2023年7月、NVIDIAのGPUのRTX 4060 Tiを搭載したビデオカードの販売が開始されました。
RTX 4060 Tiは、RTX 3060 Tiに置き換わる、エントリークラス帯の位置づけのGPUです。
ターゲット解像度はフルHD向けですが、DLSS 3(DLSS Frame Generation)に対応しているので、対応ゲームであれば、より高負荷なゲームでもパフォーマンスを発揮します。
今回の記事ではRTX 4060 Tiの特徴、ゲーム性能を解説し、最後におすすめのゲーミングPCを紹介します。
RTX 4060 Tiの概要
RTX 4060 Tiの立ち位置
RTX 3060 Ti | RTX 4060 Ti | RTX 4060 | |
アーキテクチャー | Ampere | Ada Lovelace | Ada Lovelace |
SM数 | 38基 | 34基 | 24基 |
CUDAコア数 | 4864基 | 4352基 | 3072基 |
ベース/ブーストクロック | 1310MHz / 1665MHz | 2310MHz / 2535MHz | 1830MHz / 2535MHz |
VRAM | GDDR6 8GB | GDDR6 8GB / 16GB | GDDR6X 8GB |
RTコア数 | 38基 | 34基 | 24基 |
Tensorコア数 | 152基 | 128基 | 96基 |
メモリーバス幅 | 256bit | 128bit | 128bit |
L2キャッシュ | 4MB | 32MB | 24MB |
グラフィックスカード電力 | 200W | 160W | 115W |
補助電源コネクター | 8ピン(8ピン×1) | 8ピン(8ピン×1) | 8ピン(8ピン×1) |
参考価格 ※2024年4月現在 | 約60,000円 | 約60,000円 | 約45,000円 |
RTX 4060 Tiのスペックは、前世代のRTX 3060 Tiより劣化しています。
例えば、SM数、CUDAコア数、バス幅など、一部スペックはRTX 3060 Tiのほうが上回っています。
ただ、RTX 4060 Tiはその分、クロック数が高く、L2キャッシュも32MB(RTX 3060 Tiは4MB)と多く、足りてない性能を補っているため、一概にRTX 3060 Tiのほうが性能が上といいきれません。
また、メモリバス幅が狭いこともあって、グラフィックスカード電力は160W(RTX 3060 Tiは200W)と省電力となっています。そのため、RTX 4060 Tiのワットパフォーマンスは優秀といえます。
ただし、NVEncは1基のみの搭載なので、RTX 4070 Ti SUPERのようなデュアルエンコーダー構成ではありません。その点は注意が必要です。
また、RTX 4060 TiにはVRAM容量が16GBのものも存在しますが、基本スペックは8GBとほぼ同一です。違いはあるのは、VRAM容量だけになります。
RTX 4060 Tiの3D性能
DirectX 12ベースのゲームパフォーマンスを計測する「Time Spy」のグラフィックススコアです。
RTX 4060 Tiのグラフィックススコアは、13174と、RTX 3070とほぼ同じです。前世代のRTX 3060 Tiと比較した場合、約18%グラフィックスコアは上です。
RTX 4060 Tiはより省電力になって、DLSS 3(DLSS Frame Generation)に対応したRTX 3070と言えます。
DLSS 3(DLSS Frame Generation)に対応
RTX 4060 TiはRTX 40シリーズ限定で使用できる、フレーム生成のDLSS 3(DLSS Frame Generation)に対応しています。
RTX 4060 Tiで、DLSS 3(DLSS Frame Generation)を有効にしたところ、設定していないときと比べて、約3倍フレームレートが上昇しています。
今まで快適には程遠かったCyber Punk 2077のレイトレウルトラ設定もDLSS 3(DLSS Frame Generation)を有効にすることで快適にプレーできるようになります。
容量8GBのVRAMを搭載
昨今のゲームのVRAM消費量は凄まじいものがあります。例えば、BIOHAZARD RE:4は最高設定だとたとえ、フルHD解像度でもVRAM消費量は12GBを超えます。
その点、RTX 4060 Tiには、容量8GBのVRAMを搭載しています。極端にVRAM消費量が激しいゲームではVRAM容量不足に陥る可能性があります。
