2021年2月、NVIDIAのGPUのRTX 3060を搭載したビデオカードの販売が開始されました。
RTX 3060の立ち位置は、RTX 3060 Tiの下位モデルという位置づけで、RTX30シリーズのエントリーモデルといえる存在です。
また、VRAM容量が12GBと大容量なのも特徴的です。
最新のRTX4060が登場した今、RTX3060は型落ちになり、しかも最新のDLSS3にも非対応ですが、今でも十分通用する性能を有しており、人気は衰えていません。
今回の記事ではRTX 3060の特徴、ゲーム性能を解説し、最後におすすめのゲーミングPCを紹介します。
RTX 3060とは
RTX 3060 Ti | RTX 3060 | RTX 3050 | |
---|---|---|---|
CUDAコア数 | 4864 | 3,584 | 2,560 |
ベース/ブーストクロック | 1,410MHz / 1,665MHz | 1,320MHz / 1,780MHz | 1,552MHz / 1,777MHz |
標準メモリ構成 | GDDR6 8GB(256bit) | GDDR6 12GB(192bit) | GDDR6 8GB(128bit) |
レイトレーシングコア(RTコア) | 38(第2世代) | 28(第2世代) | 20(第2世代) |
Tensorコア | 152(第3世代) | 112(第3世代) | 80(第3世代) |
NVIDIAアーキテクチャー | Ampere | Ampere | Ampere |
NVIDIA DLSS | 2 | 2 | 2 |
NVIDIA Encoder(NVENC) | 第7世代×1 | 第7世代×1 | 第7世代×1 |
AV1エンコード/デコード | ×/〇 | ×/〇 | ×/〇 |
グラフィックスカード電力(W) | 200 | 150 | 130 |
システム電力要件(W) | 600 | 550 | 550 |
必須の電源 | 8ピン×1 | 8ピン×1 | 8ピン×1 |
参考価格 ※2024年4月現在 | 約60,000円 | 約37,000円 | 約35,000円 |
CUDAコア数を見てわかる通り、RTX3060のスペックは上位モデルのRTX 3060 Tiと下位モデルのRTX 3050の丁度中間に位置しています。
ただし、VRAM容量は12GBと大容量なので、下位のRTX 3050だけでなく、上位のRTX 3060 Tiを上回ります。実はこのVRAM容量12GBはRTX 4070やRTX 4070 SUPERと同じ容量です。RTX 3060のVRAM容量の多さは際立っています。
グラフィックスカード電力(W)は約150Wです。RTX 3060 Tiと比べて50Wほど低いです。
RTX 3060 | RTX 4060 | |
---|---|---|
CUDAコア数 | 3,584 | 3,072 |
ベース/ブーストクロック | 1,320MHz / 1,780MHz | 1,830MHz / 2,460MHz |
標準メモリ構成 | GDDR6 12GB(192bit) | GDDR6 8GB(128bit) |
レイトレーシングコア(RTコア) | 28(第2世代) | 24(第3世代) |
Tensorコア | 112(第3世代) | 96(第4世代) |
NVIDIAアーキテクチャー | Ampere | Ada Lovelace |
NVIDIA DLSS | 2 | 3 |
NVIDIA Encoder(NVENC) | 第7世代×1 | 第8世代×1 |
AV1エンコード/デコード | ×/〇 | 〇/〇 |
グラフィックスカード電力(W) | 150 | 115 |
システム電力要件(W) | 550 | 550 |
必須の電源 | 8ピン×1 | 8ピン×1または12VHPWR×1 |
参考価格 ※2024年4月現在 | 約37,000円 | 約43,000円 |
最新世代のRTX 4060と比較すると、CUDAコア数など基本スペックではRTX 4060を上回っています。一見すると、RTX 3060はRTX 4060より性能を上回ってみえますが、RTX40シリーズは大容量のL2キャッシュを搭載しています。
これによってRTX30シリーズに比べると、電力効率と処理性能の向上を実現しています。実際、RTX 4060のグラフィックスカード電力(W)は115Wなので、RTX 4060のほうがワットパフォーマンスは優秀です。
また、RTX 4060はDLSS 3.0(FG)とAV1エンコードに対応していますが、RTX 3060は両方とも非対応です。
ある意味、スペックだけで判断しづらいのがRTX 40シリーズといえます。
AV1エンコードは画質を維持したまま容量を大幅に減らせるので、ゲーム配信や動画編集用のプレー動画を録画する際に役立ちます。
RTX 3060のゲーム性能について
RTX 3060のゲーム性能を他のGPUと比較します。なお、ゲームのグラフィック設定は最高設定に統一しています。
検証環境を見るにはここをクリック
検証環境
検証環境 | |
---|---|
CPU | インテル 「Core i5-14600KF」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
ビデオカード | colorful「RTX 3060 nb12g」 |
マザーボード | GIGABYTE「B760 AORUS ELITE」 |
