB/s | 145 μs | 262.44 MB/s | 1106 μs |
総合スコア | 2735 | 1002 |
ベンチマークは、「データの実転送帯域」、「平均アクセス速度」、そして「総合スコア」で表示されます。
「データの実転送帯域」、「平均アクセス速度」ともに、EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBがWDS500G2B0A 500GBを圧倒しています。
FF14ベンチマーク
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TB | WDS500G2B0A 500GB | |
シーン1 | 1.353sec | 1.876sec |
シーン2 | 2.589sec | 3.288sec |
シーン3 | 3.839sec | 4.762sec |
シーン4 | 1.485sec | 2.052sec |
シーン5 | 0.787sec | 1.041sec |
合計 | 10.053sec | 13.019sec |
FF14ベンチマークではスコア以外にもローディングにかかった時間も計測してくれます。今回はローディングにかかった時間だけを見ていきます。
このようにローディング時間はEXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBが速いですが、正直そこまで大差はないです。実際に体感でもそこまでの差は感じませんでした。
温度
Crystal Disk Mark実行時の、EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの温度を見ていきます。ヒートシンクなしだと最高で57度まで上がりました。そこまで発熱はしない印象ですが、一応ヒートシンクは装着したほうがよさそうです。
KIOXIA SSD UTILITY
KIOXIA SSD UTILITYという専用ソフトを使えば、キオクシアのSSDをきめ細かく管理できます。メニューは以下の通りです。※一部の機能はwindows 11では使用できません。
メニュー | 解説 |
ダッシュボード | システム状態、容量、インターフェース、健康状態、更新などをリアルタイムに把握できます。 |
メンテナンス | SSDのファームウェアの更新が行えます。 |
健康状態モニタリング | SSDの残り寿命などの健康状態を確認できます。 |
SSDチューナー | SSDを細かく調整できる機能です。オーバープロビジョニング(SSD制御用の余剰領域の確保)を調整し、長寿命化できます。 |
EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBの良かったところ、悪かったところ
まとめ
キオクシアのEXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBは、エントリークラスのNVMe SSDなこともあって、性能は正直控えめです。
ただ、それでもSATA SSDに比べれば、圧倒的に速度は速く、さらに1TBのSATA SSDと同価格というコストパフォーマンスが光ります。
もし大容量のSSDを探しているのなら、1TBのSATA SSDよりは今回紹介した、EXCERIA SSD-CK1.0N3/N 1TBのほうがおすすめです。
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