VRAM消費量の激しいゲームをプレーする場合、設定を下げる必要があります。
RTX 4060 Tiのゲーム性能
全10ゲームの平均fps
ゲーム内設定は最高、アップスケーリングなしの全10ゲームの平均fpsです。
RTX 4060 TiはフルHD向けと言われていますが、WQHD解像度でも平均60fpsを超えており、ゲーム性能は優秀です。ただし、4K解像度では平均60fpsを下回っているため、快適なゲームプレーは不可能と思っていいです。
RTX 3060 Tiと比較して、フルHD解像度では約13%、WQHD解像度では約12%、4K解像度では約7%と、解像度が上がるにつれて差が小さくなります。
おそらくバス幅の狭さが原因で、RTX 4060 Tiのパフォーマンスは思ったより発揮できなかった可能性があります。
フルHD、WQHD解像度で快適にプレーしたいのであれば、RTX 4060 Tiは良い選択肢になります。
各ゲームタイトルの平均fpsと最低fps
ゲームタイトル | 解像度 | 平均fps | 最低fps |
---|---|---|---|
Assassin’s Creed Mirage | フルHD | 118 | 84(1%LOW) |
WQHD | 87 | 66(1%LOW) | |
4K | 44 | 36(1%LOW) | |
Call of Duty: Modern Warfare III | フルHD | 104 | 76(1%LOW) |
WQHD | 88 | 59(1%LOW) | |
4K | 53 | 23(1%LOW) | |
Cyberpunk 2077 | フルHD | 95 | 79 |
WQHD | 55 | 45 | |
4K | 22 | 18 | |
Deus Ex | フルHD | 137 | 109 |
WQHD | 94 | 77 | |
4K | 48 | 40 | |
Far Cry 6 | フルHD | 143 | 128 |
WQHD | 101 | 93 | |
4K | 54 | 46 | |
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー | フルHD | 145 | 82 |
WQHD | 93 | 56 | |
4K | 45 | 28 | |
Fortnite | フルHD | 179 | 116(1%LOW) |
WQHD | 112 | 74(1%LOW) | |
4K | 52 | 39(1%LOW) | |
Ghost of Tsushima | フルHD | 91 | 74(1%LOW) |
WQHD | 64 | 51(1%LOW) | |
4K | 35 | 29(1%LOW) | |
Tom Clancy’s Rainbow Six Extraction | フルHD | 209 | 127 |
WQHD | 136 | 76 | |
4K | 67 | 37 | |
Watch Dogs: Legion | フルHD | 99 | 82(1%LOW) |
WQHD | 73 | 62(1%LOW) | |
4K | 40 | 34(1%LOW) |
実際にゲームをプレー
Tom Clancy’s Rainbow Six Extraction(ゲームの負荷レベル:低)
・画質:最高
・解像度:フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)
※ベンチマークモードで計測
Tom Clancy’s Rainbow Six Extractionのように負荷の軽いゲームでは、フルHD解像度144fpsが狙えます。設定を下げれば、WQHD解像度は144fpsでプレーも十分可能です。
144HzフルHDモニターで負荷の軽いゲームをプレーしたいのであれば、RTX 4060 Tiは選択肢に入るかと思います。
Far Cry 6(ゲームの負荷レベル:中)
・画質:最高
・解像度:フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)
※ベンチマークモードで計測
負荷がそれなりに重いFar Cry 6でも、設定を落とせばフルHD解像度で144fpsが狙えます。また、WQHD解像度では60fpsでプレーできます。4K解像度では設定を落とせば、60fpsでプレー可能です。
Cyberpunk 2077(ゲームの負荷レベル:高)
・画質:ウルトラ