メモリ | Kingston 「FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)」(16GB×2) (DDR5-4800に設定) |
SSD | Kingston「NV2 SSD 2TB」 Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | Corsair「RM750e」 |
PCケース | XPG「VALOR AIR JP2」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
軽量級ゲーム
軽量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均148fps、WQHD解像度では99fps、4K解像度では49fpsでした。
下位モデルのRTX 3050と比較すると、フルHD解像度では約32%、WQHD解像では約37%、4K解像度では約33%上回っています。
検証に使用した軽量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 3060の平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
---|---|---|---|
レインボーシックスシージ | 235fps | 147fps | 71fps |
オーバーウォッチ2 | 131fps | 97fps | 49fps |
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー | 104fps | 69fps | 35fps |
BLUE PROTOCOL | 122fps | 82fps | 43fps |
中量級ゲーム
中量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均83fps、WQHD解像度では65fps、4K解像度では42fpsでした。
下位モデルのRTX 3060と比較すると、フルHD解像度では約31%、WQHD解像では約34%、4K解像度では約37%上回っています。
検証に使用した中量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 3060の平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
---|---|---|---|
Forza Horizon 5 | 84fps | 70fps | 48fps |
アサシンクリードミラージュ | 79fps | 61fps | 37fps |
Call of Duty: Modern Warfare III | 87fps | 63fps | 40fps |
重量級ゲーム
重量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均72fps、WQHD解像度では50fps、4K解像度では27fpsでした。
下位モデルのRTX 3050と比較すると、フルHD解像度では約34%、WQHD解像では約35%、4K解像度では約35%上回っています。
検証に使用した重量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 3060の平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
---|---|---|---|
Watch Dogs: Legion | 68fps | 50fps | 29fps |
アーマードコア6 | 79fps | 59fps | 35fps |
サイバーパンク2077 | 70fps | 41fps | 18fps |
DLSS
RTX 3060はDLSS 2.0に対応しています。対応ゲームであれば、DLSSを設定していない状態に比べると、2倍以上平均フレームレートが上昇します。
ただし、DLSS 3.0(FG)は非対応です。DLSS 3.0(FG)対応ゲームでは、RTX 4060の後塵を拝します。
RTX 3060の強みと弱みについて
強み | 弱い |
---|---|
フルHD解像度の軽量級ゲームであれば、ハイフレームレートでゲームがプレーできる WQHD解像度のゲームも十分プレー可能 DLSS 2.0対応 VRAM容量は12GBと大容量 | 4K解像度でのプレーは厳しい 負荷の重いゲームだとWQHD解像度のプレーは厳しい DLSS 3.0(FG)には非対応 AV1エンコードに非対応 |
RTX 3060のゲーム性能は十分高く、フルHD解像度の軽量級のゲームであれば、144fpsでゲームプレーすることも十分可能です。
また、WQHD解像度もサイバーパンク2077のような重量級ゲームは厳しいですが、それ以外のゲームであれば、平均60fpsを上回ってのゲームプレーも可能です。
一方、4K解像度は正直厳しいです。軽量級ゲームであれば、平均60fpsでゲームプレーも可能ですが、少しでも負荷が重いゲームでは4K解像度でのゲームプレーは不可能と思っていいです。
どうしてもフレームレートが足らない場合、DLSSなどのアップスケーリングを組み合わせることで、フレームレートを押し上げることが可能です。
VRAM容量は12GBと大容量です。近年フルHD解像度でもVRAM消費量は8GBに迫っており、その点、RTX 3060は12GBと大容量なので余裕があります。
競合となるのはRTX 4060になります。
