Core i5-14400は2024年1月に発売されたインテルのデスクトップ向けCPUです。
最廉価のCore i5でありながら、Eコアを4基搭載しているため、10コア16スレッドで動作します。
ミドルクラス帯のCPUなので価格も手頃で、コスパの高いCPUとして人気があります。
今回の記事ではCore i5-14400のゲーミング性能とクリエイティブ性能を検証し、Core i5-14400を搭載した、おすすめゲーミングPCを紹介します。
Core i5-14400とは
CPUアーキテクチャー | Raptor Lake-S Refresh |
コア/スレッド | 10(Pコア6+Eコア4)/16 |
ベースクロック | Pコア=2.5GHz、Eコア=1.8GHz |
ブーストクロック | Pコア=4.7GHz、Eコア=3.5GHz |
L2キャッシュ | 9.5MB |
L3キャッシュ | 20MB |
PBP | 65W |
MTP | 148W |
内蔵グラフィック | UHD730 |
対応ソケット | LGA1700 |
参考価格 | 36,000円~※2024年7月現在 |
Core i5-14400は、Raptor Lake-S Refreshアーキテクチャーを採用したCPUです。Raptor Lake-S Refreshという名前の通り、前世代のCore i5-13400のマイナーチェンジです。
Core i5-13400と比べて定格クロックは全く同じで、ブーストクロックだけ、Pコアが100MHz、Eコアが200MHz上がっているだけです。他の仕様は同じです。
当然、最新のRaptor Coveコアは採用されておらず、第12世代インテルCPUと同じGolden Coveコアを採用しています。そのため、過去の世代からの劇的な性能向上は期待できません。
競合はRyzen 7 7500F、Ryzen 7 5700Xあたりが考えられます。
Core i5-14400のパッケージです。リテールクーラーが同梱されていることもあって、パッケージに厚みがあります。
ヒートスプレッダーは縦長のデザインを採用。インテル第12世代からデザインに変更ありません。裏面はCPUソケットのピンと接触するための接点がびっしりと埋め込まれています。
リテールクーラーの「Intel Laminar RM1」が付属。CPUグリスが塗布済みなので、別途CPUグリスを購入する必要はありません。
「CPU-Z」で仕様を確認。
テスト環境
検証環境 | |
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CPU | Core i5-14400(Intel Default Settings適用済) |
GPU | Manli RTX 4070 Ti Super Gallardo レビュー記事 |
CPUクーラー | サイズ MUGEN6 Black Edtion レビュー記事 |
CPUグリス | EVERCOOL Thermal GS-04 |
マザーボード | GIGABYTE B760 AORUS ELITE |
メモリ | FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)(16GB×2) (DDR5-4800に設定) レビュー記事 |
ストレージ | Western Digital WD_BLACK SN770 NVMe 1TB レビュー記事 |
電源ユニット | Corsair RM750e |
PCケース | XPG VALOR AIR レビュー記事 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
マザーボードは、B650チップセット搭載のGIGABYTE B760 AORUS ELITEを使用。 12+1+1 デジタル電源フェーズ設計と電源回りは強力なので、Core i5-14600Kの性能を引き出せます。
GPUはRTX 4070 Ti SUPERを使用。RTX 3090以上の性能を発揮するハイエンドのGPUです。
メモリは16GB×2の32GB容量のKingston FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)を使用。DDR5-8000に対応するオーバークロックメモリですが、今回の検証ではJEDEC準拠のDDR5-4800に設定しています。
CPUクーラーは空冷のサイズ MUGEN6 Black Edtionを使用。
Core i5-14400のゲーミング性能を検証
3DMark Fire Strike
3D MarkのFire Strikeです。
Core i5-14400は35,213というスコアを記録。
Core i5-12400に対して、約3%上回っていますが、Ryzen 7 7500F、Ryzen 7 5700Xに対して、約14%下回っています。
3DMark Time Spy
3D MarkのTime Spyです。
Core i5-14400は20,959というスコアを記録。
こちらはFire Strikeと違い、Core i5-14400は、Ryzen 7 7500F、Ryzen 7 5700Xに対して、約7%上回っています。
Time Spyはコア数の多いCPUが高スコアを出しやすい傾向があります。
Core i5-14400は10コア16スレッドと、8コア16スレッドのRyzen 7 7500F、Ryzen 7 5700Xと比べて、コア数が多いので、それがそのままスコアでも表れています。
このようにコア数の多さが有利になるベンチマークでは、Core i5-14400のスコアは伸びやすい傾向があります。
Call of Duty: Modern Warfare III
Call of Duty: Modern Warfare IIIです。グラフィックは一番負荷の重い極限に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドット、2560×1440ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400がトップで横並びとなりました。
3,840×2,160ドットではすべてのCPUが横並びとなっています。
Cyberpunk 2077