・解像度:フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)
・アップスケーリング:DLSS
・アップサンプルクオリティ:バランス
・フレーム生成:DLSS FG
※ベンチマークモードで計測
負荷が重いCyberpunk 2077でも、DLSS バランス+DLSS FGの合わせ技で爆発的にfpsを伸ばせます。フルHD解像度で144fpsが狙えます。また、WQHD解像度では60fpsでプレーできます。
4K解像度は流石に厳しいです。いくらDLSS バランス+DLSS FGの合わせ技でも快適なプレーは不可能です。
検証に使用したRTX 4060 Tiのモデル
検証で使用したのは、「MSI GeForce RTX 4060 Ti VENTUS 2X BLACK 8G OC」です。
デュアルファンを搭載しています。裏面はプラスチック製のバックプレートが装着済みです。長さは199mmあるのでコンパクトなPCケースに収まります。
厚みは42mmでほぼ2スロットを占有します。
外部出力端子はDisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1a×1です。
検証環境
検証環境 | |
---|---|
CPU | インテル 「Core i5-14600KF」 |
グラフィックボード | MSI 「GeForce RTX 4060 Ti VENTUS 2X BLACK 8G OC」 |
CPUクーラー | サイズ「MUGEN6 Black Edtion」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
マザーボード | GIGABYTE「B760 AORUS ELITE」 |
メモリ | Kingston 「FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)」(16GB×2) (DDR5-4800に設定) |
SSD | Kingston「NV2 SSD 2TB」 Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | Corsair「RM750e」 |
PCケース | XPG「VALOR AIR」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
RTX 4060 Tiの強みと弱み
強み | 弱み |
---|---|
フルHD解像度で144fpsが狙える WQHD解像度で60fpsが狙える DLSS 3(DLSS Frame Generation)に対応 AV1エンコードが可能 ワットパフォーマンスは優秀 | 4K解像度のゲームは厳しい VRAM容量が8GB |
RTX 4060 Ti搭載おすすめゲーミングPC
2024年8月11日(日)に更新しました。
iiyama PC LEVEL-M17M-124F-SLX-BLACK
スペック | |
---|---|
CPU | Core i5-12400F |
GPU | RTX 4060 Ti |
CPUクーラー | トップフロー空冷クーラー |
メモリ | 16GB (8GB x2) DDR5-4800 |
ストレージ | 500GB M.2 NVMe SSD |
M.2スロット | 2基(空きスロット1) |
マザーボード | B760チップセット |
ネットワーク | 有線:1Gbps LAN |
電源 | 650W 80PLUS BRONZE |
ケース寸法 | 幅(W):約220mm x 高さ(H):約441mm x 奥行(D):約411mm |
保証 | 1年 |
納期 | 5~10日 |
価格 | 149,800円+送料0円 |
パソコン工房の「iiyama PC LEVEL-M17M-124F-SLX-BLACK
Core i5-12400Fは6コア12スレッドのインテル第12世代のCPUで、Eコアはありません。Eコアはないといっても性能は決して低くなく、ゲーミング性能はEコアがついているCore i5-14400と大差ありません。
RTX 4060 Tiの性能をしっかり引き出してくれます。
Core i5-12400Fのゲーム性能は以下のページにて検証しています↓。
ストレージは500GBモデルを搭載。複数のゲームをインストールするとストレージ容量不足に陥るので、出来れば1TBへのカスタマイズをおすすめします。