RTX 4060と比べた場合、平均フレームレートは10fps位差が開きます。ワットパフォーマンスが優秀で、DLSS 3.0(FG)対応しているRTX 4060のほうが魅力度は高いです。
ただし、DLSS 3.0(FG)対応ゲームをプレーする予定がないのであれば、RTX 3060も十分おすすめできます。
RTX 3060搭載おすすめゲーミングPC
2024年6月22日(土)に更新しました。
MD3657
スペック | |
---|---|
CPU | Ryzen 7 5700X |
GPU | RTX 3060 12GB |
メモリ | 16GB(8GB x2) |
ストレージ | 500GB M.2 NVMe SSD |
M.2スロット | 不明(空きスロット0) |
マザーボード | A520 (Micro ATX) |
電源 | 650W 80PLUS BRONZE |
価格 | 126,800円+送料0円 |
MDL.makeの「MD3657
Ryzen 7 5700Xは8コア16スレッドのZEN3世代のCPUで、性能は十分高く、RTX 3060あたりのビデオカードとの組み合わせであれば、性能不足を感じることはまずないです。
ただ、CPU性能はそこまで高くないので、動画編集のソフトウェアエンコードなど、クリエイティブ性能は少し弱いです。
ストレージは500Bモデルを搭載。ゲームを複数インストールする予定であれば、不安のあるストレージ容量です。できれば、最低でも1TBへの増設をおすすめします。
1TBへの増設は+7,000円で可能です。
マザーボードは特に記載されていませんが、A520チップセット搭載のMicro ATXサイズのマザーボードを採用。M.2スロットの空きスロットは0なので増設は不可能です。
メモリはDDR4-3200の16GB(8GB×2)を搭載しています。
PCケースは、特に記載されていませんが、製品写真を見る限り、「Versa H17」、ガラスケースは「S100 TG」を採用していると思われます。ガラスケースは+3,000円で変更可能です。
標準ケースの寸法は幅(W):約205mm x 高さ(H):約400mm x 奥行(D):約423mmです。
ガラスケースの寸法は幅(W):約220mm x 高さ(H):約411mm x 奥行(D):約441mmです。
メリット | デメリット |
---|---|
コスパは優秀 PCケースを選べる | M.2 NVMe SSDの増設はできない 標準のストレージ容量が500GB クリエイティブ性能は少し弱い |
MD36124
スペック | |
---|---|
CPU | Core i5-12400F |
GPU | RTX 3060 12GB |
メモリ | 16GB(8GB x2) |
ストレージ | 500GB M.2 NVMe SSD |
M.2スロット | 不明(増設は可能) |
マザーボード | B760 (Micro ATX) |
電源 | 650W 80PLUS BRONZE |
価格 | 128,800円+送料0円 |
MDL.makeの「MD36124
「Core i5-12400F」は6コア12スレッドのインテル第12世代のCPUでEコアはありません。実質、Pコアのみですが、シングル性能が高いため、ゲーム性能はスペックの割に優秀です。
スペックが高いCPUではないですが、RTX 3060との組み合わせであれば、性能不足を感じることはほとんどないです。
ただ、CPU性能はそこまで高くないので、動画編集のソフトウェアエンコードなど、クリエイティブ性能は少し弱いです。
ストレージは500Bモデルを搭載。ゲームを複数インストールする予定であれば、不安のあるストレージ容量です。できれば、最低でも1TBへの増設をおすすめします。
1TBへの増設は+7,000円で可能です。
マザーボードは特に記載されていませんが、B760チップセット搭載のMicro ATXサイズのマザーボードを採用。M.2スロットの空きスロットは不明ですが増設は可能です。
メモリはDDR4-3200の16GB(8GB×2)を搭載しています。
PCケースは、特に記載されていませんが、製品写真を見る限り、「Versa H17」、ガラスケースは「S100 TG」を採用していると思われます。ガラスケースは+3,000円で変更可能です。
標準ケースの寸法は幅(W):約205mm x 高さ(H):約400mm x 奥行(D):約423mmです。
ガラスケースの寸法は幅(W):約220mm x 高さ(H):約411mm x 奥行(D):約441mmです。
メリット | デメリット |
---|---|
コスパは優秀 PCケースを選べる M.2 NVMe SSDの増設は可能 | 標準のストレージ容量が500GB クリエイティブ性能は少し弱い |
最もおすすめなのは「MD3655」です。12万円以下という価格にも関わらず、Ryzen 5 4500ではなく、Ryzen 5 5500搭載しているのが大きな魅力となっています。
まとめ
RTX 3060搭載モデルはBTO各社のモデルをまとめてみると、高コスパモデルと位置付けており、買いやすい価格帯に設定しています。
安いモデルは10万円前半からあるので、他のGPUを搭載しているモデルに比べると予算が抑えられるため、買いやすいです。
コスパの良いRTX 3060搭載モデルを探しているのなら、予算は10万円~13万円ほど用意しておけば問題ないと思います。
ただし、徐々にBTOショップからRTX 3060搭載モデルが消えており、RTX40シリーズへの切り替えが進んでいます。
RTX 3060搭載モデルが欲しい方は今が最後のチャンスかもしれません。