Cyberpunk 2077です。グラフィックは一番負荷の重いウルトラに設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KFがトップで横並びとなっています。
2560×1440ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Ryzen 7 5700X、Core i5-12400がトップで横並びとなりました。
3,840×2,160ドットではすべてのCPUが横並びとなっています。
Deus EX
Deus EXです。グラフィックは一番負荷の重いウルトラに設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドットでは、トップがRyzen 7 7800X3D、次点でCore i5-14600KFとなりました。
2560×1440ドットでは、トップがCore i5-14600KFで、次点でCore i5-14400F、Ryzen 5 7500F、Core i5-12400、Ryzen 7 7800X3Dが横並びとなっています。
3,840×2,160ドットでは、トップがRyzen 5 7500Fで、次点でRyzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400、Ryzen 7 5700Xが横並びとなりました。
Far Cry 6
Deus EXです。グラフィックは一番負荷の重い最高に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドット、2560×1440ドットでは、トップがRyzen 7 7800X3D、次点でCore i5-14600KFとなりました。
3,840×2,160ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400がトップで横並びとなりました。
FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシー
FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシーです。グラフィックは一番負荷の重い最高に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドット、2560×1440ドットでは、トップがRyzen 7 7800X3D、次点でCore i5-14600KFとなりました。
3,840×2,160ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400、Ryzen 7 5700Xがトップで横並びとなりました。
Fortnite
Fortniteです。グラフィックは一番負荷の重い最高に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドット、2560×1440ドットでは、トップがRyzen 7 7800X3D、次点でCore i5-14600KFとなりました。
3,840×2,160ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KFがトップで横並びとなりました。
Ghost of Tsushima
Ghost of Tsushimaです。グラフィックは一番負荷の重い最高に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドットでは、トップがCore i5-14600KF、次点でRyzen 7 7800X3Dとなりました。
2560×1440ドットでは、Core i5-12400、Core i5-14600KF、Ryzen 7 7800X3D、Ryzen 5 7500Fがトップで横並びとなりました。
3,840×2,160ドットでは、Core i5-12400、Core i5-14600KF、Ryzen 7 7800X3D、Ryzen 5 7500Fがトップで横並びとなりました。
Tom Clancy’s Rainbow Six Extraction
Tom Clancy’s Rainbow Six Extractionです。グラフィックは一番負荷の重い最高に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドットでは、トップがCore i5-14600KF、Ryzen 7 7800X3D、Ryzen 5 7500F、Ryzen 7 5700Xがトップで横並びとなりました。
2560×1440ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400、Ryzen 7 5700Xがトップで横並びとなりました。
3,840×2,160ドットでは、すべてのCPUが横並びとなりました。
Assassin’s Creed Mirage
Assassin’s Creed Mirageです。グラフィックは一番負荷の重い最高に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドットでは、トップがCore i5-14600KF、次点でRyzen 7 7800X3Dとなりました。
2560×1440ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KFがトップで横並びとなりました。
3,840×2,160ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400、Ryzen 7 5700Xがトップで横並びとなりました。
Watch Dogs: Legion
Assassin’s Creed Mirageです。グラフィックは一番負荷の重い最大に設定しています。
平均フレームレートを見ると、1,920×1,080ドットでは、トップがRyzen 7 7800X3D、次点でCore i5-14600KFとなりました。
2560×1440ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KFがトップで横並びとなりました。