マザーボードはM-ATXサイズのB760チップセットのものを採用。M.2スロットは2基あり、空きスロットは1基あるのでM.2 NVMe SSDの増設が可能です。
メモリはDDR5-4800の16GB(8GB×2)を搭載しています。
ネットワークは有線の1Gbps LANを搭載。
このモデルはコスパに優れたLEVELθ(レベル シータ)に属しています。PCケースにはThermaltake製のミニタワーケース「S100 TG」をベースとしたオリジナル筐体を採用。スイングドア方式を採用した強化ガラス製サイドパネルが特徴のPCケースです。
標準でLEDケースファンが搭載されているので、ガラスパネル越しにライティングを楽しむことができます。
なおこのモデルはスペック、価格は同じで、以下の4種類のカラーで展開されています。それぞれPCケース、LEDファンの色が異なります。
ケースの寸法は幅(W):約220mm x 高さ(H):約441mm x 奥行(D):約411mmです。
メリット | デメリット |
---|---|
コスパは優秀 M.2 NVMe SSDの増設が可能 PCケースの色を4種類から選ぶことが可能 観音開きで内部に簡単にアクセス可能 | ストレージの容量が500GB |
iiyama PC LEVEL-M1A6-R75F-SLX-BLACK
スペック | |
---|---|
CPU | Ryzen 5 7500F |
GPU | RTX 4060 Ti |
CPUクーラー | トップフロー空冷クーラー |
メモリ | 16GB (8GB x2) DDR5-4800 |
ストレージ | 500GB M.2 NVMe SSD |
M.2スロット | 1基(空きスロット0) |
マザーボード | A620チップセット |
ネットワーク | 有線:1Gbps LAN |
電源 | 650W 80PLUS BRONZE |
保証 | 1年 |
納期 | 5~10日 |
ケース寸法 | 幅(W):約220mm x 高さ(H):約441mm x 奥行(D):約411mm |
価格 | 159,800円+送料0円 |
パソコン工房の「iiyama PC LEVEL-M1A6-R75F-SLX-BLACK
Ryzen 5 7500Fは6コア12スレッドのCPUです。Ryzen 5 7600から内蔵GPUをなくしたCPUといえます。
最新のZEN4アーキテクチャーを採用していることもあって、ゲーム性能は競合のCore i5-14400やRyzen 7 5700Xより優れています。
RTX 4060 Tiの性能をしっかり引き出してくれます。
Ryzen 5 7500Fのゲーム性能は以下のページにて検証しています↓。
ストレージは500GBモデルを搭載。複数のゲームをインストールするとストレージ容量不足に陥るので、出来れば1TBへのカスタマイズをおすすめします。
マザーボードはM-ATXサイズのA620チップセットのものを採用。M.2スロットは1基しかないので、M.2 NVMe SSDの増設は不可能です。
メモリはDDR5-4800の16GB(8GB×2)を搭載しています。
ネットワークは有線の1Gbps LANを搭載。
このモデルはコスパに優れたLEVELθ(レベル シータ)に属しています。PCケースにはThermaltake製のミニタワーケース「S100 TG」をベースとしたオリジナル筐体を採用。スイングドア方式を採用した強化ガラス製サイドパネルが特徴のPCケースです。
標準でLEDケースファンが搭載されているので、ガラスパネル越しにライティングを楽しむことができます。
なおこのモデルはスペック、価格は同じで、以下の4種類のカラーで展開されています。それぞれPCケース、LEDファンの色が異なります。
ケースの寸法は幅(W):約220mm x 高さ(H):約441mm x 奥行(D):約411mmです。
メリット | デメリット |
---|---|
コスパは優秀 M.2 NVMe SSDの増設が可能 PCケースの色を4種類から選ぶことが可能 観音開きで内部に簡単にアクセス可能 | ストレージの容量が500GB M.2 NVMe SSDの増設は不可能 |
まとめ
RTX 4060 Ti搭載モデルはBTO各社のモデルをまとめてみると、極端に安いものから高いものまで幅が広い印象です。
ただ、よく探してみると、10万円前半から15万円前後で売り出しているモデルも数多く見つかります。
コスパの良いRTX 4060 Ti搭載モデルを探しているのなら、予算は10万円~15万円ほど用意しておけば問題ないと思います。