3,840×2,160ドットでは、Ryzen 7 7800X3D、Core i5-14600KF、Ryzen 5 7500F、Core i5-14400F、Core i5-12400、Ryzen 7 5700Xがトップで横並びとなりました。
全10ゲームの平均fps
全10ゲームの平均fpsを各解像度ごとにまとめました。
Core i5-14400は、フルHD解像度ではRyzen 5 7500Fに対して約2%下回っていますが、Ryzen 7 5700Xに対して約9%上回っています。WQHD解像度でもRyzen 7 5700Xに対して約10%上回っています。
4K解像度では差がほとんどありません。
GPU負荷が高くなればなるほど、CPUによる差が生まれにくい状況となっているからです。
Core i5-14400Fのゲーム性能は、Ryzen 5 7500Fと、Ryzen 7 5700Xの丁度中間くらいに位置し、まずまずといったところ。特にRyzen 7 5700Xに対してフルHD解像度の平均fpsで、約9%上回っているのは好印象です。
Core i5-14400のクリエイティブ性能を検証
CINEBENCH R23
CPUの3DCGレンダリング性能を測定するCinebench R23です。
マルチコアにおいて、Core i5-14400は15,092というスコアを記録。
Ryzen 5 7500F、Ryzen 7 5700Xに対して、約8%上回っていますが、Core i5-14400よりコア数が少ない、Ryzen 7 7800X3D対しては、約18%下回っています。
シングルスコアにおいて、Core i5-14400は1,794というスコアを記録。
Ryzen 7 7800X3D、Ryzen 5 7500Fと横並びですが、Core i5-14600Kに対しては約13%下回っています。
Crossmark
クリエイティブ性能を測定するCrossmarkです。
Core i5-14400は1,922という総合評点を記録。
Core i5-12400に対して、約7%上回っています。Core i5-12400はPコア6基のみなので、Eコアが4基ついているCore i5-14400は順当にスコアを伸ばしています。
一方、Ryzen勢のスコアはあまり伸びていません。Crossmarkは、インテル製CPUが有利なテストなので、Ryzen 7 7800X3Dでさえ、Core i5-12400よりも低い結果でした。
Blender Benchmark
3DCGソフトの「Blender」ベースのレンダリングベンチマーク「Blender Benchmark」です。
Core i5-14400は197というスコアを記録。Ryzen 7 5700X、Ryzen 5 7500Fと横並びとなっています。
x264 FHD Benchmark
H.264形式のフルHD動画のエンコード性能を測定する、「x264 FHD Benchmark」です。fpsが高いほど、エンコード処理性能が高いことを意味します。
Core i5-14400は73fpsを記録。Ryzen 5 7500Fと横並びとなっています。
コア数が多いこともあり、Core i5-14400のクリティブ性能はミドルクラス帯CPUの中では優秀な部類に入ります。
Core i5-14400の消費電力
Core i5-14400の消費電力を確認します。
アイドル時は起動直後10分放置した最低値を、高負荷時は「Cinebench R23:10 minutes」、「FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシー」のベンチマーク実行時の最高値を採用し、計測ソフトの「HWiNFO」で情報を取得します。
MTPは148Wですが、高負荷時では最大92Wまでしか上がりません。ゲーム中でも最大62Wと、省電力性能は非常に優秀です。
Core i5-14400のCPU温度とCPUクロック
最後に空冷CPUクーラーのサイズ MUGEN6 Black Edtionを使用して、CPU温度とCPUクロックを確認します。
ストレステストにはこちらも「Cinebench R23:10 minutes」を使用し、計測ソフトの「HWiNFO」で情報を取得します。
CPU温度はおおむね54℃、CPUクロックはPコアは約3,500MHz、Eコアは約3,000MHzでほぼフラットに推移しています。
空冷CPUクーラーでも冷却性能は不足していません。これくらいの低発熱であれば、リテールクーラーでも十分冷却できます。
Core i5-14400の強みと弱み
強み | 弱み |
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シングル性能、マルチ性能は十分高い DDR4/DDR5メモリ両対応 インテル600シリーズの古いマザーでも使える リテールクーラーが付属 リテールクーラーでも冷却可能 コスパが高い クリエイティブ性能は優秀 省電力性能が高い ゲーミング性能はRyzen 5 7500FやRyzen 7 5700Xなどの競合と互角 | ゲーミング性能はCore i5-12400と比べて劇的に進化していない |
Core i5-14400を探してみる
Core i5-14400搭載おすすめゲーミングPC
2024年8月12日(月)に更新しました。
まとめ
Core i5-14400を実際検証してみたところ、ミドルクラス帯としてはまずまずといった性能だと感じました。
ゲーミング性能も競合のRyzen 7 5700X、Ryzen 5 7500Fと比較して、ゲームによっては勝ったり負けたりといった具合で互角と言えます。
ただし、第12世代インテルCPUと同じGolden Coveコアを採用しているのはマイナスポイントです。
Core i5-14400は、実質Core i5-12400にEコアが4基ついたCPUといえます。それもあってか、ゲーミング性能はCore i5-12400と比較して、劇的に伸びていません。過度な期待をすると肩透かしを食らう可能性があります。
ただし、クリエイティブ性能はミドルクラス帯のCPUとしてはかなり優秀なので、ゲーム、クリエイティブ両方を重視するのであれば、悪い選択肢ではないと感じました。
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